家族の「想い出はモノクローム」

最近、ひどく昔のことを想い出すんです。

盆踊りの風景や兄弟と公園でやった花火、おばあちゃんちの畑であそんだこととか、兄弟やいとこと一緒にカルピス飲んだなとか。

子供のときの夏を本当によく想い出すんです。

もしかしたら、いつもと違う夏をこの2年送っているからかもしれません。

もしかしたら、私が昔を懐かしむ歳になったからかもしれません。

もしかしたら、両親が年老いたのを感じているからかもしれません。

ただ、こんなに頻繁に想い出すようになったきっかけは、一つの歌なんです。

きっかけは「君は天然色」

「君は天然色」という歌は、もとは1981年に発売された大滝詠一さんの歌です。今年、作詞家松本隆さんの50周年記念トリビュートアルバムで、川崎鷹也さんがこの歌を歌っています。

大滝さんの声は大人っぽくノスタルジックだけど憧れの故郷な感じ。大滝さんの歌声からは湘南を想い出されて、とてもかっこいいイメージがします。川崎さんの声は現代的で、澄んでいて深みがあって、やけに胸に響くのです。

本当は昔の恋を想い出す歌なのかもしれません。ですが、私がこの歌を聞いて浮かんでくるのは、父や母、兄弟と過ごした夏の想い出です。

想い出はモノクローム

胸に沁みる想い出は、なぜか年々増えていっているような気がします。時間が経てば忘れていくはずなのに。

また、不思議なことに、高校や大学の思い出はカラーなのですが、父・母・兄弟との幼い頃の想い出がモノクロームなんです。

当たり前だけど、歳を取ると家族の形が変わっていきます。子供のときのように、おかずやプリンの取り合いをしたり、じゃんけんでチャンネル争いをしたり。

そんな光景がもうないんだなと思うと、とても切なくなります。新しい家族が増えて思い出が増えていくというのが一般的なんでしょうけど、私は子供の頃の想い出が特別です。

子である私がそうなんだから、両親はどんなふうに昔を想い出すのでしょうか。それこそ本当にモノクロームの世界なのでしょうか。

日常を切り取るから胸に沁みる

川崎鷹也さんの歌う「君は天然色」から思い浮かぶ風景が、本当にちょっとした日常を切り取っていて、モノクロームの想い出がやけに胸に沁みるのです。

私には、「開いた雑誌を顔に乗せ一人うとうと寝ている」兄弟の姿が思い浮かびます。

ちょっとした日常が刻印を押したかのように残っているのです。

いい音楽は、匂いや感覚、温度があります。夏の風が吹いている感覚、夏の暑さ、昼下がりの雰囲気や海の匂いを感じるんです。

歌詞と曲と川崎さんの声が相まって、素敵な歌へ再生しています。是非、皆さんも聴いてみてください。

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