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人生のプライオリティーの明確化−前編

私には二度の退職経験と二度の再就職経験があります。

  • 日本企業を2度の流産を経て退職し娘を出産
    → 3年のブランクを経て外資転職

  • ワーキングマザーとしての苦悩の末に退職
    → 3年のブランクを経て外資転職

本コラムは私自身のブランク付きの子持ち女性としての外資再就職経験と、転職アドバイス中に得られた学びなどをご紹介しています。

ワーキングマザーであるなしに関わらず、ブランク有無に関わらず、転職を検討する際の参考になれば幸いです。

アドバイスを求められた際に紹介してきた【転職メソッド】を 『ブランクからの外資転職』コラムとして紹介中。 
2022年は娘と旦那さんの日本企業からの転職も無事に果たす


人生のプライオリティーの明確化

就職に際し、事前に整理していていたので良かったと振り返るものが

人生のプライオリティーの明確化です。

就職面接で「あなたの人生のプライオリティーを述べなさい」と問われたことは一度もありませんが、明確にしておくと最後の決断時に役立ちます。


「何か自分で決断することがあるの?」と思うかもしれません。

転職についてのご相談で時々耳にするのが、
「私は雇ってもらえるならどこでもいい」
「受かれば万歳」
というコメントです。

きっと本心ではなく、謙遜な思いも含まれているのだと思いますが、
「どんな憧れの企業から合格通知をもらった場合でも、最終的にはあなたが会社を「選ぶ・選ばない」の決断を下すのですよ」と伝えます。

「大丈夫!決断する必要もない。全然悩まないし合格が来たらすぐさまOKする!」
とおっしゃる方もいますが、


「合格が来たらすぐさまOKする」ためのツールとして役立ったのがこの人生のプライオリティの明確化です。

決断を躊躇させるために用意するものではなく、素早く正しく迷わずに即決するための判断基準です。




就職について最終的な判断を下すとは?

転職経験が豊富な方は「そんなの当たり前だよ」と思うかもしれませんが、私は、最初の転職で初めて「就職の判断を下すのは最終的には自分」と気付かされました。

よく考えると当たり前のことですが、就職は会社と個人の契約に基づく就業です。企業から渡されるオファーレターにサインをして就職が成立します。


就職するまでの段階について次のようなイメージを持っていませんか?
■ 就職するまでの段階イメージ(私が過去にイメージしていたもの)

就職したい願望
 →会社を探す
  →応募
   →書類審査
    →書類審査合格
     →面接
      →合格
→就職(入社)


しかし、実際はあなたが契約書にサインして初めて就職が成立します。
就職するまでの段階イメージ

就職したい願望
 →会社を探す
  →応募
   →書類審査
    →書類審査合格
     →面接
      →合格
→契約書にサイン(合意)
→就職(入社)


さらに、もしあなたがその契約書の内容に不服や不明瞭な点があるとすれば交渉して改訂を依頼することもできます。
その場合はさらに交渉のステップが加わります。
提示された契約書の内容に改訂を希望する場合

就職したい願望
 →会社を探す
  →応募
   →書類審査
    →書類審査合格
     →面接
      →合格
→契約書内容について交渉
        →改訂契約書(改訂されない場合はオリジナルにサイン(合意)

→就職(入社)



上記のプロセスのうち、
契約書または改訂契約書にサイン
は最終的にあなたが 就職について最終的な判断を下す 部分になります。



外資企業の合格通知とは

面接の合格通知はオファーレターという文書で届きます。オファーレターは「この条件で就職します」という契約書となり、内容に合意してサインする形で就職が決まります。

ちなみに不合格通知はレター文書ではなく、人事部門やヘッドハンターを通じてメールなどのテキストで届くのが一般的です。メール送付の前に電話で第一報をもらうケースもあります。

オファーレターは企業から「どうぞこの条件でうちの会社へ来て下さい」という契約書となるので、回答期限までにサインをして返却すれば、オファーレターの条件で就職が決まります。

オファーレターの記載条件に不服や不足があれば、その旨を伝えて交渉をします。交渉成立すればオファーレターの文面が改訂され更新版として送付されます。その内容にサインすれば、オファーレター改訂の条件での就職が決まります


オファーレターとは

オファーレターには、給与・勤務規則・入社・退社の条件など、就労に関する全般が細かく記載されています。各企業の就業条件のフォーマットに従っています。

オファーレターに記載される、給与の希望金額・希望条件など内容については、面接の段階で事前ヒアリングされるケースがあります。

・人事(HR)との面接時にヒアリングがありその内容が反映されるケース
・面接合格の最終段階に至ってほぼ合格が確定した後に人事(HR)からの条件のヒアリングが反映されるケース

私の経験ではある程度条件を面接の段階で事前ヒアリングされましたが、募集対象人数が多いケースなど、場合によっては応募要項に記載された条件でオファーレターが届く場合もあるかと思います。

事前に条件のヒアリングがされている場合、オファーレターには希望条件がある程度考慮されますが、もう少し給与を上げてほしい、就労条件の改善など希望する場合はサインをする前に交渉をすると良いでしょう。

私が知っている日本国内のケースでの交渉は、給与や入社期間、リモートワークなどの勤務地の条件、交通費などあくまでも実業務に関わる項目について交渉したという経験談ですが、
海外の友人のケースでは、移住する必要がある場合などは、一人当たりの帰国渡航の想定費用、家族の生活費・教育費など、業務以外の生活費部分の条件設定も可能で、仕事よりも生活に関わる条件をつぶさに交渉するといったものでした。

現在日本に暮らし、日本に拠点を持つ外資系企業に勤務する場合は、日本の労働基準法に則る必要があると思いますので、交渉の範囲にも制限があると思いますが、いづれにしてもオファーレターの記載について疑問や期待がある場合は、すぐに質問し内容を正しく理解することをお勧めします。

私が受け取ったオファーレターは全て英文でした。堅苦しい長文の契約書英単語で、試用期間や勤務期間など、これからの就業に深く関わる条件がぎっしり書かれていました。提示された条件を丸ごと受け入れるつもりでも、しっかりと内容を把握して納得の上サインをしてください。くれぐれも「オファーレターが届いたことが嬉しくて、内容を確認しないままサインした」ということが無いようにしてください。

オファーレターを受領後、記載された期限までにあなたが決断する必要があるパターンを整理すると、

・提示されたもので就職するしないの決断
・交渉してOKとされて改訂した条件で就職するしないの決断
・交渉してNGとされて改訂しない条件で就職するしないの決断

いづれもあなたが最後に決断を下す形となります。




人生のプライオリティー明確化の必要性

「オファーレターをしっかり読んでサインすればいいんでしょ。
なんで人生のプライオリティーとか大袈裟なものが必要なの?」
と思うかもしれません。


確かに少し大袈裟かもしれませんが、あなたに英語の読解力があり、オファーレターを何度も受け取っている、または外資人事で働いた経験や契約書の文言に慣れている・・・ならば特に問題ないと思います。サラサラと呼んで確認できるかと思います。



私自身は、初めて外資企業からオファーレターをもらった際に、驚きました。
ただでさえ長文英語の読解スキルもないのに、小さな文字で埋め尽くされた契約書独特の難しい英単語。さらに章も項も多く立体的な構成で、文を読み上げるだけで精一杯で、その上理解するのは無理と感じてしまったほどです。

それでも熟読を試みると、就労規則が事細かに記載されており、サインした後は、ここに記されている細かなルールを全て私が守る義務があるということに気付かされました。
「本当にこのルールを守りながら子供がいる私は働けるのだろうか」と不安になり、自問しながら契約書を隅々まで理解することになりました。
私にとって人生のプライオリティーは子供第一でしたが、各人の人生のプライオリティーを維持する働き方ができるかをこのオファーレターの内容を熟読しながらチェックしていくことをお勧めします。




業務内容・勤務時間・勤務場所・給与・休暇・働く場所の自由度・インセンティブボーナスの条件などなど、これらの規定を守れるか、一つ一つ自身でYES/NOの決断をしていくといいでしょう。

Noで引っかかるポイントはその内容について交渉し、交渉の結果を持って再度決断といった具合です。

人生のプライオリティーを明確化していれば、この決断のYES/NOの判断がクリアーにできます。即断できれば交渉の時間も持つことができ、より納得のいく条件で入社することができます。または納得する上で入社しない を決断できます。


人生の・・・とまでいかず、条件範囲の数値や項目だけにフォーカスしてYES/NOのサインをする方法もあるかと思います。
その条件も深掘りすると人生の条件を切り出した物になりませんか?

給与はなぜその範囲ですか?
職務内容はなぜその内容ですか?
勤務時間はなぜその範囲ですか?
休暇条件はなぜその条件なのでしょうか?

一つ一つの項目を深掘りすると、あなたが大切にしている人・もの・ことに集約されていきます。最も大切にしているものまで深掘りしたものが人生のプライオリティーになります。

あなたの人生のプライオリティーは何ですか?
と聞かれることはないですが、あなたの内に整理して準備しておくと決断時に役立ちます。 




最後のステップは、自分が会社を選ぶ

先にも紹介した通り、オファーレターを受け取る=就職ではないので、
しっかりと自分が選ぶという覚悟を持っておくと良いでしょう。

すでに転職経験があるまたは転職すること自体に目的がある場合、即決することもできるかと思います。

もしあなたが、現在専業主婦または、これまでとは異なる業種でキャリアチェンジに挑戦している…など、この転職で【よりよく変わる】を目指しているなら、必ず【人生のプライオリティ】を明確に固めておいてください。

オファーレターへサインをするしないは、「自分の人生のプライオリティーに沿っているのか沿っていないのか?」厳密に確認してください。もしグレーな部分がある場合、それが白黒であることを好む場合、内容の確認や交渉をしてください。もしグレーのままでもいいと思うなら、『グレーのままである』という事実を認めた上で決断を下してください。


面接時にも役立つ

人生のプライオリティーを明確化しておいて良かったと思うことが、もう一つあります。 もしあなたが面接前から人生のプライオリティーを明確にしていれば、より一貫したブレのない回答をすることができます。どんな難しい答えづらい質問に対しても、人生のプライオリティーを軸に回答すればいいのです。
先に紹介した外資面接で大切な5つのポイントと合わせて人生のプライオリティーの明確化しておくことをお勧めします。


面接の場面で、会社がまたはこの業務が人生のプライオリティーに沿っているか沿っていないかが不明瞭と感じるのであれば、面接時「最後に質問は?」と聞かれた際にでも、質問をして確認をするといいでしょう。

私は実際に面接の最後に 人生のプライオリティーに関連した質問をしました。どんな質問をしたのでしょうか? そのケースについては、人生のプライオリティーの明確化−後編 でご紹介します。


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