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続・ゴキブリ教授のエプロン9(マイナンバーカード?)

「マイナンバーカード」という言葉に違和感を感じてならない。

 いささか昔話ではあるが、スーパー・マーケットのレジで「マイバッグお持ちですか?」としばしば聞かれて、ややとまどった記憶を思い出すのだ。
「マイバッグお持ちですか」という問いの趣旨は、「レジ袋が要りますか」というものである。買い物袋を持っていればレジ袋は要らないだろうから、「マイバッグお持ちですか」という問いに代えているのであった。
 私がこの問いにややとまどったのは(英語で聞かれたらどうか)ということをふと思い付いてしまったからである。
「マイバッグお持ちですか」を直訳すれば、Do you have my bag? であろう。私がバッグを持っていたとしても答えは、No, I don’t. であるしかない。私は私のバッグを持っているに過ぎず、Do you have my bag? という文脈でのmy bag すなわち質問者のバッグである your bag を持ってはいないからだ。長く答えるなら、No, I don’t have your bag.  I have my bag. ということにならざるを得ない。
 英語で件の問いを聞くとするなら、Do you have your bag? でなければならないわけであるが、日本語で「ユアバッグお持ちですか」とは聞けないだろう。(日本語でなくなってしまう)。

 そこで、「マイナンバーカード」である。役所などで「マイナンバーカードお持ちですか?」などと聞かれたら、私は再び上記のようなとまどいを感ずる予感がする。
 まあ、私はいい。私が変わり者であるだけだ、と切り捨ててもいいからだ。
 だが、「マイナンバーカード」は、日本人だけに付与されるものではない。外国人にも条件次第で付与されるものなのだ。仕事や留学で長期滞在する外国人にも「マイナンバーカード」は付与される。そうした在留の外国人、とりわけ英語を母語とする人たちにも、Do you have my number card? と質問すると、上述来のややこしいことになりかねない。
 しかし、実はそうはならない。「マイナンバーカード」というのは、日本の役所が日本人向けに用いている通称に過ぎず、法律上の名称は「個人番号」である。地方公共団体情報システム機構のホームぺージによれば、英語では Individual Number Card というらしい。
「インディヴィデュアル・ナンバーカード」というのは、日本人には少し言いにくいかも知れない。だからといって、「マイナンバーカード」と常用するのは、問題があるように思えてならない。法の通りに「個人番号カード」を常用する方が、はるかにましと思えてならないのだ。

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