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ゴルフを知らない人にゴルフを説明するには ~こころをつなぐもの~

いつもひとり妄想空想するのが大好きな私ですが、「ゴルフを全く知らない人にゴルフを説明しようとしたらどうなるのだろう」と想像した結果、膨らんだ妄想話です。
 
 奇跡的に発見された地球そっくりの星。人類とほぼ変わらない宇宙人が住んでいます。地球代表親善大使として選ばれた著名人、タイガー・ウッズとアシスタントがその惑星に降り立ち、明日の親善セレモニーでタイガーが話すスピーチの打ち合わせをしています。

タイガー: 「やあ、どうも。はじめまして。」
宇宙人: 「どうもはじめまして。あなたが地球代表親善大使の
タイガー・ウッズさんですね。」
タイガー: 「そうです。宜しくお願いします。」
アシスタント:「今回タイガーさんは地球でもっとも偉大な有名人の一人
としてこの大役を任命されました。」
宇宙人: 「ほう、有名なんですね。」
アシスタント:「はい、彼はゴルフが・・・いや、ゴルフというのは
つまりそのー、」
宇宙人: 「ゴルフ?」
アシスタント:「ええ、スポーツの一種なんですが・・・」
宇宙人: 「スポーツ?」
アシスタント:「ええ、競技ですね、勝敗を決める。」
宇宙人: 「争いごとですか。」
アシスタント:「いや、まあ争うことは争うんですが、とても楽しい
競技ですよ。」
宇宙人: 「ほう。」
アシスタント:「つまり・・・森の中に広大な敷地がありましてね、そこに
芝生や池、樹木や砂場が広がっているわけなんです。」
宇宙人: 「それはきれいですね。」
アシスタント:「ええ、その敷地には端に小高い丘がありましてね、
そこに球を置きまして。」
宇宙人: 「球を。」
アシスタント:「その球をですね、棒で叩くんですね。棒の先には叩くため の―、鉄や木の出っ張りがあるんですが。
そうすると球は遠くへ飛んでいくわけですよ。」
宇宙人: 「何だか楽しそうですね。」
アシスタント:「ええ、そりゃもう。そしてその敷地の逆の端には芝生の
きれいな広場があって、そこに穴があいてるんですね。」
宇宙人: 「穴が。」
アシスタント:「で、その穴の中に球を入れなければいけないんです。」
宇宙人: 「そりゃ楽しそうだ。それが地球で行われているゴルフ
というものなんですね。」
アシスタント:「ええ、そうなんです。地球ではとても多くの人々が
このゴルフを楽しんでいます。そのゴルフで、
このタイガーさんはとても有名なわけですよ。」
宇宙人: 「へえ、そうなんですか。―で、有名というと、
最も楽しそうだとか?何か、独特のスタイルだとか?」
アシスタント:「いや、このタイガーときたら、それがすごいこと。
つまりその小高い丘から穴まで球を入れるために棒で叩く
回数がとても少ないんですよ。」
宇宙人: 「回数がとても少ないんですね?」
アシスタント:「いやー、それがとてつもなく、少ないんですよ。その凄ま
じさと言ったら、地球上の誰よりも少ないんですよ。」
宇宙人: 「ふーん」
 
 ―次の日、地球からの客を盛大に迎えるために開かれたセレモニーの壇上で、タイガーは宇宙人たちに向けて、挨拶のスピーチを行いました。
 
「みなさん、私の名前はタイガー・ウッズです。地球ではゴルファーとして活躍しています。ゴルフというのはその・・・森の中に穴があってですね、球を・・・」

スピーチを終えて歓迎ムードに包まれるタイガー一行。その後も親善訪問日程は続き数日後、地球に還る出発の日が近づいてきました。
 
タイガー: 「ゴルフの説明は話すだけでは伝わりにくかったかな。」
アシスタント:「映像とか準備してくればよかったですね。」
宇宙人: 「ああ、ここにいらっしゃいましたかタイガーさん、
出発前にぜひ見せたいものが!」
タイガー: 「何ですか?」
宇宙人: 「いや実は、スピーチされたゴルフのお話に市長が感動して
もう作ってしまったんですよ。ゴルフコース。」
タイガー: 「えっ」
宇宙人: 「出発前にぜひご覧になってください。市民は老若男女、
皆楽しんでもう大人気です!」
 
案内されて到着した場所。森の広場から奇声を上げる人々の声が聞こえる。タイガーが目にしたものは、棍棒のようなもので球を小突き回る人々の姿。
球は運動会の玉転がしより小さいくらい。当たってもケガしないように軽いハリボテで出来ている。子どもからお年寄りまで、思い思いに小突くその表情はみんな楽しそうだ。
 
砂場では砂山を作り、上に球を乗せて喜ぶ子供の姿が。
宇宙人: 「砂場の使い方はまだ詳しく教えてもらってませんでしたね。
地球ではどんな活用方法があるのか、また聞かせてください。」
 
コースの先の芝生広場の中央は緩い斜面ですり鉢状の穴が掘ってあり、子どもが間違って落ちても安全なように配慮がしてある。
 
思い思いのスタイルで穴に球を落とすのがクライマックス。棍棒で渾身の打撃を加え、落ちていく球を指さして雄たけびを上げる人。子どものグループが「せーの」と言いながら一緒に最後の一押し。転がっていく球を見てハイタッチしたり抱き合ったりしている。
 
宇宙人: 「タイガーさん、ステキなものを教えて頂いて本当に
ありがとうございます!みんな楽しんでいますよ。
今度地球の方々と交流大会なんかもやりましょう!」
タイガー:「え、ええ。いいんじゃないんですか。」
 
~終わり~

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