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九里宇ユミオ
2024年6月4日 01:14
一、ニ、三、四、五、六、六、六、、、六、いま、何回目だったか。私は両手にグッと握った鉄の棒を胸に引き付けていた。視界には白い蚊のようなものが飛んでいる。酸欠だ。呼吸は酷く荒かった。頭の中で数字を数える。ただそれだけのことが私には出来なかった。私は、胸にこの棒を引き付けた回数だけ数を数えるのだ。棒の先は中央をロープで結ばれており、滑車を介して約八十キロ分の錘がぶらさがっている。鉄の棒は