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ただもうすこしだけ、あなたの笑顔が見たい

2020年、語学留学先のオーストラリアから戻ったわたしを待っていたのは、コロナの日々。マスクのひとたちだらけの世界のはじまり。

幼少期から耳が「きこえない」わたしは、補聴器で音や声を感じることはするけれど、ひととのコミュニケーションはすべて「見る」「感じる」ことを前提に成り立っている。

だれかと話すときは、その方の唇のうごきを読み、目をはじめ表情のゆらめきを感じ、首やほっぺたのふるえもなんとなく感覚の端っこで捉えていて。

でもそれが、コロナを境に、見えなくなってしまった。

 

なんで唐突に、しかも初めてのNoteにこんな思いをつづっているのかよく分からないけれど、先日、こんなことがあったんですよ。

年明け、通っているジムでのこと。

わたしは今、パーソナルトレーニングを定期的に受けていて、そのトレーナーさんにこんなお願いをしてみた。

「もしよかったら、(わたしはマスクをしていると話が分からないので)
 こちらの "透明マスク" をしていただけませんか」と。

よくあるメガネ型の、顔全体をペラリと覆うタイプのフェイスシールドでもなく、
出川さんがスイカヘルメットかぶって日本各地をバイクでぶーんと走っている、かの番組で装着している、顔の下半分を覆う硬そうな透明のカバーでもなく、本当にシンプルな、ただの透明のマスク。

お願いをしてみた日、トレーナーさんはさっそく私が渡したその透明マスクをその場で付けてくださり、「これなら飛沫がとぶのも防げるし、自分も吸い込まないしでけっこう安心ですね〜」とにっこり言ってくださった。

  

でね、話はここからなのです。

そのまた数日後、ジムに訪れたわたし。パーソナルトレーニングの前に、日中の仕事でカチコチになったからだをほぐしておこうと、マットにゴロンと横になる。

いつものように、「こんにちは〜」と通りしなに声をかけてくださる、不織布もとい不透明マスク姿のトレーナーさん。
(きこえないのであくまでも予想だけど、まあ定番のあいさつだし、たぶん合っている)

しばらくして、トレーナーさん、再び登場。

「じゃあー、始めましょうか!あちらで!」(にっこり)

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きこえないわたしとのトレーニングを前に、透明マスクに付け替えてくださっていたトレーナーさん。文字通り、表情が「明るい」!!

顔の下半分が、はっきりと見えるだけで、人の表情はこんなに違って見えるんだ。実際は透明マスクをしているけれど、わたしの目には、上のイラストのようなにっこり笑顔のトレーナーさんが映る。

いやー、たかがマスク、されどマスクですね。

相変わらずマスクが必要な世の中だけど、ちょっと透明になるだけで、こんなに相手が「見える」ようになることの驚き。いきいきとした表情を見ながら「話せる」ことのうれしさ。そしてなにより、にっこり笑顔のまぶしさたるや。

それは自分のなかでも気づいていなかった、でも大切な思いに気づかされた、一瞬の光景(=できごと)でした。

ここ2年ぐらいは、ちょっとした会話程度だったら、
「すみません、マスクを少しずらして口元を見せて話していただけますか」とお願いすることが多いわたしだったけど、"透明マスク" を常備しておいて、友人知人と話す機会があったらどんどん渡して使ってもらうのもいいな、そんな気づきをもらったひとこまでしたわ。



きっと、わたしたちは、
誰もが、誰かの、笑顔をみるのを楽しみに、生きている。

そして、自分が思っているのよりずっと、その笑顔から、かなりの力をもらっている。

うーん、もっともっと笑いたいし、もっともっと笑顔を見たい。
当たり前だけどちょっと忘れかけていた大切な気持ちを、今また思い出せてよかったなー!(仰向け大の字)

素敵な笑顔がみえる、次のトレーニングも楽しみなのです、るんるん。


#エッセイ #気づき #きこえないひと #難聴 #マスク生活 #笑顔 #大切なこと #生きていく

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