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〔短編集〕細胞膜を超えて

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宇宙構造をテーマにしたSF短編集
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#短編小説

細胞膜を超えて

細胞膜を超えて

河川敷に腰掛ける中学生2人
A「あんた塾は」
B「さぼり」
A「殺されんじゃん」
B「それな」

B「宇宙ってどこまであると思う」
A「どこまでも」
B「考えろよ」
A「考えたよ、ないんじゃない?境なんて」
B「あるだろ」
A「なんでわかんだよ」
B「ないとも言い切れないだろ」
A「…うん…?何急に」
B「いや、そういう本読んだんだよ」
A「宇宙の本?」
B「そんなかんじ、宇宙の真理、てきな」
A

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非出産主義者の大罪性について

宇宙は生き物の細胞である。
という説がある。
人間の体を成り立たせる細胞の1つ1つが宇宙であり、また私たちの存在するこの宇宙も何者かの体細胞である。という説。
物理的入れ子の構造をもつこの説に時間的な入れ子構造を付け足す。すると。
私の細胞が死ぬ。と。私も死ぬ。と。私のいる宇宙が死ぬ。と。その宇宙を細胞としてもつ生き物もしぬ。
逆に赤子が生まれれば数多の宇宙も同時に誕生する。

では細胞。ではなく

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鞴

お兄ちゃんがおかしくなったのは13年前です。当時私は11で、お兄ちゃんは14でした。当時の私には得体の知れない中学校とかいう世界でお兄ちゃんは毎日ぶたれたり蹴られたりしたそうです。
それからお兄ちゃんは心がおかしくなってしまいました。味がしぃへんのですって。何食べても。ニコニコしてお外でいっしょに遊んでくれた兄ちゃんはもう戻ってこぉへんのですって。
お兄ちゃんはお兄ちゃんの宇宙に閉じこもってしまっ

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インターバル

A「宇宙五分前誕生説ってしってる?」

[点灯]

B「ん〜ん、なにそれ」

A「私たちの住む世界は何億年も前に生まれてその過程に私たちがいるんじゃなくて、私たちは五分前に歴史という設定をもって今この配置に置かれて、よーいっはい!ってカチンコ鳴らしたみたいに世界が始まったって説」

B「へぇ…」

A「つまんない?」

B「いや、ごめん。そういうわけじゃないけど。中々身体が起きなくて。」

A「外

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悪魔の証明

悪魔「悪魔の存在を信じますか」
女「信じません」
悪魔「では幽霊は」
女「信じます」
悪魔「なぜですか」
女「幽霊はみんなが見たと言います。悪魔の目撃証言はありません」
悪魔「悪魔の目撃証言があれば存在をみとめますか」
女「みとめません」
悪魔「なぜですが」
女「そもそも幽霊もみとめてはいません。わたしはみてません」
悪魔「でもさきほど幽霊の存在を信じると」
女「信じますが認めません私はひとからの

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