見出し画像

ポジティブな声かけが成長を促す 岩瀬コラム06

反省ばかりしていませんか?

「あの時こうしとけば良かった」
「もっとこんな選択肢があったんじゃないか」
「なんであそこで失敗したんだ」

仕事やスポーツ、人間関係などのさまざまな場面でこのように思ってしまうことはありませんか?

起こった出来事を振り返り、問題点を改善していく。

これは成長していくためにとても大切なことです。

しかし、反省ばかりしているとかえって成長を妨げてしまうことがあります。

これは、他者に対して失敗を指摘する時でも同じことが言えます。

なぜ反省ばかりではいけないのか?

そこにはある脳の特徴が関係しています。


イメージしたことを脳は現実と錯覚する

私たちの脳は現実世界で悲しいことがあると泣き、嬉しいことがあると笑います。

ですが、時間が経ってからその出来事を思い出しても、同じように悲しくなり、嬉しいことを思い出すとニヤニヤします。

「思い出す」とは、実際に今起きているわけではなく、頭の中でイメージした出来事です。

その時のイメージが鮮明であればあるほど、実際に泣いてしまったり、笑ってしまうこともあると思います。

このような経験はみなさんにもあるのではないでしょうか?


私たちの頭は、過去の出来事とわかっていても、脳からはその時と同じ指令が伝達されて心身には同じような反応がでます。

(ドラマや映画を観て泣いたりするのも映像や音で鮮明なイメージが作られて反応しているので同じ原理です)

つまり、脳はイメージしたことを現実に起こっていることと錯覚してしまうのです。


反省することのデメリット

例えば、サッカーで自分のパスミスで失点して負けたとします。

①ミスをした段階で「なんでこんなミスしたのか」と一度振り返ります。

②試合が終わった後に「あのミスさえなければ」とまた振り返ります。

③味方選手や監督から指摘されたらそこでも振り返ります。

④家に帰ってからまたそのシーンを思い出したとします。

これだけでも4回はミスしたシーンが頭の中で思い出されています。

人によってはそれ以上にそのシーンを思い出すこともあるでしょう。


実際には1度しかミスをしていなくても、何度も思い出すことで脳の中では何度もミスをしたのと同じになります。

すると、次に似たような場面に遭遇した時に、ミスをしたというネガティブなイメージが浮かび、本当にミスしてしまいます。

これが反省ばかりすることのデメリットです。


ポジティブなイメージに書き換える

反省をすることは大事だけど、反省ばかりも良くない。

では、どうすれば良いのか?

上述した脳の仕組みを利用して「イメージの書き換え」を行えば良いのです

まず、失敗した場面、状況を整理し、どうすれば良かったかを考えます。

次に「こうすれば上手くいった」と思う内容を具体的にイメージします。

脳は現実とイメージを区別できないので、そのシーンが上手くいったイメージを持てれば成功体験になります。

この時のポイントはより具体的にイメージすることです。

ここまでは脳の仕組みを知らなくても、実践している人もいると思います。

しかし、この時に重要なことが1つあります。

それは、人間の脳に記憶されるのは「繰り返しの頻度+インパクトの強さ」が大きく影響しているという事です。

実際、大事な場面での失敗は、かなり「インパクトが強い」です。

対して、頭の中でイメージしているだけでは「インパクトが弱い」です

つまり、イメージを書き換えるためには「頻度」が重要ということになります。

何度もポジティブなイメージを繰り返すことで、ネガティブなイメージを書き換えます。

これによって、次に似たような状況に遭遇した時でも、落ち着いて、萎縮することなくプレーできるようになります。 


周りの関わり方も大切

せっかく自分の中でポジティブなイメージに書き換えても、周りからの声かけで一瞬にしてネガティブなイメージに戻ってしまうことがあります。

例えば、練習や試合の時に、指導者やチームメイトから

「今日はこの前みたいなミスするなよ」というような言葉をかけられたりすると、また失敗のイメージが出てきます。

上述したように脳への記憶は「繰り返しの頻度+インパクトの強さ」です。

特に監督のようなチームの雰囲気に影響を与える人の言葉は、インパクトが強いのでネガティブなイメージに書き換えられてしまう可能性が高いです。

すると、また同じようなミスをしてしまったり、ネガティブなイメージによって萎縮したプレーをしてしまったりします。

その点を理解し、周りの人はその選手が良いイメージを持てるように関わることが大切です。

もちろん、状況によっては、ミスを指摘しないといけないこともあると思いますが、そのデメリットを理解した上で指摘すると良いと思います。

また、指摘する時は、選手にその時どうすれば良かったか考えてもらい、良いイメージを持てるような「問いかけ」が大切だと思います。


成長にフォーカスする

スポーツに限らず、人は誰でもミスをします。

完璧な人はいません。

結果や成功に囚われてしまうとミスを悪者にして責めてしまいがちです。

これは自分自身で反省する時も、他者に対して指摘する時も言えることです。

実際にミスをしたからこそ気づくこともあるので、長期的な目でみて成長のチャンスと捉えましょう。


加えて、成長するためにはもう一つ大事な視点があります。

それは、「上手くいった部分にも目を向ける」ということです。

上手くいった部分も、なぜ上手くいったか振り返ることで、再現性が高まります。

自分自身や周りが認めてあげることで自信がつき、積極的に行動できるようになります。

その場の結果ではなく、その先の成長にフォーカスする。

そのためには、自分自身にも、他者にも、「多くのミスを指摘するより、1つの成功を認めてあげる」スタンスが大切です。

この記事を読んで自分自身を見直すきっかけになれば嬉しいです。

お読みいただきありがとうございました。


岩瀬勝覚
理学療法士
JARTA認定スポーツトレーナー

日々の活動やトレーニングの様子を配信しています。

Facebook

Instagram

---------------------------------------

小さな日々の気づきや学びはこちらのブログで更新していますので、 ぜひこちらもご覧ください。
《心のストレッチ》ブログ

《湧く湧くマガジン》編集部を含めた仲間とともにオンラインサロンを運営しています。 心と身体はつながっている。そんなことを感じたい、自分の心身の不調を改善するヒントが欲しい方はぜひのぞいてみてください。
《心のストレッチ》心身相関 Lab

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

想定外理論。 この未完成で不完全な理論と共に日々の習慣に変調をもたらし、それぞれの解釈による行住坐臥の実践日々のワクワクに繋がるように、そして自分の中から何かが湧く楽しみに枠 組みを外しながら湧く湧くしていきましょう!!! ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

行住坐臥とは

━━━━━━━━━━━━━━━━━
《湧く湧くマガジン》編集部━━━━━━━━━━━━━━━━━

◇編集長 赤山僚輔 / 理学療法士
財)日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー
LIbreBody GM
(株)JARTA international 統括部長

◇編集委員
後藤隆志/理学療法士
平山鷹也/理学療法士
岩瀬勝覚/理学療法士
堀田孝之/理学療法士
-------------------------------------

人力 JINRIKI 合同会社

運営責任者:赤山僚輔

-----------------------------------

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?