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柔軟性をあげるには

身体は柔らかくなるのか?

私は子どもの頃から身体が硬いほうでした。

過去に何度か身体を柔らかくしたいとトライしましたが、結局思ったような効果を得られず投げ出しています。

主にストレッチを行っていましたが、一向に改善がみられなかったと感じています。

それなのに、書籍など読むと柔軟性を改善するのはストレッチが有効というものばかり。

「ストレッチで柔らかくなんかならない。」
これは以前までの私の考えです。

しかし、理学療法士になって、解剖運動生理学を勉強して、当時のやり方に対する問題ストレッチだけでは良くならないということがわかりました。

そして、自分自身の身体でもいろいろと試し、現在ではここ20年くらいの中では1番身体が柔らかくなりました。

ちなみに硬い、柔らかいの基準は人によって差があるので、何を基準に硬いというかという問題もありますが、そこは今回の本題ではないのでひとまず置いておきます。

とは言っても、まだまだ満足するような柔軟性はないので、もっと柔らかくなりたいと今でも試行錯誤を重ねています。

今回は身体を柔らかくしていくためにどうしていけば良いのかをまとめたいと思います。


身体の柔軟性を決める要素

柔軟性は、
①関節の構造
②結合組織の特性
③神経の制御
の大きく3つの要素によって決まります。

①関節の構造
関節の構造によって動く範囲はある程度決まっています。
それ以上に動いてしまうというのは構造上ありえません。
→世界の軟体人間みたいな動画では明らかにキャパオーバーしていると思っていますがどうなんでしょう、、、

②結合組織の特性
結合組織とは、筋肉、腱、靭帯などの関節の構造を支えたり、動かしたりする組織のことです。不良姿勢や不動、オーバーワークや外傷など硬くなる原因はさまざまです。

③神経の制御
筋肉や腱に力が加わりすぎるのを防ぐため、神経が働くことによって制御しています。この機能によって筋肉や腱を守ってくれているのですが、緊張などエラーが起こると、しなやかな動きができなくなります。
パフォーマンスが低下するだけでなく、肉離れなどの怪我にも繋がるリスクがあります。


この3つの要素によって柔軟性は決まります。
ただし、②結合組織の特性は、一般的に男性より女性のが柔らかく、また大人より子どもの方が柔らかいという特徴はあると言われています。


ストレッチは有効?

身体を柔らかくする方法として有名なのがストレッチですね。

ですが上述したように私はストレッチだけで柔軟性は変わりませんでした。
それどころか、かえって伸ばしすぎて足を痛めたりもしました。

しっかりと効果を出すためには、やはりメカニズムの理解が必要だと思います。
それを知らずに実施していると、かえって身体を硬くしたり、怪我につながります。
メカニズムについては次の章で後述しますね。


では、ストレッチで身体が柔らかくなるとして、上記の①②③のどれに有効なのでしょうか?

①関節の構造については構造が破錠してしまっている場合は私たちにできることはありません。
場合によっては外科的な処置でなんとかすることもありますが、それ以外は残念ながらどうしもありません。

②結合組織の問題は△です。
靭帯や脂肪組織、皮膚などの問題はストレッチでは効果はなく、筋肉の問題であれば○です。
しかし、筋肉でも筋間の滑走性や筋スパズムなどの問題に関してはただ伸ばすだけでは効果は得られにくいです。

③神経の制御に関しては有効です。
しかし、ここもどれくらいの強さで伸ばすのか、どのように行うかで効果はかなり違います。
例えば、「イタタタッ」と声を上げてしまうような強いステレッチなどは逆効果です。これを誤解して実施している人が非常に多いのでぜひメカニズムを理解しましょう。


ちなみに筋肉はある程度の長さがあります。
1つの筋肉でも硬い部位と柔らかい部位が存在します。
筋肉はゴムのような性質なので、硬い部位と柔らかい部位があると主に柔らかい部位が伸張されて硬い部位はあまり伸びていません
また、筋収縮も柔らかい部位が優位に起こりやすくなるので、局所に集中することで肉離れなど怪我の原因になります。

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このようなことを防ぐために、硬い部位をマッサージなどでほぐしてからストレッチをすると、偏りなく伸張されて変化もでやすいです。
特に圧痛のあるポイント(トリガーポイント、筋スパズム、筋硬結、筋間や結合組織との癒着)は有効だと個人的にすごく重視しています。


ちなみに、私は現在34歳ですが、今が一番良い状態です。

ぜひみなさんもトライして自己ベスト更新していきましょう。

年齢は関係ないです。

きちんとやり方など注意して実施すれば誰でも柔らかくなります。


ストレッチのメカニズム

ストレッチの効果を最大限に活かすためにはメカニズムを理解しておくことが大切です。
私の経験上でも、理解してない時と理解してからの効果の差はすごくありました。

複雑に書くと読む気がなくなる方も多いと思いますので、できるだけシンプルに、だけど要点は押さえてお伝えできればと思います。

ここで押さえておきたいポイントは
・伸張反射
・相反抑制(Ia抑制)
・自己抑制(Ib抑制)
です。

伸張反射

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伸張反射とは、筋肉が急激に伸ばされると伸びすぎないように縮もうとする反射のことです。
この反応があることによって、姿勢を保持することができたりもします。
膝の下をハンマーで叩くと膝が伸びる反応を体験したことがある方も多いのではないでしょうか?
この反応が伸張反射の1つです。

ストレッチの時に反動をつけて強く伸ばそうとすると、伸張反射が働いてストレッチしている筋が縮もうとしてしまいます。
筋にかなりテンションのかかった姿勢で強い収縮が加わると筋損傷を起こしやすいです。これによって痛めてしまうという経験を私自身も何度もしたことがあります。

基本的にストレッチでは、この伸張反射がでないように行うのが大切です。
ゆっくりジワーッと伸ばしていきましょう。


相反抑制(Ia抑制)

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Ia抑制は、収縮した筋の拮抗筋が弛緩する作用のことです。
伸張反射の時にもこの現象が起こることで反射現象が強化されています。

これはストレッチの中でも動的ストレッチ(ダイナミックストレッチ)などで利用されているメカニズムですね。
大腿の後面(ハムストリングス)が硬い人は、大腿の前側にある大腿四頭筋を収縮させることでハムストリングスが緩みます。

静的ストレッチ(スタティックストレッチ)も、このメカニズムを使って応用できます。
ストレッチされている筋の拮抗筋の収縮を入れることでストレッチされている筋はさらに伸張させることができるので有効です。
ただし、強度には気をつけないと損傷するリスクがあるので注意が必要です。

また、スタティックストレッチでは、筋出力が一時的に低下するとの報告もあるので、運動時のウォーミングアップなどではダイナミックストレッチが推奨されています。


自己抑制(Ib抑制)

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上述してきた伸張反射とIa抑制は、筋肉の中の筋紡錘が感知することによって起こる現象です。
対して、自己抑制(Ib抑制)はゴルジ腱器官と呼ばれる筋肉と骨をつなぐ腱にある腱紡錘に刺激が伝わることで起こります。

筋紡錘:筋の長さの変化を感知
腱紡錘:筋の張力を感知

筋収縮、もしくは筋が伸張されるとゴルジ腱器官は引っ張られ、腱紡錘に刺激が伝わります。そうすると同筋は弛緩するように働きます。

スタティックストレッチでは、このメカニズムが基本になります。
伸張反射を誘発しないようにジワーッと刺激を入れましょう。

さらにこのメカニズムを応用した方法があります。
例えば、ハムストリングスをストレッチする時に、ある程度伸張位のポジションでハムストリングスに等尺性収縮を入れます。
ハムストリングスが縮むことで腱には伸張刺激が伝わります。
そうするとIb抑制が起こりハムストリングスが緩みます。
このテクニックことをホールドリラックスやPNFストレッチなどと呼んでいます。

ちなみにこのテクニックは、以前は最大収縮で行うことと言われていましたが、軽微な収縮でも効果があると報告されています。


このようなメカニズムを理解して、リスクが少なく、効果のでやすい手法を選択していきましょう。
昔ながらのような力づくで無理矢理伸ばしても、身体は柔らかくなるどころか、かえって硬くなったり、痛めてしまいます。

無理のない範囲で実施していきましょう。
そして、効果を出すためにはなんといっても「継続」です。

短時間で柔らかくなったものはすぐに元に戻ってしまいます。
時間をかけて、継続して変化させていきましょう。



なぜそこが硬くなるかも突き止める

ストレッチをするより効果的な方法も存在します。

簡単に言えば、硬くなることをしないということです。

例えば、長時間椅子に座りっぱなしであれば、圧迫されているお尻周りの筋肉は硬くなります。
スマホをずっと眺めていれば頭が前に出ているので首周りの筋肉が硬くなります。

このように私たちの身体の硬さを作る原因は、普段の生活習慣が影響しています。
硬くなる原因は主に、圧迫、使いすぎ、使わなさすぎです。

アスリートのように筋肉を使いすぎてしまうような人はケアがどうしても必要ですが、不良姿勢による使いすぎなどは改善できます。

なので、ストレッチなど身体のケアをしていて、硬いと思う部位は「なぜそこが硬くなっているのか?」を考えるようしましょう。

その原因となっている動作に注意するだけで、ストレッチなどのケアをしなくても柔らかくなったり、柔らかさを維持できるようになります。


「もう歳だから」は言い訳でしかありません。

あなた(心)が変わらなければ、身体も変わりません。

メカニズムをしって正しく取り組めれば身体は柔らかくなります。

頭打ちになったときは専門家の指導を受けることをお勧めします。


お読みいただきありがとうございました。

謙虚・感謝・敬意
知行合一・凡事徹底
岩瀬 勝覚


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