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肩外側の痛み(QLSとは)

前回に続き、今回も肩関節についての基礎解剖学を整理します。

その中でも、肩の外側の痛みの原因となりやすいQLS(クワドリ・ラテラル・スペース)について。

加えて肩でなく、上腕部や前腕部が痛くなる人も臨床上よく見ます。

それらの原因を解剖学的視点からまとめてみました。


QLSとは?

日本語では「四辺形間隙や外側腋窩隙」と言われる場所です。

上方を小円筋、下方を大円筋、内側を上腕三頭筋、外側を上腕骨によって構成されたスペースのことを言います。

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小円筋

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大円筋

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上腕三頭筋

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このQLSを腋窩神経(上外側上腕皮神経)、後上腕回旋動脈が通過します。

何らかの影響でQLSを構成する筋の緊張が高まった状態で挙上することで、QLSのスペースが狭くなり、腋窩神経を絞扼することで肩関節の外側に痛みがでます。

三角筋の筋出力にも影響が出ることがあります。

QLSの絞扼が原因だった場合、肩の外側が痛いからと患部にアプローチしても痛みは変わりません。

解剖学で、神経や血管の走行まで見ることで痛みの原因が整理しやすくなりますね。



上腕外側の痛みは?

以前の記事で前腕の外側の痛みについても触れました。

前腕外側の痛みは、烏口腕筋を通過する筋皮神経が絞扼されることで起こっている可能性があります。

臨床上、肩の外側の痛みや前腕外側の痛みの他に上腕外側の痛みを訴える人もいます。

このような方たちはどのようなことが原因の可能性があるのでしょうか?

上述したQLSの下に大円筋、広背筋、上腕三頭筋長頭と外側頭で構成されたスペースがあります。

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広背筋

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広背筋は大円筋を後方から前方に巻き込むように走行しています。


このスペースに上腕深動脈、橈骨神経が通過しています。

さらに橈骨神経の分岐である下外側上腕皮神経は上腕外側から肘関節周囲まで分布しています。

つまり、上記の筋の緊張が何らかの影響で高まった場合に上腕外側に痛みがでる可能性があるということです。


多角的視点を持つ


今回は肩の外側の痛み、上腕外側の痛みに対しての一つの視点をまとめさせていただきました。

あくまで1つの考え方ですので、1つの情報に固執するのではなく、しっかりと評価をしてアプローチする部位を選択していきましょう。

また、前回の記事でも触れましたが、その問題となる部位がなぜエラーを起こしてしまったのか?

多角的な視点で考察していきましょう。


お読みいただきありがとうございました。

謙虚・感謝・敬意
知行合一・凡事徹底
岩瀬 勝覚


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