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どこで死ぬ?

放課後。
2人の生徒が誰もいない理科室の窓際で話をしている。

斉藤「やっぱり飛び降りが1番、目立つかな?」

神山「うーん、場所にもよるかもよ」

斉藤「たとえば?」

神山「人通りが少ないとこに身体が落ちた場合、気づいてもらえない可能性もあるじゃん」

斉藤「たしかに」

神山「あの別棟の3階トイレのとこなんて、下に植物植えてあるし、下手したら死なないかも」

斉藤「あーそっかー、死ななかったら意味ないもんなー」

神山「そうだよ、学校で自殺未遂に終わったら、学校に登校しなきゃいけなくなるし、自殺しようとしたら動機とか聞かれちゃうかもじゃん」

斉藤「それは、めんどくさいな」

神山「人間、案外丈夫にできてるから落ちただけじゃ、死ねないっていうのも難点だよなー」

斉藤「それ、お前がいうか?」
ボソッと斉藤。

廊下から教師がやってきて理科室をのぞく。
教師「おい、もう下校時間だぞ」

斉藤「はーい」
教師が開けた引き戸のほうに歩いていく斉藤。

教師「…おい、斉藤。お前誰かとしゃべってなかったか?」
斉藤「…いや」

理科室をもう一度のぞきこむ教師。
教師「そうか、うん。気をつけて帰れよ」
斉藤「はーい」

別々の方向に歩き出す2人。

何かを思い出し振り返る教師。

教師「あ、斉藤ー」
斉藤「え…なんすか?」

薄暗い廊下。絶妙に離れた距離の2人の声だけが響く。

教師「…見舞いには、今も、行ってるのか?」
斉藤「…まぁ、意識ないんで、ほとんど行ってるだけですけど」

教師「そうか…先生もたまに行ってるんだが、親御さんはあんまりいてほしくないみたいでな」
斉藤「はー…そうなんですか…」

教師「…ん、ま、それだけだ、呼び止めて悪かった、気をつけてな」
斉藤「…はーい」

下駄箱で靴を履き替え、外へ出る斉藤。
出たすぐ横に小さな花束が添えられている。

斉藤(俺はうまくやらないとなー、同級生の見舞いも結構しんどいんだぜ、神山)


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