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怖いもの

「生きてて怖いものとかあったりする?」

「なんなん急に。おばけとか犯罪者とかそういうやつ?」

「私、自分の背後に広大なスペースがあることが怖いんよね。やから足のつかない深さの海で仰向けで浮かんだりできへんねん」

「あ、そっち系の怖さね。たしかに沖のほうの黒くなった海面を上からぼーっと眺めてると引き込まれそうになる気持ちやったらわかるけど」

「ふーん、わかるんや。たぶんな、私の前世はかたつむりやと思う」

「ん?待って。急になんでそうなるん」

「背後にスペースあるのが怖いってことは何かを背負ってたら安心するってことやん。せやから私はぐるぐるを背負って生きているかたつむりやったんやわ」

「でも自分、雨嫌いやん」

「いや、雨の音は好きやねん」

「あ、でも、かたつむりのぐるぐるってたしか生まれた時から付いてる身体の一部やで。赤ちゃんかたつむりにも付いてるやん、ぐるぐる。やから厳密に言うと背負うてるってわけでもないな」

「ほんまや。ほな変えなあかんやん」

「前世変えるってなに。未来は変えられても過去は変えられへんよ」

「・・・ちょっとアイス食べてくるわ」



なんか間違えたかな。最後の台詞。


今日から7月。一年の折り返し。

まだまだ歪な世の中だけど、

こんなくだらない会話が今後も続くといいな。


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