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くにん
2021年4月29日 22:45
「あぁ、退屈だ。退屈だよ、君。何か面白い事件でもないかね」 応接室の中央に置かれたソファーに座り込んで新聞を読んでいた僕に、応接室と続きになっている事務室の奥から、なんとも形容のし難い弛緩した声が投げかけられた。 確認をせずともわかる。どうせ、事務室の大部分を占めるほど大きな事務机の上に足を投げ出して、昇りゆく紫煙をぼんやりと目で追いながら、心の底から嘆いているのだろう。神の如き自分の知を満足