見出し画像

懐かしいドラマと「お客様は…」

接客業の接遇という分野においていつの時代からか「お客様は神様です」という言葉が出てくるようになった。お客様の要望に100%応える事こそ接客の使命であり求められるものという考えでした。

ただ時代の変化とともに「クレーム」という言葉が普及するレベルには無理な要求をする人も目見られるようになったことも現実で、そういった人からの言葉に傷ついて仕事を辞めてしまった方も多くいたと思います。

ふとそんなことを考えていたところ、思い出したのが「王様のレストラン」という作品でした。
この作品は1995年に放送されたドラマで、父が所有していた寂れたレストランを引き継いだ息子がかつての父の親友であった伝説のギャルソン(男性給仕・ウェイター)とともに経営も職場環境をも立て直していくという物語です。

その中での当時の松本幸四郎(二代目 松本白鸚)さんが演じるギャルソンの千石さんが横暴な客に毅然と発したのが

「私は先輩のギャルソンに、お客様は王様であると教えられました。 しかし、先輩は言いました。王様の中には首をはねられた奴も大勢いると」

「王様のレストラン」 千石武

というセリフです。

この言葉を初めて聞いたときは、「嫌な奴を追い返す千石さんカッコイイ」程度の認識でしたが、大人になり、仕事をしてこの言葉の力強さを改めて感じる事ができるようになりました。
私たちの仕事に対価を払ってくれる顧客に対して敬意の気持ちを忘れてはいけないのは確かな事です。ただし、顧客の機嫌だけを伺い、言う通りにしているだけならば、その仕事に責任は負えませんし、仕事のために知識を蓄えたりすることはできませんし、そこにやりがいを見出すことはとてもじゃありませんができません。

また、相手によって意見や態度を変えてしまうようでは、他の顧客からの信頼を失います。顧客の信頼を得られなければいずれ仕事は回ってこなくなります。
ここから得られる知恵は「仕事に対して信念を持ち、一貫した対応をすること」と「顧客に対して敬意を示すこと」が大切だということです。この一貫した姿勢を歪めようとする顧客に関してはきちんとNOを突き付けられる事は他の顧客への信頼を失わない事に繋がるのでしょう。

こういったクレームがあった場合、たいていは顧客と揉めない事を最優先に行動しがちだと私は考えています。しかしもめない事ばかりに気を取られて一貫していない行動をとることは他の顧客からの信頼を失いかねません。今、目の前にいる顧客が「正しき王」か「邪知暴虐の王」なのかを見極めて、仕事として引き受けられない事はその通りに伝える事の大切さを改めて考えました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?