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テレワーク時代。郊外に住んでみるという選択。〜西埼玉暮らしのコラム【1】

皆さんの職場ではテレワーク導入されていますか?業種や職種にもよりますが、コロナウィルス感染拡大防止の観点から自宅等でのテレワークを推進している企業は多く、筆者の周りにもテレワークで勤務する会社員が多くいます。
そこで検討にのぼるのが、働く場所と住む場所。地方に移住したひとのエピソードもTVやWEBメディアでしばしば眼にします。

私が勤務する渋谷区の映画関連会社は2020年3月頭から完全テレワークを実施。G.W明けから週1日~2日出社の形になりましたが、現在でも1週間のほとんどをオフィスに出勤せずに働いています。(職種は企画・広報)
そんな状況に合わせて、私は3月末に井の頭線「池ノ上」の単身用賃貸マンションから、埼玉県所沢市の実家に転居。首都圏郊外に生活の比重を移しました。

このコラムでは、コロナ時代に働く場所・生活する場所がどう変わっていくのか、「郊外」の持つ可能性という視点で考えて行きます。全4回の予定。脱・東京を考えている人に届けば嬉しいです。

初回の今日は、私の現在のライフスタイルについてご紹介します。

1. 「所沢」ってどこよ?

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知らない人は知らないと思うので、埼玉の地理について軽くご紹介するところから始めます。所沢市は上の地図でいうところの、濃い黄色「西部」の一番東に位置する自治体です。南隣は志村けんでお馴染みの東京都東村山市。さらに南進すると国分寺です。
都内とは西武池袋線と西武新宿線でつながっていて、池袋まで急行で25分、新宿までは35分です。池袋線は練馬から有楽町線・副都心線(さらに東横線)に乗り入れるので、有楽町にも渋谷にも横浜にも1本でいけます。
とはいえ、そこは漫画『翔んで埼玉』に描かれる埼玉県。駅周辺は賑やかですが、その外側にはのどかな農村風景が広がります。

2. 自宅とは別に事務所を構えた。

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上の写真は、自宅から自転車で15分弱の旧市街に構えた事務所兼店舗。
築52年木造2階建て。昭和感漂う物件ですが、その一室を80万円ほどかけてリノベーションしました。一人暮らしをしていた頃の家具をそのまま使用したり、壁をDIYで塗ったりして費用の圧縮に努めました。
週に1~2日の出勤日以外は勤務先の業務を行う事務所として使用、土日には小さな古書店兼コミュニティスペースとして開放しています。

勤務先は従業員20名ほどの小さな会社ではありますが、全社的にテレワークを導入しています。家族のいる家でオンライン会議となると、プライベートを晒さないように気をつけたり、Wifi環境が弱かったり、同僚たちは苦労があるようです。その点、自分の事務所を持っていると、周りに気兼ねすることはありませんし、新規格の光回線を導入したため回線速度や安定性で困ることはありません。

「事務所を持つって維持費がかかるのでは?」と思われる方も多いでしょう。都内でしっかりとした事務所用物件を借りようとすると、ご懸念のように、わたしのような小さな企業の一社員の収入ではとても手が出せません。
ですが、そこは郊外。市場に出ていない古い空き物件は結構あります。わたしの事務所の場合は地元の不動産屋さんが物件オーナーで、地域の編集拠点として街に貢献するという趣旨で、お手頃な家賃で貸していただくことができました。

リノベーション可能物件というと特殊ですが、市場に出ている物件でも古いアパートなどでは3万円代からあります。事務所としての場所を持つだけなら、誰でもハードル低く実現できそうです。

3. 週末起業を実現した。

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起業と言っても個人事業主ですが、会社勤めの傍で、土日だけ事務所をきれいに片付けて「古書店」兼コミュニティスペースを運営しています。

実は2018年から地元・所沢を含む埼玉県西部地域をフィールドに個人で地域のプロジェクトを立ち上げて動かしています。それについては別の機会に書くとして、拠点として場所を持つことはコロナ以前から考えていました。

副業兼業は働き方改革の流れで以前から認められていましたが、テレワーク&フレックスタイム制の導入はライフスタイルの地元シフトを加速する結果につながりました。
オフィスへの片道1時間超の通勤時間はなくなりましたし、地元での打ち合わせなども会社の業務時間に縛られることなく行えるようになったからです。都内での会食やイベントごともなくなり、その分の時間とエネルギーを地元の活動にあてることができています。
夜は夕食どきに帰宅して母親の手料理を毎日食べています(←自立できない息子、否、子離れできない母親)。この原稿書いている今は深夜ですが、8時まで寝ていられるので多少遅くなっても大丈夫。生活は夜型になりました。

「いつかお店をやりたい」という夢を持っている人は多いと思います。
でも、その言葉の影には「けど無理」という諦めの言葉がセットになって語られています。
なぜ無理かと聞けば、「お金がかかるから」という理由が大半ではないでしょうか。いや、実際はどうかわからないですけど、かつて自分が躊躇した理由はそれでした。

収入源が別にある「週末起業」であれば失敗したときのリスクも小さいスモールスタートが切れる。気軽に挑戦できる環境と先例があれば、「いつか〇〇したい」という夢を、より現実的な行動に移していけると思います。
郊外の魅力はなんと言っても家賃の安さ。はじめて2ヶ月ですが、家賃分くらいは売上でなんとかなっています。スモールビジネスの場所として郊外を選ぶのは、一つの戦略だと思います。

3. 空が広いとか土に触れるとか

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写真は事務所から歩いていける高台から青梅あたりの山に沈む夕日を撮影。
撮ったのは桜の季節。まだ都内で生活していた頃ですが、コロナの自粛下でどこにもいけない状況でコンクリートばかりの土地で生活していたら、この風景が日常の中にあることに心が動きました。
マスクを外して堂々と息が吸えて、そして遠くまで見渡せる。
都内にいると、空を見上げるっていう時間が全くない。でも、この地域だと、生活動線上で空を見上げる機会が毎日どこかにある。それは、抜けるような青空だったり、燃えるような夕焼けだったり、夜の帳が落ちるそのときの紫が藍色に紺色に変わっていく様だったり。

生活コストが安いと言うだけでなく、自然や生活のゆとりから受ける非金銭的な価値を日々受け取ることができる。
都会で生活したからこそ有り難く感じる価値です。

次回は、都心/郊外/地方の中核都市/中山間地域にわけて、その地に住むメリットデメリットを考えます。近年の「移住ブーム」の中で「東京」か「地方」か、みたいな2択でフレーミングされがちですが、もう少し言葉の解像度を上げてオルタナティブな選択肢を提案します。

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