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ビジネス場面における言語化スキルについて

私は日本国内で日本語教員として活動した後、専門学校や大学でキャリア支援を行ってきました。面談を通しての履歴書作成や本番を想定した面接のサポートなどを行うことで数々の内定に関わってきました。
 しかし、中には不本意にも早期退職をしたケースやなかなか内定に至らないケースもありました。退職には至らないまでも職場でうまく行かずに苦悩しているケースも多々ありました。そして、そういったケースにしっかりと耳を傾けると、「言語化スキル」が影響しているケースが多くありました。
 職場の人間関係がうまくいかない、職場内や顧客と信頼関係が築けない、求められる成果を出せない、等々です。
 考えてみると、就職・転職活動を含めビジネス場面では単に「伝える」だけでは不十分なのです。コミュニケーションをよく「考えや想いを伝えること」と解釈されますが、ビジネス場面では単に伝えるだけでは不十分で、相手を動かせないといけないのです。つまり、お客様に買ってもらったり、選んでもらったり、採用してもらったりというように動いてもらわないといけないのです。
 それまでの小学校から大学、短大、専門学校までの教育現場では「伝える」ことで良しとしていたにも関わらず、就職活動を皮切りにして突如、伝えるだけでは不十分となるわけです。
 冒頭から述べている「言語化スキル」とは、単に伝えるだけではなく、ビジネス場面で関係する人に意図したように動いてもらうためのスキルのことです。
 この言語化スキルは、時間と経験を経ると、一定程度獲得されるものでもありますが、非正規雇用が多くなったり、終身雇用が崩れるなどの流動性が高まると、これまでのような獲得が難しくなっています。加えて、現代のようにSNSを活用する機会が多くなると、そもそも言語化する機会や場そのものが限られてしまいます。
 さらに、言語化スキルは、教育現場では学ぶことはできません。ビジネススクールでもビジネスマナー程度にしか学ぶことはできません。大学等でのキャリア支援も入職後のことまでは支援に入っていません。
 このような状況の中ですでに様々な弊害が現れています。
 例えば、世代を超えた人間関係が構築できない、職場で人間関係がうまく作れないといったことやお客様にうまく説明できない、説得できない、勧められないといったこと、同僚や上司にうまく「ホウレンソウ」できないといったこと、さらには、そもそも顔が見えない人と電話ができないということすら起こっています。
 したがって、これからの時代に向けて、私は言語化スキルをブラッシュアップできる場が必要になると考えます。一定のファシリテーションがあれば、短期間でブラッシュアップすることが可能です。
 言語化スキルがブラッシュアップされると、その人のビジネスにおける信頼や可能性が広がるだけではなく、関係する人たちも働きやすくなり、結果として業務効率が上がり、それらが消費者である私たちの生活のしやすさや豊かさに還元されるのです。
 これからの時代には、まさに言語化スキルのブラッシュアップこそが求められる時代になると考えます。
 そこで、次に言語化スキルとして、具体的にどのようなスキルが必要になるのかをお届けしたいと思います。

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