へっど

オプトのデジタルプロモーションで僕がやってきたこと #弊社のPMはこんなふう

はじめまして!HALと申します。
(東京○ード学園ではないので悪しからず。)

僕は現在、株式会社オプトというデジタルエージェンシーに勤務しており、企業や商品・サービスのブランディングからダイレクトマーケティングのクリエイティブ表現を設計するArt Directionを仕事にしています。

さてさて、なぜnoteを書こうと思ったのかというと。

少し昔になりますが、弊社の三川夏代の計らいで、りょかちさんに来社いただき、【WEBで文章書くの「楽しす!」になろう】勉強会という講座をしてもらったことがありました。

その時をきっかけに、化石化していたTwitterを掘り起こし、改めてつぶやき始めていたのですが、たまたま先週、りょかちさんの#弊社のPMはこんなふうというnoteを読みました。

「確かにPMって現代の職能としては、めちゃくちゃ重要なんだけど、田舎にいる自分のおかんに説明しても、ぴーえむ??え???ってなるし、一緒に働いている人にもPMがいることで、どんな良いことがあるのかって、わかりづらいよなぁ。。」と思いまして…。
言ってしまえば、めちゃくちゃ共感したのです。

ただ、僕はデジタルエージェンシーでのArt Directorという職業なので、僕がやってきたPMは、デジタルプロモーションの表現における「Project Management(プロジェクトマネージメント)」です。

表現と進行の管理もするADの視点で、PMとはどんな職能で、PMがいればどんな良いことが起きるのか、PMスキルとは何か、を伝えることで、今後一緒に仕事をする可能性のある方々や、うまく仕事が進まないなどの課題を持っている方、PMを志す方の助けになればいいなぁと思い、noteにまとめました。

正直いうと私の会社でもそうなのですが、PMって職業であったり、職能であったりと、会社によって定義が違うと思っています。
できれば、各会社独自の”PMな人”にも書いてもらって、PMの仕事の中身の違いを話し合える機会などが生まれれば面白いなぁと思います。

このnoteで取り上げるPMとは?

僕は元々、イラレのベジェ曲線に惹かれた独学フリーの亜流デザイナーだったのですが、フリーでWEB案件が増えてきたのを境に一人で対応することの限界を知り、WEBの制作会社に入社しました。制作会社ではデザインもしつつ、業務幅を広げるためにWEBディレクターとしても活動した後、現在のオプトに転職しました。

今の部署では、不動産や金融、コスメ、消費財、エンタメなどなどの幅広い大企業の広告主パートナーを相手にブランディングの支援をしています。その中でも僕の仕事は、デジタルプロモーションにおけるクリエイティブの表現・印象の設計と全体統括と進行の管理です。また最近では、自社の広報用クリエイティブも制作しています。


■ブランドコミュニケーションは複雑
一言で、「デジタルプロモーションにおけるクリエイティブ表現を設計する」と言っても、管轄範囲は非常に広くなります。SNSや動画、DSP・ADNW(サイトの右カラムに出たりするバナー広告)、LP、メディア記事があげられますが、なんなら案件によっては、デジタル以外にもポスターやDMなども作ります。それはそれは、かなり複雑化したコミュニケーションになります。

おそらく広告に接触する人たちは、そんなこと考えたこともないと思います。しかし仕掛ける側からすると、かなりカオスな状態で、クリエイティブの数も相当数必要になり、 社内外問わず「てんやわんや」することもしばしばなんです。

■「てんやわんや」を回避するのが僕の役割
このように、デジタルプロモーションにおいては、クリエイティブの数や、様々な施策が連動するスケジュールの中で「てんやわんや」する状況を回避することが僕の役割となります。

さらにいうと、PMがいることで、関係する人間のストレスを減らし、生産性を向上させ、仲間として一緒にものづくりを楽しめるようになっていくことができると思っています。

次から、この役割についてもう少し詳しく書いていければと思います。

PMとしての僕の役割とは?

デジタルエージェンシーにいる様々なPM
デジタルエージェンシーである弊社では、社内外問わず様々なプロジェクトやプロダクトが発生するので、PMをしている人はたくさんいます。

例えば、

1,マーケティング戦略視点から「プロジェクトを管理するPM」
事業戦略や商品・サービスの販売戦略から落とし込んだ施策を実行する際に「戦略上適したアウトプットになっているか?」という視点で、全体を管理するPM

2,プロセスよりも納期を追いかけている「企画営業のPM」
クライアントとのコミュニケーションや予算管理上、納期を守ることが最も優先順位が高くなり「いかに安全に納品するか?」という視点で管理するPM

3,何百何千ページもの大規模「webサイトの進行を管理するPM」
制作パートナーとリレーションを組み(というかもはや半分以上案件時は制作会社の人)大ボリュームのサイト制作を「効率的に進める」視点で管理するPM

おそらくもっとあるかもしれません。

共通しているのは「プロジェクトマネジメント=案件管理」なのですが、「プロジェクトマネージャーが存在する目的が違う」という点がポイントだと思っています。

■僕が管理するのは「Q>CD」
僕の場合は、1に近しいPMの役割を担っています。購入や想起などのプロモーション目的を達成させるために、多数あるクリエイティブのクオリティに重きをおいたQ>CD(品質を高めるため・コスト・納期)を管理・調整するPMとなります。

事例:僕の具体的な動き方

僕が実際にPMの役割を持って、対応した二つの案件を紹介します。

■大手不動産仲介のプロモーション
こちらのクライアントは、関西の広告主パートナーで本社も関西にあり、かつブランディングプロモーションが初めて。東京進出で東京での認知を高めるためにデジタルでプランニングをしてほしいという与件でした。
営業とお客さんは関西にいるため、テレカンでの連絡を取らなければいけないというコミュニケーションハードルの高さと全体施策の複雑さもあり、上長からお願いされてジョインします。

まずは、企業の商材理解から。もともと不動産広告は長くやっていたこともあったので、どんなポジションをとり、どういう戦略でプロモーションしていくのか?というそもそもの市場理解はできていました。

ただ、やはり関西に本社があり担当者も関西にいることで実際には会う機会が極端に低いため、一番気をつけなければいけないのが「どうやったら、テレカンで意思や情報を引き出し、説明時も納得できるか」という点。

事前の社内定例で整理した内容をさらにポイントをつまんで、伝えやすく整理し、身振り手振りも交えながら、先方とのミーティングをしました。またこちらからのクリエイティブの提案時にも、別途説明用の資料も作成し伝えることで感覚とロジックのどちらにおいても納得しやすい状態にしてミーティングしていきました。

何回かすると、先方もやり方にも慣れができ、「こういうこともできるよ」というように、プロモーションを膨らませて行くこともできていたのを覚えています。
結果としては、与件が拡大し施策もポスターデザインや、チラシ配布なども追加で案件化し、目的も達成できました。

<この案件におけるPMの役割まとめ>

・離れていても自分たちが楽しく作っていることを伝える雰囲気をつくる
・「もっとこうしたら!」という相手のクリエイティビティを引き出す会話
・要望や考えを相互理解できるまでの説明方法の工夫
・確認するものなどの重複がないようにする全体スケジューリング


■大手金融業界の老舗証券会社バズプロモーション
老舗の証券会社ということもあり、もっと若いターゲットに対して投資信託のサービス認知を高めるために、当時の流行りだった”バズを起こしたい”という案件でした。

元々はダイレクトマーケティングでのお付き合いだったので、ブランドプロモーションのリテラシーは高くないという点と、webページ自体のプランニングも必要だったため、ジョイン。

金融業界は全く皆無だったので、まずは商材やマーケットの理解を詰め込みました。市場調査とともに競合はどんなことやってるのか?や、なぜ投資信託って若い人たちに定着しづらいのか?というのを整理していきました。

施策としては小出しでSNS企画・動画・キャンペーンページと、webメディア記事など、色んな弾を打ちまくるマシンガンプロモーションだったので、3Cなどを始めとした事前に分析した内容を判断軸としながら、どうやったらもっと良くなるのか?のミーティングと社内にいる各施策のメンバーと個別で会話を重ねることで、意思情報の疎通をしつつも、アウトプットのクオリティを高めながら作ることができました。

できたアウトプットに対して納得してもらうためにしたことは「バズ」という面白いだけでは説明がつかない点を、各施策との連動性によって施策の波及を増幅させていくという考えをベースに、細かい部分の説明をすることで、納得してもらうように工夫し、結果、リアルタイム検索で#ワードが上位までいき、認知効果も前年比でかなり取れました。

<この案件におけるPMの役割まとめ>

・ブランドとダイレクトマーケの違いを理解しやすくする雰囲気づくり
・3Cの分析などから、ターゲットに対するアウトプットの判断軸を持つ
・密度を高めた社内メンバーとのコミュニケーション
・単一の施策の説明の前に、連動を前提としたアウトプットの説明

PMとしてのミッションは”関係者すべてを円満”にし、アウトプットに”+α”を生むこと

■僕のPMとしてのミッション
僕のミッションは、「広告主パートナーや社内メンバー、制作会社のパートナーなど、関係するすべての人を円満にする」ことです。ただの進行管理ではなく「円満」を意識していることには理由があります。

デジタルエージェンシーの仕事には、「広告主」「エージェンシー(代理店)」「制作会社」という3種類のプレイヤーがいて、社内外でひとつでも伝える内容がずれると、全ての行為がずれていくリスクの中で、仕事をしています。

なので、第一優先は「目の前の人は、何を伝えたいのか?」から理解すること。そして次に「この人へこの情報はどうやったら伝わるか?」という伝えること。を目的にすることで、ヒアリングする方法や、確認する粒度(どの段階のアウトプットで伝えるか?)や、人を見て説明方法を考えるという手段が生まれます。

関係者を円満にできると、アウトプット(デザイン・企画・発想)にも”+α”が生まれる
これは、今まで記述した「コミュニケーションを円満にする」を実行することで”GOを出す広告主側”と”GOをもらう制作会社側”の間にある、理解の差を埋めることができます。そうすると、時間に余裕が生まれ、「なにができるのか」を考える時間を自然と作ることができます。キービジュアルが必要な場合は、結構具体的なクオリティで様々なパターンが出てくるので、議論もできます。説明が苦手な人は説明を成立させる時間や、作りたい人はもっと他案を作るなど、仕事のクオリティが上がります。

■そして、広告主への信頼につながる。
(僕がクリエイティブの人間だからかもしれませんが、)もっと、良いものを作りたいという意識が強いのもあり、円満にプロジェクトが進むと、心にも余裕ができ、広告主のパートナーとも信頼が生まれ「この人なら任せても大丈夫!」となることが多くなります。

代理店としては予算を持っている広告主に対して「もっとこうやったほうがいい!」というのが言いやすくなり、クリエイティブも表現上の制限も緩和されていくので、パートナー企業も社内のメンバーとも、有機的な議論による共創環境が整い、良いものを作りやすくなっていくのです。

優秀なPMは、着火剤を誰にも見せずに処理をする。

いいことばかり言いましたが、やってはいけないこともあります。
その一つは「着火剤を見せない」ことです。

「ふぁ!?」

となると思いますが…。


例えば、提案した内容が実行まで詰まりきってなかったものなどは、その段階で代替案を即時に洗い出します。そのためのミーティングや、またはもっと良いものの中で、指針と離れすぎてあまりにも危険な場合は、代替案についての会話をかさね、見つけ出します。

PMになるために必要なスキル

弊社ではアカウントプロデューサー(企画営業)がPMという機能を持ち合わせることもあります。PMを目指す人に言えることは、「ヒューマンスキル」がかなり重要だということです。

PMとはについて書かれている本はたくさんありますが、僕自身初めてPMの役割をした時に参考にしたのは、PMBOK(プロジェクトマネジメント協会というところが発行している)というコロコロコミックの3分の1くらいの厚さのPDFをパラパラと見ていました。
が、やっていくうちに、それ以上に、許し・許されあうチームビルディングをするためには「尊敬」が一番であり、それを他者に持ち、面白いものを作っていくためにチームを作ることだと実感しました。

そして今、PM機能を持っている人には、関係する人がどういう人なのか?という”もっと人への興味を持ってコミュニケーションをとってみる”といいと思います。
目的達成だけではなく「円満」にするためには「何が足りないのか?」という視点を持ってもらえればいいかなと思います。

今後、PMという職能は誰しもが必要になってくると思います。

企業でも個人でも、成長を求める人は目標がどんどん大きくなっていくと思います。「一人での限界」に到達した時に、他者との関わりを持つことになるので、一緒に動きやすい環境を作れるよう「円満」に「楽しく」をテーマに、足りない部分を補いながらチームビルディングができるようになっていければ幸いです。

情熱が強いので、長くなってしまいましたが、
まずは、目先の事象に対して視点を持ってもらえればと思います。

デジタルプロモーションにおけるPM 5つのキーワード

最後に、僕がPMをするときに気をつけていることを5つにまとめました。

■HAL流 PM5つのキーワードで「円満を生む」

1,翻訳
チーム内で共通認識を持つためにチームメンバーの言葉を翻訳し、
2,円滑
関係者のコミュニケーションを円滑にする。
3,楽しい
全ての人間をチームと捉え、関わることが楽しいという空気と、
4,自由
各人が自由に発言できる、余裕のある環境をつくる。
5,安心
いざという時でも安心して任せてもらえる関係に。

長々と書いてしまいました。読んでいただいた皆さんありがとうございます。今後も僕自身が、今やっていることや頭の中をnoteに書いて出していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。

ありがとうございました m(_ _)m

HAL(長谷川春)|Art Director

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