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【隙間怪談-3-】

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#怪談

落ちてきているの

江本さんの自室には、天窓がある。

「えっとねえ。俺の部屋は2階で、天窓があってすりガラスだけど空が見えるんだ」

わかるかなぁ、と図に書いてくれた。
一般的な真四角の部屋に、天井に一畳分くらいの天窓がついている。

「……それがさぁ」

一昨年の6月半ばごろ。
深夜、雨が天窓を打ち付ける音を聞きながら江本さんが眠っていた時。

……――――ドン!!!!!

鈍い音が天井を鳴らした。

「すごい音

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心霊写真たち

心霊写真たち

「これ、どう思う?」

麻友(まゆ)さんが机に何枚かの写真を並べて言った。
これ、というのは写真である。

先日、大掃除をしていたら箱の中から中身の入った茶封筒が出てきて、開けてみたら沢山の写真が入っていたのだがそれが“おかしい”から助けて欲しい……ということである。

一見、普通の写真に見えるそれは麻友さんと男性のツーショット写真だ。

何枚もの写真。
1枚1枚、麻友さんは別の男性と写っている。

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私には見えない(2)

私には見えない(2)

前編:わたしには見えない(1)

「あの時の母は見た事ないような顔で私の事見てて、すぐにハッとして“おかえり”って言ってくれたけど学校で起こった事件の事なんて話す気になれなくてね……」

気が重いまま今のソファでお菓子を食べている間、夕方のニュースではまたあの子のニュースがやっていた。
知っている場所が次々とテレビ画面に現れてスリップ痕やまだ残る小さな血痕を映してゆく。

「母は忙しそうに家事をし

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私には見えない(1)

私には見えない(1)

「あのね、人って呪えるんだよ」

曽根(そね)さんはかつて、中学校に通っていた頃に出来心で人を呪った事がある。
ちょっとした諍いが原因ではあったものの、当時考えられる中では一番酷い方法で相手を呪ったという。

「当時ね、苛められてたんだ……それで、相手をどうにかしてやりたくて……」

苛めはひたすら、無視されるというようなものだった。
きっかけはわからない。
殴られたり蹴られたりしたわけではないが

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