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私には見えない(2)
前編:わたしには見えない(1)
「あの時の母は見た事ないような顔で私の事見てて、すぐにハッとして“おかえり”って言ってくれたけど学校で起こった事件の事なんて話す気になれなくてね……」
気が重いまま今のソファでお菓子を食べている間、夕方のニュースではまたあの子のニュースがやっていた。
知っている場所が次々とテレビ画面に現れてスリップ痕やまだ残る小さな血痕を映してゆく。
「母は忙しそうに家事をし
私には見えない(1)
「あのね、人って呪えるんだよ」
曽根(そね)さんはかつて、中学校に通っていた頃に出来心で人を呪った事がある。
ちょっとした諍いが原因ではあったものの、当時考えられる中では一番酷い方法で相手を呪ったという。
「当時ね、苛められてたんだ……それで、相手をどうにかしてやりたくて……」
苛めはひたすら、無視されるというようなものだった。
きっかけはわからない。
殴られたり蹴られたりしたわけではないが