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お月様との距離は埋められない

幻想的に輝く、お月様。

手を伸ばせば掴めそうで、掴めない距離。いつだって手を伸ばしてみたけれど、掴めることはいつもできなかった。こんな近くにいるのに、どうしても掴めなくてもどかしくて泣いた。「なんで、なんで」そう嘆いて。いつも宙を掴んでは、ないも掴めていないことを手を開いて確認してそっと呟いた。「掴めなかった…」でも、いつだってわたしたちを照らしてくれていた。

あの距離に届くと、違う世界に行けそうな気がした。今はそのタイミングではないだけでいつかは行ける、そんな気がしてならなかった。「そんなことはない」なんて笑われても吹き飛ばせるくらいに信じてみた。あのお月様の中に入ったらどんな世界が待っているのだろう。きっとうさぎさんがたくさん住んでいるのかもしれない。すてきなお星様のステッキを渡され、走り回っているのかもしれない。お星様の髪飾りを付けているのかもしれない。そんなかわいい世界なのかもしれない。

あの輝きにずっと照らされていたかった。行けることはないのに、そんな世界だとたのしいなと思ってしまっていた。

嫌になってしまったこの世界で、かなしみがあるこの世界で、苦しみの世界で、わたしを輝かせてくれるのはお月様だけだった。このときだけは、わたしだけをいつも照らしてくれる。わたしがわたしではないみたいに。お月様と会えるこの時間はわたしの宝物だった。

霞んでしまっても、見えなくなってしまっても、わたしだけを包んでくれるお月様はどんなときも味方だった。だからわたしに翼が生えたら、真っ先にお月様に行こう。







そんなありえない夢物語があってもいいと思った。

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