やりたいことが言えなくなった
ふと、わからなくなった。本当にわからなくなってしまった。わたし、なにがやりたいの。どうしてこれをやっているの。なにをしているの。なにを見ているの。なにを聞いているの。どうしてここにいるの。どうして、どうして。笑えなくなったの。
あわただしく過ぎていく毎日になにも関心を持つことができなくなってしまったのはいつからなんだろう。過ぎていく日常に無関心になってしまった。いつものようにすべきことをして1日を終えていく。今日もやっと1日が終わった。窮屈だ。息苦しい。そんな気持ちを感じはじめたのはいつからだったっけ。もうそんなこと覚えていないや。随分と前に感じる。
昔みたいにキラキラすることなんてもう言えない。絵本のおとぎ話のような、キラキラ脳内お花畑みたいな発言なんて、できっこない。やりたいことだってない。昔はかわいい発言だってしていたと思う。いつからか、そんなことも言えなくなってしまった。笑われることに恐怖を感じてしまったから。あなたたちの視線がこわい。
若いって分類される年齢はとうに過ぎてしまったけれども、わたし本当はキラキラかわいいものがだいすきなんだ。もうそんな年齢ではないのかもしれないけれど。王子様にいつまでも夢見ていたいし、プリンセスにだってなりたい。大きなお城にだって住みたいし、お庭でガーデニングだってしたいし、すてきなドレスだって着たい。そして、たくさん愛されたいし愛したい。そんなこと大声でなんて言えないけれど。きっと笑われてしまう。
年齢を重ねるごとにどんどん言えないことが増えていく。そして、すきなものもたくさん増えて溢れていく。大事なことも抱えきれないくらいにたくさん。子供のようになにもかも言えることはなくなってしまったし、自分の感情を素直に外へ出すことなんてできなくなってしまった。けれども。
けれども、わたしたちは今日も自分の世界を生きる。
なにを言っても笑われない、そんな世界で。たのしいときに笑えて、かなしいときには泣けるそんな世界で。やりたいことができる世界で。応援してもらえる世界で。わたしたちの世界はわたしたちの世界だ。誰にだって邪魔させない。わたしたちの世界を壊していいのは、わたしたちだけだ。
だから、わたしたちは今日も生きていく。
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