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クリティカルシンキング(批判的思考)

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2021年3月の記事一覧

非現実的な目標がもたらす悪い効用「批判的思考」+29

クリティカルシンキングシリーズの続きです。(+10,+20,+21,+22,+23,+24,+25,+26,+27,+28) 前回は、帰属を再考することで、自己効力感を高める方法について説明しました。今回は、帰属をするうえで無力感を感じやすくなってしまう非現実的な目標について説明します。 非現実的な目標は無意味これは実話なんですけど、会社の社長が来年の売上目標を社員に発表するとき、「実現可能だと面白くないから売上50%伸ばすのが目標で!」と言ったんですよ。 その目標を聞

失敗を努力でカバーするコツ「批判的思考」+28

クリティカルシンキングシリーズの続きです。(+10,+20,+21,+22,+23,+24,+25,+26,+27) 前回は、自分の行動を帰属するときの2つのパターンを紹介し、「自己効力感」が大事だと説明しました。 今回は、「帰属を再考」して自己効力感を高める方法を説明します。 ドラえもん映画のサクセスストーリーの秘密ドラえもん映画でのび太がカッコよく見えるサクセスストーリーは、 ①のび太くんが失敗する→②のび太くんが失敗を自分の能力のせいにする→③なにかが起こる→④

自己批判を賢く使うためのコツ「批判的思考」+27

クリティカルシンキングシリーズの続きです。(+10,+20,+21,+22,+23,+24,+25,+26) 前回は、自分に都合のよい言い訳を作る「自己ハンディキャッピング」について解説しました。 今回は、自己効力感を高めつつ、言い訳をしない考え方について説明します。 自己欺瞞の有用性と危険性事実を自分の都合よく解釈する行為は、自分の身を守りも攻撃もします。時と場合によって、プラスにもマイナスにも働くのです。 たとえばぼくたちは、物事を成し遂げたときの有用感、つまり「

言い逃れ癖が付くと人生オワタになる理由「批判的思考」+26

クリティカルシンキングシリーズの続きです。(+10,+20,+21,+22,+23,+24,+25) 前回は、被害者の罪を過度に大きくする「公平世界仮説」について説明しました。 今回は、他者への印象づけに使われる「自己ハンディキャッピング」について説明します。 だれもが印象を管理しているたとえば、あなたが自宅のインテリアにこだわりを持っているとします。その理由はいろいろあるでしょうが、そのこだわったインテリアは、あなた自身の印象にもつながっていきますよね。 装飾にこだ

「自己責任」という名の公平性の押し付け「批判的思考」+25

クリティカルシンキングシリーズの続きです。(+10,+20,+21,+22,+23,+24) 前回は、心のなかに2つの意図がバッティングすると起こる認知的不協和について説明しました。 今回は、「公平世界仮説」についてご説明します。 思い出を作れないのは自己責任?たとえば、高校時代に良い思い出を作れなかった学生が、その事実を後悔しているとしましょう。客観的に見れば、良い思い出を作らなかったのは自己責任。しかし実際には、世界的に感染症が広まっており、外出禁止令が出ている事実