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精神科看護師のメンタルヘルス

精神科看護師のイメージといえば何が思いつくでしょうか。

大変そうと言われたり、興味津々にどんな感じなの?と聞かれることもありました。または精神疾患大国とも呼ばれるほど精神疾患の患者が多い日本では、病気を抱えた家族や友人がいる方もいます。
また「心が引っ張られちゃうんじゃない?」と他の科で働く看護師仲間に心配されることもしばしばありました。
そんな精神科看護師であった私自身が臨床の現場で働いていた当時、自分自身のメンタルヘルスをどのように健康に保っていたのか書いていきます。

精神科の現場の現実

これまで私は病棟と訪問看護、合わせて4年弱精神科看護師として働いてきました。その中でたくさんの患者と出会い、話しやすいと良いフィードバックをいただける方や、ありがとう、といった感謝の言葉をもらうこともありました。
反対に暴言や暴力、セクハラも日常茶飯事でした。
これが日常茶飯事であってはいけないですし、精神科への怖いイメージを皆さんに持って欲しいわけではありません。
ただ、精神疾患があるからと言って許されるべき行為ではないと私自身が感じたからこそ、現実に起きていた病院や訪問看護の現場でのネガティブな面の事実を書いています。

精神科で疲弊する同期や後輩

精神科は若い看護師や未経験で入職する看護師が多いです。
というのも精神科は定時で帰れる、業務や看護技術が少なくて楽という良い謳い文句も求人によく載っているからです。

これは半分正解半分不正解です。
求人を信じて入植した同期や後輩で疲弊している人は多くいました。

まず定時で帰れることは事実です。もちろん病棟ならではの緊急入院や急変もごく稀にありますが、ほとんどありません。
しかし業務や看護技術が少ないというのは不正解です。
病棟を認知症病棟、思春期病棟と分けているところもありますが、そうではないところもあります。その場合、高齢社会の今、認知症の患者や中年層の若年性認知症なども多く精神科には入院しているのが現実です。
その場合、看護師ならイメージがつくのですが、こっちでは尿失禁、あっちでは暴力、かと思えば若い患者の不穏、などが同時に起きたりすることもあるので、もうパニックです。

また精神疾患の薬は副作用があったり、精神疾患を持つ患者は他の身体の病気を抱えている方もいます。そのため、看護技術は必然と必要になってくる訳です。

こういった求人とのギャップが疲弊する要因です。


看護師が患者に心が引っ張られてしまうということ

これが精神科でよく起こりうることであり、看護師の離職の要因にもなっていることです。看護師が患者に心が引きずられてしまい、メンタルを病んでしまう場合があります。
そうはいっても辞めてしまった私が書くのもどうなのかと考える方もいるかと思います。
しかし私自身は身体的な疲労の方が大きかったりキャリアチェンジを目的に退職しているので、自分自身のメンタルヘルスには気をつけていました。
後輩の話や先輩から聞いた話も含めてではありますが、よくある例です。

性格もとても優しく、患者に常に寄り添ってあげたい、助けてあげたいと思う気持ちが強い看護師がいました。

患者の話を親身に聞いてくれるため、患者自身も看護師に入れ込み、看護師も休みの日まで頭をいっぱいにして看護を考えてしまう、というループに入ってしまいます。

しかし患者は考えていた以上に病気が改善しません。それどころか共依存関係になっていると先輩に叱責されてしまいます。

そのうちに悩み、どうしたらいいかわからなくなるものの、責任感が強いため相談することもできず、心を病んでしまいます。

これが、患者に看護師が心が引っ張られてしまう、ということです。


看護師として自分自身のメンタルヘルスを健康に保つには

では、そんな心を病みやすい環境で、どうやって心を健康に保つのか、保ってきたのか、ということです。
内容を読んでるうちに白状に感じるかもしれません。しかしこれが私や周りの先輩たちがメンタルを健康に保つ方法でした。主に以下の2つです。

①退勤したら何も仕事のことを考えないように趣味に没頭
②自分の人生は自分の人生、患者の人生は患者の人生

なんだか冷たいなと思った方もいるでしょう。では、それぞれ解説していきます。

①退勤したら何も仕事のことを考えないように趣味に没頭

私自身は退勤後、患者のことを頭の中で考え続けないように好きな音楽を聴きながら帰ったり、同じ職場以外の友達と遊びに行っていました。

もちろん同期と遊んだり、先輩や後輩と食事にいったり遊びに行っても良いのですが、どうしても仕事の話が出てくることが私は辛い時がありました。

また、家に帰ってからは趣味や家事などやりたいことに没頭するのも良いリフレッシュ方法です。私は好きなアニメや漫画を見て、笑ったり涙を流したりしていました。
先輩たちは家でお酒を飲んだりしている方もいましたが、これは続けすぎたり量が多いと、健康に支障をきたすので、ほどほどにしてください。

②自分の人生は自分の人生、患者の人生は患者の人生

この見出しは私の信念でもあります。

正直、私も最初は例に挙げた真面目で責任感が強い優しい看護師でした。優しいと自分で言うのもなんですが、患者からフィードバックをいただいたこともあるのでそう載せておきます。
ですが、ある時、親身に関わっていた患者が自殺をした時がありました。

もちろん心が痛かったです。どうにかして救えなかったのかな、と思いました。

しかし当時の副院長先生と話していたときに、「優しいのは良いことだよ、いつも寄り添っているのはよくわかってる。けど、○○さん(私)も自分のことを大事にしてね」と言ってくれました。

その言葉のおかげで頭の中で患者と自分自身をしっかり区別できました。

もちろん救いたいという気持ちはあります。ですが一方で、自分自身に優しくして、自分の人生を生きなければ、と思うようになりました。

人は周りに優しいだけではなく、自分にも優しくいないと、心が折れてしまいます。皆さんもたまには自分自身も労ってあげてくださいね。


周りの助けで心を健康に維持できた

振り返った時、私は周りの人にたくさん助けられて働いてきました。
先輩や先生、慕ってくれた後輩、皆の考えを知り助けられたり助けたりすることで自分自身が救われていました。

看護師でなくてもこれは通ずるものがあるのではないでしょうか。

過酷な精神科という環境でも周りの考えを知ることで、凝り固まった思考から外れることができ、心の健康を維持できていたと実感していました。

皆さんも自分自身と仕事を割り切って、時には自分自身に優しくしながら生きていきましょう。

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ここまでお読みくださりありがとうございました。
かきながら少し感傷的になってしまった記事でもあります。
今週は更新が難しいと思います、と言っておきながら更新してしまいました。。

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それではまだまだ寒く感染症の増加も著しい中ですが、みなさまご自愛くださいませ。

Rena

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