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生きることが難しい若者たち

※重たい内容なので苦手な方は読むのを控えた方が良いかもしれません


突然ですが、生きていくことはとても難しいことです。
それは病気や不慮の事故も含め、人間の命は儚いと常にニュースなどを見ながら感じています。しかし私はそれ以上に触れなければならない、日本人が知っておくべきデータがあると思っています。
それが若年層の自殺率です。今回は生きることの難しさを実際のデータを用いながらお話ししていきます。

自殺大国「日本」

まず現状の日本の自殺に関する状況です。
厚生労働省の発表によると、自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数)は主要先進国の7カ国の中で最も高いです。さらに19歳以下の年齢では、自殺死亡率が平成10年以降ほぼ変わっていません。
また20代や30代も死亡理由の1位は自殺です。

整った平和な環境のはずなのに、生きることが難しい国、それが日本です。
「自殺大国」なんて呼ばれたりもしています。
そんな日本ではなぜ若年層が生きていくのが難しいのでしょうか。

若年層の人たちが自殺を選ぶ理由

もちろん高齢者になってくると死因1位は身体疾患に変わってくるのは、体の老化も含め仕方ないことです。しかし、その人数比を考えても若年層の自殺は多いと懸念されています。
なぜ自殺を選ぶのか、私は精神科で働く中で死を選ぶ若い患者たちの話を聞いて、次の理由を考えていました。

  • 周りの人と比べてしまう

  • SNSで仲間を見つけて自傷行為を繰り返す

  • 家族、友人関係(SNS含め)のトラブル、いじめ

それぞれ説明していきます。

・周りの人と比べてしまう

これは若年層以外にもあるのでは、と思う方もいるかもしれません。しかし特別多い世代なのです。
理由として、10代の頃を思い出してみてください。日本の学校は順位をつけ、通知表を作り評価をします。そして受験戦争に打ち勝たなければならないのが今の現状です。
また勉強もそうですが、運動や美術、部活などでも周りと比べてできない、先生や家族、部活では先輩から、もっと頑張れと言われることはありませんでしたか。
そういったことが、若い学生の心を蝕んでいる場合があります。
もちろん励ましたり応援することが悪いわけではありません。しかし、責任を感じやすい子や、プライドの高い子は自分自身がうまくできなかったりしたときに失敗体験を積んでいきます。
そういった体験が限界まで積み重なった時、不登校や、最悪自殺に繋がってしまう場合もあるのです。

・SNSで仲間を見つけて自傷行為を繰り返す

ネットの中で仲間同士で集ったりして、自傷行為を繰り返す若者がいることをご存知でしょうか。
私の受け持った患者でもそういった子がいました。そしてネットにその自傷行為の写真を載せたりもします。検索したらとてもこのケースが多いという現実がわかりますが、おすすめしません。
ましてや誰かが見たりコメントしたことで、助けることも止めることも出来ません。
なぜこんな行為をするのかというと、周りの注意を引きたいと考える子、辛さを共感してくれる同じ境遇の子を探している場合など理由はさまざまです。
ですがこの子たちの根本にあるのは、「寂しさ」であることが多いです。

これはアピールであることが多いので死に繋がらない場合もありますが、例えばOD(多量服薬)しすぎてしまったり、太い血管が切れてしまったり、程度を見誤って死んでしまうケースも見られます

・家族、友人関係(SNS含め)のトラブル、いじめ

先ほど話したSNS内での友人関係上のトラブルで心を病んだりすることに加え、最近やっと注目されるようにもなってきた誹謗中傷という言葉ですが、ネット上の誹謗中傷による自殺も多いです。
これは第三者によるいじめだと考えています。
また家族内でのトラブルも多く理由に挙げられます。これは私自身働きながら強く感じていました。10〜20代の人たちが、両親や旦那とトラブルというケースもあります。しかし30代の人たちの中では、小さい頃の虐待の記憶が今の希死念慮に繋がっている、という人もいます。


○○をしなければならないと考えてしまう人々

学生の時も社会人になってからも、生き方を強いられていると感じませんか。もしかすると、それが当たり前の人生なので、気づかない人も多いかもしれません。
ではこう言い換えてみましょう。「〜しなければならない」ということが多いと感じませんか。そこに息苦しさを感じている人が多いと感じます。
それは極論で語ると人を殺してはいけない、とかそう言うことではありません。
例を挙げるとします。まず学校ならば、課題を必ず来週までにやらなければならない、次の試験に合格しなければならない、部活で絶対優勝しないといけない、などです。
社会人になると、毎日朝早く起きて出勤しなければならない、同じ会社で長く働かなければならない、このプロジェクトを成功しなければならない、などです。

そしてここについてくるのが、「〜しないと怒られる」「〜しないとダメだ」と言う思考です。この考えはネガティブな思考のもとで、自殺を産む種の思考にもなりかねないものです。

自然と周りと同じでなければならないと思っている

自分自身もそうですが、周りから言われることでも考えてみてほしいです。
学生や社会人として生きていく中で、周りと同じでなければならないと考えることが多かったのではないでしょうか。
その思考回路が、苦しくなってしまう要因ではないかと考えています。
何も一緒である必要はないのに、みんなできているのに自分はできないからダメだ、自分ばかり仕事ができない、など自然と周りと比較する考えもついている人が多いです。

レールの上を踏み外してみる勇気が大切

こういうと、悪いことをしてもいい、のように捉える人もいますが、そう言うことではありません。そう言ったことではなく、別に多少踏み外してみても世の中はなんとかなります
では自分を例に挙げると、私は看護師として、長く働くことが大切と思っていました。もちろん長く同じところで看護師を続けている人を見ると、かっこいいなとも思います。
しかしいざ、看護師から離れて、いろんな仕事を掛け持ちして過ごしています。正直たまに、周りから「何やってるの?それって儲かるの?大丈夫?」とか言われたりもします。
でも、生きています。なんとかお金を稼ぎここまで生きています。
学生の時も本当は大学に行きたかったんです。受験に失敗して専門学校に行くという選択をしました。それでも私は今、社会人になり人生を謳歌しています。
人は〜しなければならない思考に、苦しめられる時があると思います。でもそれをしなくても生きていけますし、ましてや死ぬ必要はありません。

誰かに頼るという選択肢を持つ

周りに頼ることが難しい人が多いというのも感じます。自分から悩みを打ち明けてくる患者さんもいましたが、自分から話せない人が圧倒的に多いです。私は気になる患者さんには、様子をみて声をかけていました。
こういった精神科の中には看護師がいますが、普通は周りに看護師はいません。
周りの人間誰でも良いのです。身近な家族や友人、恋人でも、近しい人がいなかったら社会の福祉サービスを利用しても良いです。
私は話しにくいことをお寺の僧侶さんに相談したこともあります。
誰かに悩みを打ち明けること、頼ることは大事なことです。話したって解決しないと思うかもしれませんが、解決しなくても話すだけで背負っていたものが少しでも下ろせた気がするかもしれません。


生きることが難しい社会で「命だけは未来に繋いで」と伝えたい

長くなりましたが、私が働いていた時も、そして精神科の看護師を辞めた今も伝えたい言葉があります。
「どうか、命だけは未来に繋いで」ということです。
先の未来に幸せなことが待っているかもなんて無責任なことは言えませんし、未来を予知できるわけでもありません。ですが、反対に今の辛い現状が続く保証もありません。
全てを終わらせるには、まだまだ若すぎるのです。
立派に生きてなんてわがままな言葉で、ちゃんと学校に行って、社会で働いてなんて言うのもなんならする必要はありません。
それでもいいので、生きることが難しい社会で、どうかただ生きていてほしい、そう思っています。


重たいテーマかつ長い文章で申し訳ありません。。
ここまでお読みくださってありがとうございました。

でも日本が抱えているこの深刻な現状を知るだけでも、意味があると思います。
各ライフステージにおける悩みはあると思いますが、何かあれば周りに頼ることが大事です。そうすることで乗り越えていけたりしますからね、と言って私も苦手ですが…。

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Rena

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