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マガジン 第5号

さて、マガジン第5号発行でございます!

今回ご紹介するのはKISSから「Destroyer/地獄の軍団」でございます。

キッスの 『Destroyer』 は4枚目のスタジオ・アルバムで、75年のライヴ・アルバム 『地獄の狂獣』 の大ヒットを受けて翌76年にリリースされたものです。

プロデューサーにアリス・クーパーを手掛けたボブ・エズリンを迎えて制作された本アルバムは、過去の3作と比べると明らかに音楽性の広がりがあります。

70年代のキッスは不動の4人組 ポール・スタンレー (vo, g)、ジーン・シモンズ (vo, b)、エース・フレーリー (g)、ピーター・クリス (ds, perc, vo) でした。

特筆すべきは ディック・ワグナー が2曲でギターを弾いていることでしょう。エース・フレーリーの演奏に満足できなかったボブ・エズリンがギターの差し替えを提案したとされています。

メンバー以外の楽器演奏が収録されたのはこのアルバムが初となりました。

もう一つ際立った特徴として “少年合唱団” の起用が上げられます。彼らの地元ニューヨークからBrooklyn Boys Chorusをフィーチュアしているんです。

また、ドラムスのピーター・クリスが初めてリード・ヴォーカルを担当したのもこのアルバムでした。

それがなかなかイカしたハスキー・ヴォイスで、彼のヴォーカルが名バラードを生み出したと言えましょう。

アルバムの冒頭は生活音のフェイド・インから。車のドアをバタンと閉める音からカー・ラジオをチューニングしつつ流れてくるのが 「Rock And Roll All Nite」 (1975) だったり…。

たっぷりと1分半引っ張ってから、お馴染みのイントロが始まります。そう、彼らの代表曲である 「デトロイト・ロック・シティ」 です!

歯切れの良いリズムの快速ロックンロールはUKのロックを思わせますが、彼らは純アメリカン・バンドなんですよね。

数々のリフが登場しますが、どれもが輝いています。Aメロの中のベースのリフなんかも最高です。
 

そしてアマチュア・バンドが競って真似した間奏部のギター・アンサンブルが入ってきます。ラストはカー・クラッシュで殺伐とした終わり方ですが、ハード・ロックらしい緊張感です。

これだけの曲なので3枚目のシングルとしてカットされたのですが、シングルとしては3週間のチャート・インで最高44位で終わりました。

そしてB面の曲の方が人気が出てしまい、A・B面をひっくり返して再リリースしたところ、そちらが初のトップ10入りを果たしてしまうというサプライズも起こりました。

「暗黒の帝王」 はストレートでヘヴィなロックンロール。出だしの爆音で驚きますが、その後に続くリスナーに体当たりしてくるようなサウンドは、元来彼らが持っていたものですね。

作者の一人に The Runaways を手掛けたことで知られるキム・ファウリー が入っているのが興味深いですね。

「雷神」 も彼らの代表曲と言えるヘヴィ・メタル・ナンバー。いたいけな少年の声で始まりますが、ジーン・シモンズのおどろおどろしいヴォーカルととても対照的です。 

ヴォーカルはまるで悪魔的ですからね~。ちなみに声を使われている少年たちはボブ・エズリンの子どもたちだそうです。

「地獄の遺産」 は前半のハイライトとなるスケールの大きなナンバー。ベートーヴェンのピアノ・ソナタ 『悲愴』 を使ったイントロからして新たな試みだと伝わってきますね。

そして邦題の不気味さに反して希望にあふれるメジャーな展開。そこに前述した少年合唱団が加わって、壮大でシンフォニックな作品に仕上がっています。これはもう “ボブ・エズリン効果” と呼んでも良いのではないでしょうか?

「燃えたぎる血気」 はストレートなロック・ナンバー。こういう曲を聴くと、彼らが間違いなくアメリカのロック・バンドなのだと感じますね。

今思うと邦題はもっと爽やかでも良かったのではと思ったりします。サビメロにおけるコーラスワークが素晴らしいし、サビ後のギターのリフが印象的ですね。

そこに乗っかってくるソロも良いです。この曲はセカンド・シングルとしてカットされましたが、最高74位に終わりました。

「スウィート・ペイン」 はビートはストレートなのにギターのリフが変則的なリズムを刻むロック・ナンバー。

1分20秒過ぎからのギター・ソロは、ディック・ワグナーの演奏です。さすがは “アリス・クーパーの名パートナー” と呼ばれた男だけあって、迫力のあるソロを聞かせてくれます。

一方エース・フレーリーは面白くなかったでしょうが…。

「狂気の叫び」 はファースト・シングルとしてリリースされた生命力あふれるロックンロール・ナンバー。

リード・ヴォーカルはポール・スタンレーとジーン・シモンズの2人で担当していて、強烈なフックのサビメロではコーラスワークも生きています! 

なかなかの名曲だと思いますが、まさかの全米31位止まりでした。

「ベス」 はピーター・クリスが初のリード・ヴォーカルを披露してくれるバラード。ハスキーな声はロッド・スチュワートをちょっと下手にしたみたいですが…。

オーケストラを起用したアレンジもとても素敵で、心のこもった曲に仕上がりました。
 

この曲こそ 「デトロイト・ロック・シティ」 からA面を奪って全米トップ10入りし、彼らにとって初のミリオン・セラーに輝いた大ヒットでした。

“歴代のロック・バラード100選” のような企画があったら、必ず入ってくる名曲と言っていいのではないでしょうか?

「ドゥ・ユー・ラヴ・ミー」 は実質的なラスト・ナンバー。ちょっとヘヴィなロック曲で、ここでまた作者にキム・ファウリーの名前が見えます。

シンプルなAメロ・サビメロに対し、中盤で入ってくる間奏部&ブリッジが強いアクセントになっていて、一気に目が覚めるような心地がします。チューブラー・ベルの使い方も印象的です。

 
そしてシークレット・トラック的に追加されているのがサウンド・エフェクトの 「ロックンロール・パーティ」 です。

ヴォーカルというか声を録音したテープを編集したような不思議な音の世界が1分半ほど続きます。「地獄の遺産」 の少年コーラスの一節が聞こえたりしてます。

 当初は 『Under Armed Guard』 というタイトルになるはずだった 『Destroyer/地獄の軍団』。キッスがいよいよ個性を主張してきて、音楽的にもユニークに発展してきた好アルバムではないでしょうか?

いよいよ今週末から彼らの最後のジャパン・ツアーが始まります。ライブに行くファンも、行けないファンも、彼らの最後の勇姿を目に焼き付ける前に、もう一度聴いてみてはいかがでしょうか?



☕️今日のカフェ🍰

vokko

「vokko(ヴォッコ)」は、滋賀県彦根市にある北欧カフェです。

名神彦根ICから車で約15分の場所にあり「え?こんなところに?」と、軽くびっくりするのでは?外観は日本らしからログハウス、店内は北欧系服飾雑貨やアンティーク食器等が立ち並び、雰囲気を演出しています。

メニューはケーキ数種類とドリンクのみです。
琵琶湖が見渡さるソファー席、その他テーブルや椅子等を含めた内観なども北欧に拘った空間が心地いいカフェです。

🗒詳細情報🗒

〒521-1146
滋賀県彦根市柳川町 207-1

電話:0749-43-7808

Email:info@vokko-net.com

Open : 4〜9月:11:00am~19:00pm
10〜3月:11:00am~18:00pm

Closed:木曜日 / 第1・3・5水曜日






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