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「福利厚生としてのマインドフルネス」Inner MBA 体験記 #27

マインドフルネス?瞑想?ウェルビーイング?

これらの言葉は、まだ多くのビジネスパーソンにとっては「聞いたことあるけど、詳しくは知らない。やったことはない」というものではないだろうか。

Inner MBAを始めた頃、友人や同僚の反応は「怪しいなー。スピリチュアルなやつだよね。意識高いねー」というものが多かった。「ああ、なんかシリコンバレーのやつね」とも笑。これはある意味、間違ってないかもしれないが。

もちろん「いいじゃん」とポジティブな反応をしてくれる人もいた。しかし、彼ら/彼女らの中に、「こういった領域はとりあえず肯定をするのがマナー」という意識もあったかもしれない。かつて自分がそうだったように。

今回の講師はLinkedInのマインドフルネス&コンパッション統括の Scott Shute、私のお気に入りの講師の一人だ。

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職場でマインドフルネスを広める方法

マインドフルネス/瞑想が心身の健康や生産性にいかに有益かということはこれまでの記事でも触れてきたし、少しググればいくらでも調査データが出てくる。YouTubeにも本屋にも大量に情報がある。

しかし、いざこの実践を職場に持ち込もうとすると、その得体の知れなさゆえに、必ず障壁に当たる。バイアスは常に存在する。Scottですら、LinkedInに入社して最初の3ヶ月は何もできずデスクに座っていたと言っていた笑。

今回の講義ではその経験から、我々の組織内でマインドフルネスを広める方法を伝授してくれた。

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「始めることで、始める」何よりも、まずは始めること。興味のありそうな3人だけを巻き込むなど、小さく始める*。例えば週に1回15分の時間をとって一緒に瞑想してみる。

最初に巻き込むといいのは、経験豊かで社内での発言力もあるシニアポジションにいる人だ。加えて数人のボランティアがいると良い。

次に、社内の福利厚生担当者を巻き込む。マインドフルネスに関連して、会社としてサポートしてもらえるものはないか話してみよう。

例えば、Calm、Headspeace、10% Happier、Insight Timer といった瞑想アプリの社割プログラムを購入してもらうなど。

社内で使える場所があるなら使う。使っていない会議室、マルチパーパスルームなど。静かで人がなかなか来ない場所を探してみよう。

そして、そのグループでの活動に慣れてきたら、メーリングリストやチャットグループなどで情報交換できるようにし、さらにコミュニティを広げていく*。

反対派に対してどう説得するか

特に伝統的な古い企業・組織であればあるほど想像に難くないが、「そんなの意味あるの?」「お金がない」「時間がない」など反対意見が出るだろう。もっとひどいと「暇だね」とも。

Scott は具体的に説得する方法を紹介した。

1.相手の気持ちになって考える

当たり前ではあるが、相手の課題をまず把握し、相手の言葉で考える。

例1:営業部長なら「部門の売り上げが悪い、残業も増えている」
例2:クレーム対応部門なら「悪質な顧客対応でメンタルを壊す人が多い」
例3:人事部長なら「新しく福利厚生を取り入れたいが役員を説得できない」

2.それに対しての解決策として提示する

例)営業部長に「個人の生産性が上がるので、売上も上がるはずです」
例)クレーム対応部門に「ストレス軽減にいいので休職者を出さないために」
例)人事役員に「取り入れることで組織が改善するデータがあります」

3.フィジカルエクササイズの例えを使う

これは個人的にもっとも好きな方法。

いまや仕事のパフォーマンス維持のために運動をするのは一般的になっている。ビジネスパーソンも身体が資本だからだ。福利厚生としてジムのメンバーシップがある企業も多い。

同じように、メンタルについても考えられないだろうか?

「心を整える(あるいは鍛える)機会を職場に取り入れましょう。フィジカルエクササイズが社員の健康にとって重要なように、これからはメンタルエクササイズも重要です」

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以上、今回は職場においてマインドフルネスを取り入れるための方法についてだった。

最後にScottは「何よりも自信を持って提案すること、申し訳なさそうに話さない」ことだとアドバイスした。商談や部門間交渉ではプロとして自信を持って話すことができるなら、ウィルビーイングの話もやはり自信を持って話すべきだ。

自分こそが職場をより良くしたいと思っているし、実際にそうなるはずのだから。

以上、次回 Inner MBA 体験記 #28 に続く!

*脚注1:言い換えればスモールスタート(そしてスケールさせる)ということ。いかにもIT企業の幹部らしい考え方だ。

*脚注2:書いていて思ったが、「福利厚生担当」のところを任意の部門に変えれば、ごく一般的なプロジェクト立ち上げの流れでもある。

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