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高校での授業~働くということ~

知らないことが原因で、損をする世の中を変えたい

2022年3月15日(火)に大阪市立工芸高等学校(現:大阪府立工芸高等学校)のプロダクトデザイン科の2年生に授業をしてきました。

2011年に同校の同学校を卒業して11年、母校に講師という形で訪れることになるとは思っていませんでした。当時の担任のY先生から先輩講座の依頼がありました。

最終学歴が高卒ということで、学校と言えば、高校なんですよね。工業高校ですが、女子が多い特殊な学校でした。男女比率は10年経っても当時と変化がないそう。

デザインを中心に学んでいる生徒たちに何を話そうか。何が聞きたいんだろう。ましてやデザインとは違う道に進んでるし。塾講師はしてたものの人前で喋るのにブランクあるし。

悩みに悩み、、、
当時、自分が高校生の時に知っておきたかったことを中心に話すことにしました。要は、お金と法律と社会の仕組み!なので、当時の自分がそこにいることを想定した内容で構成しました。

1番ふさわしくない、しくじった講師です。

冒頭の挨拶で、そう伝えました。何回か既に先輩講座があり、僕は年度最後の授業とのこと。今まではデザイン分野で今も活躍している先輩たちが来ていたとのこと。

対し、僕は高校卒業後2年はクリエイティブ業界に身を置いていましたが、その後は事務系にシフトし、公務員となった。その公務員も退職し、今は行政書士事務所の所長である。

高校卒業してからの10年、色々とあった。何度方針転換をしたことだろうか、何度転職したことだろうか。なので、デザインについての授業はできない。


いわば、人に自慢できるストレートな道は決して歩んでいない。

この職歴からただ1つ言い切れることがある。
やり直しは必ずできる!だから無理は最小限に抑えて!

石の上にも3年と言われますが、精神や身体がもたなければ意味がありません。経験やスキルも3年も待たなくても身につく場合があります。今の時代、可処分時間という言葉もあるくらい時間は大切です。成長できない&しんどい状況に置く時間は勿体ないですよ。なので僕は賛成・反対どちらの意見も聞きながら、最後には自分で、自分の性格と照らし合わせて決めてきました。つまり、多数決ではないのです。少数意見を取り入れてみては、いかがでしょうか?

転職してしんどい想いをしてきました。特に周りの人からの理解してもらえないことも多々ありました。けど自分を信じてきました。

僕の好きな言葉があります。

鐘がなる前には、必ず鐘が鳴らない時間がある。人生における11時台は必ず存在する。時計の長針と短針は1時間ごとに重なる。11時台だけは重ならない。次に重なるのは、12時の鐘がなるときだ。だから安心して。

キングコング 西野亮廣

1000種類以上の業務がある行政書士という仕事

士業と言われる国家資格の中の1つです。
弁護士、税理士、司法書士、社労士、弁理士などのその中の1つです。

国民と行政(市・府・国)を繋ぎ、両者をサポートしていく仕事だ。

デザイン関係でご一緒するならば、

  • 著作権

  • 契約書

  • 法人設立

  • 許認可

  • 補助金

  • 支援金

などがあります。

一般生活でご一緒するならば、

  • 遺言

  • 相続

  • 成年後見

  • 家族信託

  • 離婚

  • 内容証明郵便

  • 生活保護

  • 国際結婚

などがあります。

1つだけの仕事に専念するのではなく、いろんな仕事を同時並行で行っていきたい性格なので、行政書士をすることにしました。また、人の役に立ちたいとう気持ちがあり、公務員になりましたが公平ではなく平等が求められていましたので、その人に合ったきめ細かなサポートができませんでした。なので、自分でハンドルが握れ、自分の気持ちに素直になるために、独立開業という道を選びました。

学校では教えてくれない”お金”という存在

高校を卒業すると、僕みたいに就職する人がいます。また、大学や専門学校へ進学しても、いずれは就職します。就職する際に大事なことがあります。

それは、”お金”です。

もちろん勤務条件や福利厚生なども大事ですが、生きていく以上、お金は必ず考えなければいけません。生活できる給料であれば、他の条件も見てもよいかと思います。

なぜ、”お金”が重要なのか?

求人票で給料が15万円でした。
就職して、給料日を迎えました。

いくら振り込まれていたでしょうか?

正解は12万円です。

何が起きたのか?

給料には額面と手取りという2つのキーワードがあります。
額面というのは提示された金額、手取りというのは実際に振り込まれた金額です。

額面ー控除=手取り
となります。

控除には何があるのか、、、
健康保険・年金・雇用保険などの社会保険
所得税・住民税などの税金があります。

給料(額面)が増えると、控除(社会保険や税金)も増えます。
厄介なのが住民税で前年の所得(給料)に対して徴収されます。
つまり、1年目は徴収されませんが、2年目以降徴収されます。
2年目の手取りが1年目より減ります。
昇給が少ない場合は手取りが減るという変わった現象がおきます。

また、退職して無職になったときも1年遅れで住民税がやってきます。
つまり、住民税を支払える余力(お金)を残しておかなければなりません。
なお、健康保険や年金は減免等がありますが、住民税に関しては満額収めなければなりません。

就職するときは、額面のみを見ず、手取りがいくらになるかを予想しておきましょう。特に、奨学金を借りる人は返済をしないといけないので、生活に使えるお金が更に減ります。

大卒の平均月給は20万円ですが、手取りは15~17万円となります。そこから奨学金を返して、家賃を払ってとなると、厳しい現実が待っています。

ちなみに僕は高卒で正社員として入った会社は額面が12万円ほどで、手取りは9万円ほどでした。求人票では額面は15万円でした。就職するときには、労働条件通知書なり労働契約書で額面を確認しましょう。僕はそれらの書類をもらっていませんでした。書類をもらって、状況を知っていればその会社には就職していないでしょう。知らないということは怖いことです。

ちなみに、社会保険料は年々増加しています。つまり、10年経っても経済的負担はあまり変わっていないそうです。額面は増えていきますが、控除も増えるので、負担はそこまで変化しない。そのためにも、副業が大切です。別の収入源があれば、安心できます。

独立する前に会社に勤めよ!

会社にはいろんな部署(担当)があります。例えば、営業部・情報システム部・企画部・広報部・製造部・IT事業部・人事部・経理部・財務部・総務部などがあります。

もし、フリーランスであれば上記のことを全てカバーしなければなりません。資金に余裕があれば、外注という選択肢もありますが・・・。現状、厳しいでしょう。

そこで、もし独立を考えているのであれば、会社に就職して、他の部署(担当)の業務にも興味を持ちましょう。その後に役立つ知識やノウハウが蓄えられます。仮にそれらが蓄えられなくても、イメージを掴むことができるので、それだけでもかなり安心できます。

大きな会社にいけばいくほど、1つの専門業務に注力することになります。例えば、経理部にいくと、経理しかできない。そして更に大きな会社にいくと、経理部の中の請求書発行業務しかできない。現金の管理業務しかできない。といったことにもなります。ある分野に関しての知識は物凄くつきますが、視野が狭くなります。

もし、零細企業にいくと、経理部以外に事務部や総務部などと一緒になっていることがよくあります。仕事の幅は広くなりますが、特定の分野に関しての細かい知識はおざなりになります。

なので、独立前には会社に就職し、そこで隣の部署を覗くという積極性があると、かなり優位になります。

僕自身、大企業から零細企業などの民間企業、学校現場から教育委員会の官公庁、いろんなところで仕事をしてきたものが、今活きています。ただ、もう少し隣の部署を覗いてたらと思うことも多々あります。

大人になっても勉強、けれど辛くない

勉強は死ぬまで続きます。ただ、目的は変わります。強制されるものから、自分で取捨選択していくものになります。

役に立たなさそうなもの、興味のないものはしなくてもいいのです。そのため、大人になってからの勉強は、必ず自分に役立つものとなります。

法律の勉強をすれば、トラブルが起きた際の解決手段がわかりますし、そもそもトラブルが起きる前に手を打つことができます。

お金の勉強をすれば、社会のお金の流れを知ることができ、税金を払い過ぎなかったり、制度を活用することでお得に生活できるようになります。

大人になってからの勉強は、すぐに使える知識となります。勉強をする目的や意味を理解でき、目的が明確化されます。実戦ですぐに役立つ即効力があります。なので、いつ役立つか分からない今までの勉強より辛くない、もはや楽しいのです。

ただし、欠点があります。
有料の場合が多いです。YouTubeでは無料ですが、、(厳密に言うと広告を視聴する時間を払っている)

学校の場合は義務教育は無料、高校は就学支援金で実質無料と、基本的にはお金がかからない勉強でした。

しかし、大人になってからは自由に選択できるので、お金がかかります。時間もお金もかかるので、取捨選択していくことが大切です。

就職するときには4つの軸で考える!

10社以上、職種もまちまちの僕が経験から得た話である。

①得意×好き(ここを徹底的に伸ばそう!)
②得意×嫌い(考える角度を変えてみよう!)
③苦手×好き(苦手を得意に変えよう!)
④苦手×嫌い(得意な人に任せよう!)

このうち、④の苦手×嫌いだけは、するな!
これは天変地異が起こるくらいの確率でしか良き方向には進まない。万が一、この状況に当たってしまった場合は大人しく人に頼る!自分だけではどうしようもない。
万が一、部署異動等であたってしまった場合は異動もしくは退職をしよう。ストレスに悪影響過ぎる。耐える必要は全くないのだ。

①の得意×好きは何の問題もない!できるなら、積極的に取り組んでいこう。これがいわゆる転職というものだ。

ここからが重要である。
②と③の特性を知っていると人生がより楽になる。

②の得意×嫌いは、マインドを変えよう!そんな難しくはない。見る角度をほんの少し変えてみるだけだ。例えば、物を作っているとする。作ること自体が得意だが嫌いとしよう。そうだな、ライン工だとしよう。こういう場合は、製品を買ってくれた人の声を聞いてみる、後工程を知ってみる、前工程を知ってみるなど。俯瞰で見てみることが大切である。そうなると、その中に好きになれる理由があるはずだ。
目標を持つでもいい! 
この状況は自分次第でいつでも打破できる!しかも打破すると、①の完全無欠状態、天職になれる!

③の苦手×好き、これは辛い。おそらくストレスを抱える人はこれだろう!そう、自分の理想とのギャップが非常に出てくる。実力が伴ってないケースだ。自分の努力で解決できるかどうか、微妙なところだ。仕事を選ぶとき、③も避けた方がよい!②か選ぶとするならば、②を選んだほうが結果的には良い方向に進む。その場合は副業や趣味とかで③を徐々に育てていこう。そして、チャンスが到来したら③にかけてみると良い。いきなり③だけはタブーだ。



これが20代で得た僕の思考である。

選択に迷ったときに、このことを思い出して欲しい。きっと役に立つはずだ。

今の自分の羅針盤だ。
高校生の僕が知りたかったことを、高校生に伝えてきた。当時の自分に伝えるように。

自分がされて嬉しいことは人にする!
と立派なことを書いておりますが、僕は全然凄い人ではありません。
低学歴です。最終学歴は工業系高校卒業で大学受験すらしていません。

ですが、その分みんなより少し早く社会を学び、転職を幾度となく繰り返し、試行錯誤してきました。
転職は悪いことではありません! 最初の一歩はかなり重たいですが、してしまえば大したことありません。それぞれの活躍の場が絶対あるはずです。見つかるまで探し続けていきましょう。

悩んだときはそのお話を聞かせてください!何かきっと力になれます!

その他のこと

上記以外には、集客・人検索・価格設定・SNSなどについて、お話しました。

授業後のQ&A

Q1:好きなことを仕事にできますか?
A1:できます。苦手で好きなことは辛いですが、得意で好きなことは積極的に取り組みましょう。

Q2:初任給はどのくらいあればいいのですか?
A2:手取りで15万円は欲しいです、額面にすると18万円ほどです。初任給は低くても、ちゃんと上がっていく仕組みがあれば大丈夫です。

Q3:高校生のときの将来の夢は何ですか?
A3:商品の企画(デザイン)がしたくて、工芸高校に入学しました。当時は車に興味がありましたが今は全くないので、その道に進まずで正解でした。夢は正直なかったです。

Q4:学生時代にとっておいたほうがいい資格はありますか?
A4:独立するなら簿記3級やビジネス法務検定、会社員ならFP技能士やMOSがオススメです。デザインに関しては資格よりもポートフォリオ(作品集)に力を入れた方がいいです。

Q5:給料20万円とよく聞きます、理想はいくらですか?
A5:理想になりますが、自分の年齢×1万円です。

Q6:なぜデザインから離れたのですか?
A6:当時、ブラックな会社が多かったからです。あとはスキルが身についたので吹っ切れました。会社じゃなくても集客さえできれば、自分でできますしね。なので、まだないスキルを身に着けるために事務系に転職しました。

Q7:仕事を辞める時、次の仕事を決めていましたか?
A7:公務員に転職するときと独立のとき以外は決めていませんでした。決めてから辞めるのをオススメしますが、なかなか退職を伝えるタイミングが難しいです。

Q8:退職したり、転職したりするうえで、たくさん心配なことや不安なことがあったと思いますが、それを乗り越えた時のモチベーションや秘訣はありますか?
A8:当時、結構悩んでいたし、辛かったです。ですが、経験を繰り返すことで自分に自信がつきました。モチベーションは自分を信じることです。人の意見も大切ですが、やはり最後は自分です。過去はいくらでも変えられることに気づいてからは自分が強くなりました。

授業後の感想

  • 学校では学べないお金の話などの働きだしてからはなかなか聞けない話を聞けてよかった。得意で嫌いと思っているものは考え方を変えてみることを実践していこうと思います。

  • 学校では教えてもらえないような給料のことや働いて実際に体験して何が必要だったのかを細かく話していて良い機会になりました。

  • 自分を知ってもらうことが重要で、最後には人柄で選ぶという話がすごく刺さりました。

  • 就職希望なので、今回の話はとてもタメになりました。

  • 仕事について、一人で背負わずに他の人に頼ったりすることも大切だということを学びました。

  • 将来、絶対必要な情報ばかりだった。

  • しくじり先生と初めに紹介された印象とは違い、人生について深く考えて先を見据えて考えている人なんだなと思いました。

  • 人生でやり直しはできるということに安心しました。

  • ためになる話がたくさん聞けたので、この講座に参加できて、とても良かったです。

  • 社会に出るために必要な知識を今のうちに身に着けようと思った。

  • 自分のブランドを立ち上げたいと思っているのでリアルなお金の話はとても参考になった。

  • 学校では聞けないことをズバっと教えてくださってとてもわかりやすかったです。

  • 人生の設計図がとても大きくて自分もいっぱいチャレンジしていこうと思いました。

  • 来年の作品制作の時に価格設定や集客のことも考えながら実習に取り組もうと思います。

  • 小・中・高では教えてもらえない給料・税金などのことが知れて良かったです。

  • これからの進路に向けて考える1つの材料になりました。

  • 学校だと古い認識や常識のものさしで話をされることが多いと感じていたので、下井さんの話は現代に沿っていて面白かったです。

  • 努力や無理をすること、ひたむきにやることも大切ですが、もっと効率的に考えて行動しようと思いました。

  • 難しい専門的なことばを使わずに、分かりやすい言葉選びをしてくださって、すごく理解しやすくて嬉しかったです。

高校生に授業して良かった!

当時の自分が知りたいと思うであろうことを中心にお話しました。皆さん、メモを取りながら聞いてくれました。

自分の経験を等身大の言葉で伝える。まとまった綺麗な言葉でなくてもいい、届けばいいのだから。どこかのタイミングで今日のことを思い出してもらたら最高だ。

質問されたらめちゃくちゃ嬉しいことが分かった。また、講義が終わってから個別的な質問も嬉しかった。これは今度、聞く側になったときは質問しようと思えた、きっかけになった。

授業というものは、受講生も先生もどちらも学ぶ場なんだなと強く思った。

工芸高校2年生のみんな、呼んでくれたY先生、ありがとうございました。

そして読んでくれている皆さま
行政書士業務以外に講師業も受けていますので、呼んでください!



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