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夕遊の中国旅

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中国大陸とその周辺に関連する本や映画の話題を集めてみました。
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#おすすめ本

『踊る大捜査線』エッセンスも楽しめる密室殺人ミステリー『厳冬之棺』孫沁文(阿井幸…

最初のページからひきこまれる、一気読み必至の良質なエンタメです。文章のテンポがよくて、構…

夕遊
5か月前
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中国ドラマや小説を楽しむために。『古代中国の24時間 秦漢時代の衣食住から性愛まで…

出版直後からすごく話題でしたが、ようやく手に取ることができました。きっかけは、中国ドラマ…

夕遊
10か月前
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難民、遺民、抵抗者。 国と国の境界線に立つ人々『境界の民』安田峰俊

一気に読める、読ませる本です。著者の安田さんは、大昔のblogの時代から文章がうまかったです…

夕遊
1年前
28

おもしろすぎてとまらない。『辮髪のシャーロック・ホームズ』トレヴァー・モリス(船…

発売前から評判が良くて、すごく気になっていた推理小説をようやく読むことができました。少し…

夕遊
1年前
28

三国志、キングダム、宮廷美女の時代劇。『戦乱中国の英雄たち』佐藤信弥

最近、中華ドラマを見ています。毎日があまりにも暑すぎて、体力が落ちたので、ちょっと休憩(…

夕遊
1年前
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雄大な草原とそこに住んでいた人々と狼たちの最後。『神なるオオカミ』姜戎

10年くらい前、毎年夏の中国内モンゴルに出張してました。その時に仲良くなったモンゴル族の…

夕遊
2年前
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時代で変わる物語と孔明。『三国志演義』井波律子

2世紀末、後漢王朝が宦官の専横で衰退し、道教系の大平道信者を中心とする大反乱が引き金となって、中国は群雄割拠のの乱世に突入します。たくさんの英雄たちが、知恵と力をぶつけ合う時代を描いた歴史書が、3世紀の陳寿『三国志』。そして、これを土台に物語世界をつくったのが、14世紀中頃、元末明初の羅貫中の『三国志演義』。日本で普通に「三国志」と言われているのは、こちらの『三国志演義』の方。 歴史書の『三国志』と、物語の『三国志演義』の間には千年以上の時差があって、そ

「世界の工場」だった頃の中国のお話。『中国貧困絶望工場』アレクサンドラ・ハーニー

元フィナンシャル・タイムズの中国特派員が、「世界の工場」の中心部、中国広東省のいくつかの…

夕遊
2年前
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小気味よい日本語の深いエッセイ。『越境 ユエジン』東山彰良

東山彰良さんは直木賞をとった『流』がすごくおもしろかったし、その後に読んだエッセイ『あり…

夕遊
2年前
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香港を舞台にしたミステリはイギリス風でもある。『13・67』陳浩基

評判は良かったし、なんせ天野健太郎さんの翻訳なので、とても期待して読みました。彼が翻訳す…

夕遊
2年前
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有名な作家さんとその家族の物語。『星新一 1001話をつくった人』最相葉月

星新一『明治の人物誌』がおもしろかったので、評判の本書も読んでみました。そして、期待通り…

夕遊
2年前
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謎の多い魅力的な女優。『もう一人の彼女 李香蘭/山口淑子/ シャーリー・ヤマグチ』…

「女優の自伝をまともに信じてはいけない」とは、数多くの中国映画の字幕を担当し、書籍を翻訳…

夕遊
3年前
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星の世界とプログラムがつながる。『オービタル・クラウド』藤井太洋

最初の宇宙の話がちょっとわかりにくくて、読むのに時間がかかったけれど、明利という女性の登…

夕遊
3年前
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反撃するプログラマ。『ビッグデータ・コネクト』藤井太洋

表紙を見ると、なんとなく『バチスタ』シリーズを思い出すデザインです。西尾維新さんが海堂尊さんの作品のあとがきか解説で、「読者の幸せは好きになった作家が多作で、未読作品が本屋の棚にズラッと並んでいること」みたいなことを書いていましたが、ホント、そのとおりと共感しました。海堂尊さんも藤井さんも、多作でうれしい。 藤井さんの作品はどれも、プログラマと彼らをめぐるディテールがしっかりしているので、安心して読めてしかも結末が重すぎない。余計な恋愛や、男性向けサービスシーンが出てこない