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共有と共感が導く商店街の"未来像"

いま住んでいるエリアや地元の街が、「これからどうなって欲しいか」考えたことはありますか?

敦賀にある5つの商店街のうちの1つ、神楽商店街では、「エリアビジョン会議」と題し、商店街振興組合で店を構える人々が集まり、ワークショップを通してみんなで街の未来を考えているそうです。

トンガリ屋根が特徴の神楽商店街のアーケード

今年6月にオープンし、私もよく利用している「カグ〜ル」で開催されるということで、一体どのようにして街の未来を考えるのか、また神楽商店街の人々はこのエリアをどのように捉えているのか、実際に参加しながら話を聞いてきました。

神楽商店街は最も共通のビジョンが必要なエリア?

今年10月から始まった神楽商店街の「エリアビジョン会議」。実は同様のことを、まちづくり会社の港都つるが株式会社主催で昨年度もやっていました

タウンマネージャーである阿部俊二さんを筆頭に、金沢でまちづくりを実践されてきた小津誠一さんを講師に迎え、市民有志を数名招き、各エリアのビジョンを考えていたそう。

阿部さん「今年度は『集落活性化支援事業補助金』という補助金があったことから、より深く商店街のビジョンを描くチャンスで。もちろん、他の商店街でも実施すべきですが、まずは歴史が最も古く、そして以前から商店街について意見交換を活発にしてきた神楽商店街にフォーカスしてみることになりました」

講師に迎える小津誠一さんは、建築士であり、金沢でまちづくりを実践してきた知見を持っています。「街との関わり方を知っている」というのがオファーの決め手だったと阿部さん。

講師の小津誠一さん

昔の神楽はどうだった?

前回は昔の神楽商店街の様子がわかるものをそれぞれが持ち寄りって過去を振り返ったそうで、2回目となる今回はその続き。

大きな地図を使って、商店街の過去・現在の思い出や残したいものを考え、そこから神楽商店街の特長を探っていきます。

この日は、13人程度が参加。

大きな地図に、「昔はこんなのがあった」「ここでよく遊んだ」と、それぞれが楽しそうに思い出を書き込んだ付箋を貼り付けていきます。中には古い資料を持ってくる人も。

「しゃべらずにまずは一人で」と講師に言われても、ワイワイ。
1984(昭和59)年発行の貴重な資料。北公民館からこの日のために借りてきたそう。

書き込んだら、それぞれのチームの内容を発表。

私の参加したチームで特に盛り上がったのが「おもちゃのナヤ」という、今はもう閉店してしまったおもちゃ屋さんのこと。

閉店した今も独特の建物は残る「おもちゃのナヤ」

「こんな商品があった」とか、「こういう時に行っていた」とか、内容はそれぞれ違えど、皆が楽しそうにナヤさんの思い出を話す様子に、きっとそれぞれの子供時代を象徴する大切な思い出の場所なのだろうと伝わってきました。

店構えからして、絶対に素敵な場所に違いないと思うのですが、悔しいことに、わたしが敦賀にやってきた頃には、もうナヤさんはやっていませんでした。

他にも、「ここにはお肉屋さんがあって、コロッケが美味しかった」とか「バス停があった」とか、「ロシア人がカレンダーをもらいに来た」とか…。面白いエピソードがたくさん出てきました。

大切なのは、考えを共有すること

この日行われた地図に貼り付けながら神楽の特徴を探るワークは合計3回。

過去の思い出を振り返ったあとは、「現在あるもので残したいもの」「3年後5年後、20年後の神楽商店街はどうなっていたいか」の2回が行われましたが、やっていることは同じなはずなのに、初回とはなんだか様子が違いました…

みんな少しずつ真剣な表情に…。

「アーケードを無くしたい」「いや、残したい」など、さまざまな意見が飛び交います。特に横断歩道などの道路整備は商店街の皆さんの希望なのかも?

別のチームでは、「空き店舗をなくすために、空いてる理由を尋ねにいきます」や、「老舗が多いエリアだから老舗商店街として押し出すべきだ」など、それぞれが思い描く未来は結構バラバラ…。

しかし、このワークショップで大切なのは、一つのビジョンを作り上げるというよりも、そのために繰り返す対話なのかも

普段バラバラの商売をしている商店街の店舗さんにとっては、みんなで同じ方向を向くというのはなかなか難しいことだと思います。しかし、同じ商店街の一員として、どう考えているのかを共有することは相手への理解にもつながるはず。何よりも、こうして自分を開示していくことで、お互いに共感できる部分が初めて見つかるのかもしれません。

このワークショップは、来年まで引き続き開催していくそう。
月に1度商店街のメンバーが本音を語り、共有し、共感して行った先には、どんな未来像が作られていくのでしょうか。


【番外編】わたしから見た神楽商店街:一体感のある商店街

私は普段から、神楽商店街の方にお世話になる機会がちょこちょことあるのですが、毎回思うのが、「一体感のある商店街だな」ということ。

カグールで会議が開かれる様子を見かけたり、店同士でお互いの商品を取引していたり、女将さんが集まる「べっぴん会」があったり、一緒に散歩していたり…。と、積極的にコミュニケーションをとっている印象があります。

あとは印象的だったのが、顔ハメパネルの裏に書かれたメッセージ。神楽商店街には、店先に店ごとの特長が現れた、8体の顔ハメパネルが置かれています。

いちご助産院さん前にある顔ハメパネル


こないだ偶然発見して驚いたのですが、このパネルの裏側、ハメようとした人にしかわからないメッセージが書かれているのです

裏側に書かれたメッセージ、なんかあったかくないですか?

最初はこのパネルだけなのかなと思っていたのですが、いくつか回ってみると、他にも書かれているものがありました。どのようにしてこのメッセージが始まったのかわかりませんが、こういうところの価値観が共有されているあたりが、「なんだか一体感があるなあ」と思わされました。

この顔ハメパネルについては、また改めてじっくり書きたいと思います。

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