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CMの中のドラマに感じる今年らしさ

テレビを殆ど見ないため、ネット配信でのドラマ鑑賞中に最近になって見た一番搾り(ビール)のCMが気に入っています。わざわざYouTubeの公開動画にアクセスし、思わずいいね!を押したほど。
2人のサラリーマンが居酒屋っぽくない料理屋さんで2年前に会社を去った元同僚(か、先輩か)の送別会を時を経て開き、しっぽりと3人でビールを酌み交わす『2年越しに伝えたかったこと』というCM。

今年の年末は私の周りでも故郷や旦那さんの実家へ帰省する人が多く、久しぶりに大学時代の友人に会ってくるね、なんていうことばを聞くと、ふと、このCMの中の情景と重ね合わせたりしています。

日本のあちこちで懐かしい人との再会を楽しむ姿が年末のこの時期にきっと繰り広げられているのだろうなと思うと、忘れていた感覚が蘇るといいますか。

当たり前のことだけど、親しい人と対面して伝わる独特の感情があることを再認識する、そんな感覚。コロナ禍で戦々恐々としていた時期を経て(その間に文字上やオンラインでのコミュニケーションはあったにせよ)互いの空白の時間に距離があるようで緊張をしながらも、やはり顔を見ればすぐに通じ合う何かがあってホッとする、そんな感情を今年は多くの人たちが、より実感をもって味わえたんじゃないかと思うのです。
繋がりを単に感じるだけではなく実感し、そして安堵する。

このCMの中の送られる人(山中崇)と、送る側の2人(森岡龍、伊島空)との関係性は、苦楽を共にしたであろう物語をモノクロで語らせていて、それを1分間の中のほんの数秒ながらシンプルにきちんと描き出しているために、さらに見る側へと印象を深めているような気がします。あの頃の関係性は、たとえ天変地異が起ころうとも変わらずそのままに、そういうありがたい存在へ遅ればせながら改めて感謝を捧げるーそんな年ももうすぐ暮れますね。(そしてその傍らには一番搾りを~♬という絶妙な展開)
CMが流れ出した直後から評判になっていると知りましたが、人々の共感を得るのも納得です。また森岡くんのナレーションがCMの雰囲気にとってもマッチしていて、しかも彼の、送る人へ向ける眼差しがまた何とも言えずいいんです。ちょっといいドラマをCMの中で見させて貰った気分です。


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