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生まれ変わるオーガニック紅茶ブランドは、箱のデザインまでこだわる

オーガニック紅茶ブランドのThe English Tea Shopが、100%生分解性の新しいパッケージデザインを発表しました。この新パッケージは、ロンドンのEcho Brand Design(以下、Echo)とともに手がけられています。

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The English Tea Shopは、2010年に設立したイギリス発の紅茶ブランド。「Your tea loving community.(コミュニティを愛する、あなたのための紅茶)」をコンセプトに、スリランカの製造工場では製造〜パッケージングまでのすべての工程を手がけています。フレーバーも豊富で、アールグレイやイングッリシュブレックファストなどの王道から「アップル・キャロット・ブルーベリー」といった気になるものまで、多岐に渡って展開されています。

さらに、彼らがこだわりを持っているのが原材料です。「A mixture of the finest and freshest ingredients(フレッシュで優れた原材料の組み合わせ)」をキーワードに、フェアトレードやオーガニックにこだわった茶葉を使用しているのだそうです。また、ホームページのサイトトップは紅茶の品目ではなく「Sustainability Report」が表示されており、ブランドのメインテーマとして原材料調達やサステナビリティが深く重視されていることが分かります。また、彼らは2020年3月初頭にも、世界最大級のメガバンクHSBCから250万ポンドの資金を得ています。

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今回、新たに発表されたパッケージは、18種類のフレーバーで展開される高品質の茶葉シリーズのためにデザインされたもの。箱は花のように開き、裏面にはお茶の煎れ方だけでなく、生産者のバックグランドストーリーやパッケージの説明などが記載されているのだそうです。

また、リニューアルしたのはビジュアルだけではありません。こちらのパッケージの素材には、生分解性(コンポストで微生物分解され、ゴミとして残らない素材)のダンボールが採用されています。さらに茶葉を詰めるパックは、遺伝子組み換えでないセルロースで作られているのだそう。ステッカーやラベルなど、ゴミとなって残ってしまうビニールやプラスチック素材は一切使われていません。

FoodBev Mediaによると、The English Tea ShopのCEOであるSuranga Herathさんは「2025年までにブランドのパッケージをすべて生分解性のものとし、埋め立て地で廃棄されるゴミをゼロにする」ことを目標として掲げています。

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The English Tea ShopとEchoは、これまで4年以上に渡ってコラボレーションを続けてきました。世界55か国で統一されたブランドイメージを構築することを目的に、パッケージデザインだけでなく、ロゴマークもよりメッセージが伝わりやすいものへと作り直されています。

Creative Boomによると、Echo Brand DesignのクリエイティブディレクターであるNigel Ritchiesさんは「The English Tea Shopは素晴らしい”Farm to Cup(農園からカップまで)”のストーリーがあるにも関わらず、ビジュアルにブランドアイデンティティが落とし込まれていなかった」と語っています。つまり、彼が「Farm to Cup(農園からカップまで)」というThe English Tea Shopのブランドストーリーを、視覚デザインによって伝えようとしていることがわかります。

2019年2月には、スリランカの特長でもある鮮やかな色彩にインスピレーションを受けた、ビビッドで大胆な色使いのパッケージを発表(上記Instagramの写真を参照)。これらのリブランディングもEchoが手がけています。また、スリランカと親和性のあるマンダラ柄を「サステナブル」の象徴としてビジュアルに落とし込んでいるのだそうです。

Echoが手がけたクリエイティブは、The English Tea Shopというブランドにとってどんな意味をもたらすのでしょうか?それは、ストーリーを伝えるための手段の可能性だといえるでしょう。ホームページやSNSなど、文章で直接メッセージを伝えるだけでなく、あらゆる視覚デザインがバリューを伝えるために有効であることがわかります。さらに、実際に消費者が手に取る商品のパッケージにブランドストーリーが落とし込まれることによって、視覚的、触覚的にもそのブランドにしか提供できないユニークな体験が実現できるのではないでしょうか。

「サステナブル」「オーガニック」「フェアトレード」などの言葉は、パッと見ると「なんとなく良さそうだなあ」と感じさせられる響きを持っています。ですが今後、トレンドとしてこれらの言葉がどんどん多用され、市場に溢れていくことが予想されます(というか実際、すでにそうなっている気もするけれど)。

これによって、不確実な商品が氾濫してしまったり、消費者が言葉を見飽きてしまう可能性は低くありません。今後は、パッケージやロゴデザインも含め、言葉に頼りすぎない手段での購買体験を提供するクリエイティビティ/デザインが一層求められていくことになるでしょう。

Image: Twitter
Source: The English Tea ShopEcho Brand Design, Instagram, FoodBev Media(12), Creative Boom