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管理職なのに「マスコットキャラ」。社内でも有数の厳しい上司との日々が与えた影響とは…

世の中の99.9%は「普通の人」。スポーツやビジネスなどで活躍する著名人は、あなたにとって憧れであっても手が届かない遠い存在でもあります。

一方で身近にいそうな人のエピソードを通じて学べることもあるのではないでしょうか。あなたにとって、今後のヒントになるかもしれません。

今回は岡野バルブ製造(株)の石橋洋司さんに焦点を当てました。若い頃に出会ったある上司との日々が社会人としての生き方にどんな影響を及ぼしたのでしょうか。

《プロフィール》石橋洋司(いしばし・ようじ)
 門司商業高校を卒業後、1990年に岡野バルブ製造(株)に入社。資材課への配属を皮切りに、出向した時期を除いてほぼ一貫して調達業務でキャリアを積んできたことを本人は「運の尽きだった」と笑う。現在は資材課長として調達業務、業務改善、人材育成に関連するマネジメントを担う。1971年生まれ、福岡県出身。


「私語もできないガチガチな環境」で社会人デビュー

入社当時を思い出して思わず崩れた石橋さん

 地元の高校を卒業後、岡野バルブ製造(株)に入社した石橋さん。「マスコットキャラ的にイジられることも多い」と自称するムードメーカーでもあります。そんな石橋さんが社会人として苦しかったと感じた時期について次のように挙げました。

石橋
「配属当初の上司がとても厳しくて社内でも有数の厳しい上司だったんですよ…」 

その厳しさは、周りから「お前、すげぇ職場に行ったな」と言われるほど。具体的にはどんな風に厳しかったのでしょうか。

石橋
「『もう辞めてしまえ!』が口癖でとにかく口が荒くて… 仕事でミスすると罵倒され、会議に同席した時には『お前が全部責任もって答えろ!』と言われて知識も発言力も無い新人の僕は猛者達から袋叩きにあってました」

右も左もわからない社会人として駆け出しの時期。ムードメーカーを自称する石橋さんが「仕事中に私語もできないガチガチな環境」と振り返るほど、ピリピリした雰囲気だったことが想像できます。仕事面から生活態度に及ぶまで厳しかった上司の下で働いた期間は、結果的に6~7年にも及びました。


「相手の目線に合わせる」ことで築くメンバーとの関係

管理職として「常にアンテナを張っていたい」と語る

普通では投げ出してしまいそうな時期を経て、石橋さんは「後々の自分の行動や考えにつながった」とも語っています。背景には当時の上司の厳しさを解釈したことで生じたある考えがありました。

石橋
「厳しさは彼なりの愛だったと感じています。フォローもしてくれる強い存在でしたし、尊敬できる人でした。だからこそ強烈に印象に残っていて、相手の意見を尊重することを意識し始めたのだと思います」

若い頃の経験がその後の社会人生活に影響を及ぼすことは少なくありません。当時の上司との日々があったからこそ、石橋さんにとっては「相手の意見を尊重すること」の大切さを身に染みて感じるようになったといえます。

では、管理職としてメンバーをまとめる立場になった石橋さんはどんなスタンスで相手の意見を尊重しているのでしょうか。

石橋
「上司として相手の目線に合わせることが大事ですよね。頭ごなしに『それは違う』と叱責するより、相手の立場で考えて『なるほど、そういう考えでやっているのか』と共感する方が安心や信頼に繋がると感じています」

メンバーとの信頼関係を築く上でまずは相手の目線に立つことを重視する石橋さん。メンバーとの関係性についてもう1つ、次のように例えています。

石橋
「『自分がやっていることがスーパーマンだと思わせない』ことも意識していますね。言い換えれば『石橋さんだからできるんだと思わせない』ことだと思います。経験値の違いでメンバーにできないことがあっても、上司としてまずは相手の目線に合わせることが大事ですよね。その上で『自分でもできる!』と感じる経験を増やしてあげたいですね」

ベテランによる判断は過去の経験則による部分も大きく、若手が同じようにできるとは限りません。一方で「スーパーマンだと思わせない」と語る石橋さんの言葉からは、経験に乏しいメンバーでも立場の違いを意識せず自信を持ってチャレンジできる環境や関係性を重視していることがうかがえます。


理想は「冗談を言いつつ本音も言い合える雰囲気」

カメラを向けると慣れたようにポージングをしてくれた石橋さん

メンバーの関係性を意識する裏側には、厳しい上司の下で働いた経験を通じて「殻を破れなかった」との思いがあります。「当時から個性を出せていれば違った形になったかもしれない」とも口にしており、メンバーの能力を発揮できる環境づくりが石橋さんの求めるリーダー像にあるといえます。

そんな石橋さんに自身へのキャッチフレーズをつけてもらうと、次のように示してくれました。

石橋
「『気軽に話せて頼りになるオジサン』ですね。フランクに話せる環境で頼りになる存在が目標としています。その意味でこれまで自分が作ってきた半分は間違っていないと思っています」

相手の目線に立つことやメンバーとの関係性を意識する石橋さんらしさがキャッチフレーズにも出ています。ただ、達成度について「半分」としているのはなぜなのでしょうか。

石橋
「本来は雰囲気もよくて成果も上げられるのが理想ですが、持ち込む術が見い出せないもどかしさもあります。成果を追い求めると何かが崩れそうな気もしていて

常に成果が問われるビジネスの世界。チームの雰囲気を重視しつつ、成果とのバランスの難しさに悩む様子が「半分」の言葉に凝縮されています。

その上で「冗談を言いつつ本音も言い合える雰囲気づくりが重要」と語る石橋さん。和気あいあいとした環境でも建前に終始しない関係性を通じ、チームや各メンバーの可能性を引き出す手がかりを追い求めていく構えです。


今回のおさらい

入社当時に出会った上司や先輩の存在は、その後の社会人としての歩みを重ねる上で大きな意味を持ちます。石橋さんにとって厳しい上司の存在が、管理職として「相手の目線に合わせること」や「メンバーが能力を発揮できる雰囲気づくり」を意識する原点になりました。

仕事をしていると、どうしても自分中心の考えで判断を下してしまうことはありませんか。相手の考えを尊重したり、俯瞰して考えたりする石橋さんのスタンスは、忙しさに追われている時こそ大切な考え方といえそうです。


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