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【今から知りたいロボットの世界】知ってる?知らない?進化し続けるロボットたちをサクッと解説

皆さんは「ロボット」と聞き、どんなものを思い浮かべますか?

ドラえもんや鉄腕アトムのようにアニメに出てくる二足歩行のものは、ロボットの世界で言えばごく一部の領域となります。
そもそも、二足歩行のものが当たり前のように流通する時代はもう少し先の話になりそうです。

ただ、時代の流れに伴ってロボットが持つ能力や活躍する場面は広がり続けています。

今回から「そもそもロボットってどんなものだろう?」と感じる人に向け、ロボットの種類や今後に向けたトレンドを中心にお届けします。

▼前回の投稿(予告編)はコチラ!



そもそも「ロボット」ってどんなもの?

少し昔のものですが、ロボットについて2014年に国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が発行した「ロボット白書」では次のように定義しています。

センサー、知能・制御系、駆動系の3つの要素技術を有する、知能化した機械システム」

難しい言葉で綴られていますが、この定義に基づけば検知した情報を処理して動くものであればロボットと言えそうです。
そうなると、必ずしもアニメにあるような二足歩行のものである必要はないことがわかります。


【産業用ロボット】ものづくりに欠かせない主役

モノづくりの現場でなくてはならない産業用ロボット(イメージ)

「ロボット」とひと口に言っても、大きく2種類に分類できます。
その1つが「産業用ロボット」です。

産業用ロボットは製造現場で使われることが多く、一般の消費者が目にする機会は限られるため馴染みが薄いかもしれません。
ただ、私たちの生活に欠かせない製品を作る上で大きな役割を担っています。

その代表例として挙げられるのが、自動車工場です。
主に完成車の組み立てや溶接作業などに用いられ、取り替え作業が比較的少なく、大量のモノを生産する製造現場に向いているとされています。
小学生や中学生の頃に行った社会科見学で、自動車が出来上がる際にロボットが動く姿を見た人も多いのではないでしょうか。

そんな産業用ロボットの世界におけるトレンドとして、近年脚光を浴びているのが「協働ロボット」です。

従来の産業用ロボットは大型で動かすためにパワーが必要です。
作業者の安全を確保するために周囲を安全柵で囲み、設置にはスペースの確保が求められます。
そんなデメリットに対し、協働ロボットは「人と一緒に作業できる」ことが最大の特徴と言えます。

なぜ協働ロボットが人と一緒に作業ができるのかと言えば、その小型でスリムな機体に秘密が隠されています。
安全を確保するため動作速度を制限する機能を持ち合わせ、従来の産業用ロボットのような安全柵も不要なため、現場のレイアウト変更にも柔軟に対応が可能です。

人が担ってきた作業の代替や人と一緒になっての作業が可能なため、現場での生産性向上や省人化につながるとしてさらなる活用が見込まれています。


【サービスロボット】工場を飛び出すロボットたち

飲食店で見かけるようになった配膳ロボットもサービスロボットの1種(イメージ)

主に製造現場で利用する産業用ロボットに対し、もう1つの大きな分類として挙げられるのが「サービスロボット」です。

サービスロボットは工場を飛び出し、サービス業全般で使われることを想定しています。
ビルや商業施設を巡回して不審者がいないか監視する警備ロボットや飲食店にある配膳ロボットなどは、サービスロボットの代表例と言えます。

サービスロボットが注目される背景は、ずばり「人手不足」です。
特に欧米では近年、インフレに伴って高騰する人件費を抑えるためサービスロボット導入する動きが顕著に見られます。

日本国内でも物流、配送業界における「ラストワンマイル」の課題を解消するため、日本郵便やENEOSホールディングス、楽天グループなどが実証実験を展開しています。
物流量の増大が続く都市部、配送の担い手確保が難しい過疎地など、あらゆる場面で今後活用の場が広がることが想定されます。

そんなサービスロボットですが、著しい市場規模の拡大が進んでいます。
富士経済の調査によると、サービスロボットの世界市場は2030年には2022年比78.5%増となる4兆1850億円に達することが見込まれています。
現時点で産業用ロボットの市場規模(約1兆円)を上回っており、既存のロボットメーカーに限らず異業種による相次ぐ参入が進んでいます。


【介護ロボット】超高齢社会で存在感を増すロボット

建設現場などでも使われるアシストスーツは介護ロボットの一種でもある(イメージ)

超高齢社会に突入した日本で、今後の市場拡大が急がれる分野があります。
それがサービスロボットの一部である「介護ロボット」です。

厚生労働省は利用者の自立支援や介護者の負担軽減につながる機器を介護ロボットとして定めています。
移乗時に介護者の負担を軽減するパワーアシストスーツや高齢者の体調を管理したり、話し相手になったりする見守りロボットなどは、介護ロボットに分類されます。

介護ロボットの需要が急激に拡大する背景には、超高齢化が進む日本ならではの事情もあります。
介護が必要となる人が増える一方、介護分野の担い手となる人材確保が慢性的な課題となっています。
厚生労働省は2040年度に19年度比で約69万人増の約280万人の介護人材の確保が必要と試算していますが、介護分野における有効求人倍率は恒常的に3倍を超えている状況です。

そんな背景もあり、サービスロボット市場全体に占めるボリュームは小さいながら介護ロボット市場は拡大が見込まれています。
矢野経済研究所の予測では、2025年度に2021年度比66.7%増となる36億2500万円に市場規模が広がる見通しです。
その上で介護事業者は中小・零細規模の事業所が多いため、導入コストや維持費用が抑えられる介護ロボットの開発が求められています。


【ヒトとの共存へのキーワード】ロボットフレンドリー

ヒトとロボットの共存を目的に展開する「ロボットフレンドリー」(イメージ)

他にも農作物の収穫、医療機関での手術、インフラの整備や点検、災害発生時など、ロボットが活躍する現場は近年広がり続けています。
さらにかつていろんな場所で見かけたソフトバンクの「Pepper」や近年話題となっているGroove Xの「LOVOT」といったいわゆる「癒し系」のロボットなどからも、私たちの生活に深く溶け込んでいることがわかります。

そんなロボットの普及拡大に向け、今後のキーワードとなるのが「ロボットフレンドリー」です。

近年、経済産業省が主体となって提唱されているロボットフレンドリーは、「ロボットを導入しやすい環境」を作り出すことを目標としています。
製造現場の生産性向上や人手不足解消などに向け、標準化によるルールづくりやさまざまな分野での実証を展開されています。

例えば、食品関連でも惣菜の製造は、これまで現場でのロボットの活用が難しいとされてきました。
弁当やサラダなど容器に食材を盛り付けるにしても、さまざまなものを詰め込む上に食材の形が不揃いなことが人手を活用せざるを得ない要因となっています。

そんな盛り付け作業の非効率性を解消するため、ロボット自体の開発にとどまらず、容器や番重の標準化、導入を促すレンタル・リースモデルの構築など、開発から供給体制の確立までの一体的な仕組みを関係事業者が作り出そうとしています。

他にも小売りや物流、施設管理といったこれまで人手が必要と考えられてきた分野でロボットが共存する仕組みを作り出すことが、ロボットフレンドリーな社会の実現に向けて重要なカギを握っています。


【次回予告】ロボットを「数字」から迫る!

製造現場以外でも活用の場が広がるロボット(イメージ)

世の中のさまざまな場面で使われるようになったロボットですが、世界的に見て実は日本が「ロボット大国」であることを知ってますか?

次回はそんな日本や世界のロボット産業について「数字」をピックアップしながらさらに深掘りしていきます。
知っているようで意外に知らないロボットにまつわるデータを取り上げていきますので、是非ともお楽しみに!

▼次回の投稿はコチラ!(8月17日(木)公開です)

【参考データ】
●国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
「ロボット白書2014」
●経済産業省HP
https://www.meti.go.jp/policy/economy/distribution/deliveryrobot/case.html
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/robot/index.html
●厚生労働省HP
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000209634.html
●富士経済「サービスロボット市場調査」
https://www.fuji-keizai.co.jp/file.html?dir=press&file=23019.pdf&nocache
●矢野経済研究所「介護ロボット市場に関する調査」
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3096


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