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渋谷のスタートアップが恵比寿駅から3分で72坪のオフィスを移転するまで(前編)

渋谷にあります、HRtechスタートアップ、株式会社リフカムで管理責任者を担当しております、小林です。

今回は、25坪のオフィスから72坪のオフィスへ移転するためにたどった軌跡をお届けします。スタートアップの総務担当のノウハウに貢献できれば幸いです。

酸素が薄く感じるほどオフィスが手狭になった!

なんか最近、仕事中になんだかボーッとするなあ、、、

そんなことありませんか?お昼ご飯の食べ過ぎじゃないですよ?


まさか・・・と思って、おもむろに二酸化炭素濃度が測れる機械を買って測定してみると...

ぐはっ!二酸化炭素、濃い!

※ちなみに健康的な環境にはCO2濃度が1000ppm以下が良いらしいです。

うん、だめじゃん。このオフィスに移転してきたときには社員も4人くらいだったのが、今は最大時20人くらいに・・・。

社員一人あたりの必要坪数は@3坪以上らしいのでその計算だと8人しか入りません。

      (2017年夏頃。まだまだスッカスカでした)

社員「これじゃ仕事になりませーん」

社長「・・・よし!移転しよう!小林、よろしく!」

小林「はい!探します!(でも、どうやって?)」

オフィスを探すときに何を優先する?

プライベートの物件探しであれば、私は社会人になってからすでに10回は引っ越しているので、「間取り」とか「キッチンの広さ」とか「日当たり」とか優先事項を決めてサクサク進められるのですが、オフィスの場合ってどうなんでしょう。

社員A「スタートアップっぽい、テンションが上がるようなきれいなオフィスが良い!」

社員B「営業外出が多いから、主要な駅で駅チカじゃないとめんどくさくて会社戻らないかも~」

社員C「...あんまり渋谷から離れるのはちょっと嫌だなぁ・・・」

小林「・・・」

毎日、通うオフィス。

色々わがままいいたい気持ち、わかります。

しかし、何も判断する条件がないと探せないので、まずは第一に通勤を考慮するために駅の希望のアンケートをGoogleFormで取りました。

経費の面も考えるとあまり広すぎるのも良くないですし、狭すぎてもすぐにまた移転となってしまうので、現状の3~4倍の広さで探しました。

★現在のスペック
坪数:25坪
賃料:50万円(坪単価:20,000円)
駅からの距離:渋谷駅徒歩3分(半蔵門線出口)道玄坂の騒音がキツイ
ビルのグレード:低い(エレベータこない。ゴミ捨て場が特にキツイ)
個室打ち合わせスペースなし
★希望スペック
移転予定時期:2018年内
人数:50名前後
坪数:60~100坪前後
賃料:150万円前後(良い物件があれば融通あり)
駅からの距離:徒歩10分以内
場所:渋谷、表参道、恵比寿、中目黒、青山一丁目、新宿三丁目、目黒
エントランス広め
個室会議室1室以上
トイレ男女別

不動産仲介を利用しないのはかなり大変(餅は餅屋)

最初はとにかく削れるコストは削ろうと思い、物件を直接探すことで仲介手数料(賃料の1ヶ月分が相場)を払わず、知人の会社が移転するというのでそこに入ろうとしたのですが中々うまくいかず、結局、いくつかの不動産にお世話になりました。

今回、ご相談差し上げたスタートアップの移転に強い業者をいくつかご紹介いたします

オフィスバンク様
ヒトカラメディア様
CBRE様
クリアビジョン様
三幸エステート様

あまりやりとりする業者を増やしても、結局提案される物件は被ってくるので最大でも3~5社くらいに希望スペックをお願いすれば十分と思いました。

コストを抑えるには居抜き物件が良いらしい

基本的にオフィスは移転の際に「原状回復」と呼ばれる、入居前の空っぽの状態にリセットしてから、新しく入る会社が改めてレイアウトを決めて内装工事を行い、入居することになっています。

          ※原状回復後の何もないオフィス

でも、一般的なIT企業のオフィスとして次のテナント(会社)も利用するのであれば、そのまま利用すればいいんじゃない?というのが居抜きでの利用です。一般的には飲食店の次に飲食店が入るのであればそういった工事をスキップするものが多いらしいのですが、それをIT系オフィスでもやるというものです。

相場としては、原状回復には1坪とごとに5万円程度内装工事に1坪ごとに10万円~の費用がかかります(凝ったオフィスだと25万とか!)。これが、居抜きにすることで、入居している企業もこれから入る企業もかっとすることで、移転コストを大幅に抑えることができます。

社長もFacebookで移転検討中のスタートアップを募ったりもして候補の物件が挙がったのですが、移転時期のタイミングがうまく合わず、それを待っていると社員達が窒息しそう、もとい企業成長が遅くなりそうということで、今回は断腸の思いで見送りました。

まずはひたすらに内見しまくりました

最初はとにかく、条件を仲介業者に伝えてピックアップされた物件を片っ端から見に行きました。そうすることでいくつか希望の物件像が見えてきました。まずは肌感を掴むために足で稼ぐのが手っ取り早いです。

・物件はきれいだけど、駅からこの坂を営業が毎日上り下りするのは大変そうだなあ

・安いのは良いけど、招待した社外の人がこのビル見たらテンション下がるかもなあ

・街並みがおしゃれ過ぎて1,000円以下でランチを食べられるお店がほとんどない・・・

・駅距離も物件もいいんだけど、裏がラ○ホテルで窓から見える・・・

天井の高さや、同居してるテナントなど、行ってみて初めてわかることも多く、物件紹介のハード情報だけからはわかりにくいことが実際に現地に足を運ぶことで見えてきました。

どうやって最終的に希望する物件を絞り込むか?

見れば見るほど迷ってしまうのですが、いつまでも、あれでもないこれでもない、と言ってられません。特に移転時期のリミットが切られているため、年内に入居可能な物件となるとどんどん少なくなっていきます。

そこで、できるだけ物件の価値を定量評価できるようなロジックを考えました。

・最寄り駅(渋谷なら高得点。1駅離れるごとにマイナス)
・駅からの距離(3分以内、6分以内、7分以上で差をつける)
・ビルのグレード(すごくきれい、きれい、雑居ビル)
・広さ(適切な広さか、広すぎないか、狭すぎないか)

もちろん、これら以外にも現地の様子や、敷金が何ヶ月分か(6ヶ月か12ヶ月かで200万円/月の賃料であれば1,200万円とかコストが違ってくる)、間取りがどうか、などもありますが、まずは優先度を見える化しました。
ちなみに敷金は、保証会社というのがありそこの審査が通れば、まとまったキャッシュアウトを避けることができます。

また、普通借家(ふつうしゃっか)と、定期借家(ていきしゃっか)という普通の個人賃貸ではあまり聞かないものがあり、これは借りる期間があらかじめ決められているものです。実際、定期借家(定借)4年の魅力的な物件があったのですが、そこを2年で出てしまうと残り2年の賃料を支払わないといけないという厳しい条件が課せられており、スタートアップとしてはその条件は飲めずに見送りました。

また、広さですが「グロス(面積)」と「ネット(面積)」という考え方がありまして、契約面積にトイレや給湯室、廊下、エレベータホールなどを含んだ面積がグロスなので、表示されている面積が、どこまでを含んでいるか?例えば共用部にトイレがない場合は、オフィス内にあるトイレの面積も含んでいる(=執務スペースとしてはカウントできない)なども注意が必要です。

築年数によっては、天井高が低かったりOAフロア(床の下に配線をできる)ではなかったり、変な柱があったり、謎に古臭いデザインがされていたりする場合もありますが、実際、そこがネックになるケースはありませんでした。

いよいよ仮申込!(※本申込はまだ)

結果、30件ほど内覧し、よし、ここなら入居したい!という物件が絞り込めてきたら、次は仮申込です。

やはり良さそうな物件は複数の仮申し込みが入っており、その中で勝ち残らなければなりません。また、どんな管理スタイルのオーナーか?、審査は厳しいか?、ベンチャーへの理解はあるか?、などいくつかのハードルを超えないとならず、その途中で負けてしまったこともありました(涙)
やはりスタートアップは赤字ベースになる部分があるため、そこを評価されてしまうと厳しいケースがあるようです。

そして、申込書を出したらそれで終わりではありません。オーナーやデベロッパーと面談(面接)を行い、どういった事業を展開しているのか?これからの将来性はどうなるのか?などを社長と一緒にプレゼンを行いました(普段は着ないスーツとネクタイで)

銀行融資ほどではないにしても、契約したからには、最低2年間は支払いが発生するわけですから、会社として経営状況は大丈夫なのかチェックするのは当たり前です。黒字化までの事業計画書の提出などが必要なケースもあります。

仮申込から申し込み確定までにかかる期間

結果的に契約した物件ですが、8/6に仮申込し、確定したのが9/7、つまり約1ヶ月かかりました。これは大手デベロッパーの物件だったこともあると思うのですが、1ヶ月近く待ってスリップした場合、そこからリカバリーするとさらに移転が遅れてしまうので、そういう意味でも移転は早めに動き出す必要があるなと思いました。

※仲介業者様と、契約確定したときのメッセンジャーの様子

その後、重要事項説明などのステップを経て、無事に契約完了しました!

まとめ

・実際に移転したい日の半年くらい前には動き始めるのが良い(今回は12月移転を7月から動き始めてやや危なかった)
・移転時期や条件が不透明な場合は仲介業者にも注力してもらいにくいため、できるだけ本気で移転することが決まってから取り掛かり、1~2ヶ月で集中して動く
・仲介業者は3~5社に声かけ。その際に、譲れない条件と譲れる条件、予算感を伝える
・内装にそこまでこだわりがなくスケジュールに余裕があれば居抜きも検討できるとお財布に優しい
・ドンピシャの希望条件ではない物件でも、見ることで気づくことがあるので実際に足を運ぶ(今回、代々木は最初候補外でしたが、行ってみたらアリだなと思いました)
・検討物件の状況など、情報を社内にオープンにして社員と移転のワクワク感を共有する

お読みいただきありがとうございました。

(追記)続編をアップしました

渋谷のスタートアップが恵比寿駅から3分で72坪のオフィスをたった1人で移転するまで(後編)

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