渋谷のスタートアップが恵比寿駅から3分で72坪のオフィスを移転するまで(後編)
渋谷、改め、恵比寿にあります、HRtechスタートアップ、株式会社リフカムで管理責任者を担当しております、小林です。
前編として↓↓↓こちらの↓↓↓、移転先の物件契約までのお話をお伝えしました。
渋谷のスタートアップが恵比寿駅から3分で72坪のオフィスをたった1人で契約するまで(前編)
今回は、その続きとなります。
「はぁ~、これで移転業務も終わった終わった、ヤレヤレ」
・・・・・・ハイ、そんなわけありませんでした。
まずは内装工事をしないと業務ができないよ!
(居抜き物件と呼ばれる、そのままでも仕事に利用可能な物件であれば参考程度にお読みください)
原状回復後と呼ばれる”最低限、エアコンはついてるし、電源もあるし、床がないわけじゃない”ので、みかん箱でも持ってきて(いつの時代だ)そこで仕事をしろと言われれば、やってやれないことはない、とは思います。
(実際こんな感じで、工事中、仕事してみました)
あ、はい。オススメできません。
というわけで、”物件がまっさらな状態”になっている場合は、会議室や受付を区切る壁とかありませんし、それはまだいいとしても(良くないけど)、部屋の中央にまで電源が来ていなかったり、エアコンの位置がおかしかったり、色々使い勝手が悪い状態なのです。
(幸い、最近なら無線LANが主流なので、ネットワーク工事は省けたり、電話も携帯を支給していたり、そこはかなり省けるといえば省けます)
というわけで、ここで必要なのが内装工事です。
内装工事会社を選定しよう!
「じゃあ、さっさと工事しましょう!」、となるのですが、がんばって自分でやるところもあるみたいですが、今回の物件は大手デベロッパー管理だったこともあり、専門の内装工事会社を探すことに。
しかし、かなり時間も予算も限られているため、今回は仲介業者様からリーズナブルな業者を2社ご紹介いただき、比較検討しました。
2社に物件の図面を送付、什器の配置や会議室の大枠のレイアウト案、受付のデザインなどを対面で提案いただき、さらに担当者とのフィーリング、予算感など総合的に比較して決めました。
業者が決まったらレイアウトを確定させます
次が結構大切な、レイアウトの詳細確定です。
ここをどうするかで全体の費用感も大きく変わってきます。
具体的には
・執務スペースには何席作るか(社員は何名で見積もるか)?
・会議室は何人用をいくつ用意するか?
・壁や床はどうするか?装飾などするか?
・受付は設置するか?しないか?
・電話やインターネットの配線はどうするか?
などを業者に伝えて相談しながらレイアウト案をいくつか作っていただきました。
今回決めた物件が四角いスペースではなかったのですが頭を悩ませましたが、中央に受付と社外用会議室、執務室へは中央から入ることで、できるだけ社内にコミュニケーション(移動)が発生するようにこだわりました。
ちなみにこちらは、没案(笑)
レイアウトが決まったらそれを元に、電気(社員1人あたりテーブルタップは何口必要か?)、電話(受付から内線が呼び出せるようにするか?)、壁(会議室は完全防音か?色はどうするか?)などの詳細を決めていきます。
工事の種類にも色々あるらしい
内装工事の話が進んでいく中で、ある時、
内装工事会社「今回の物件はB工事が多くなりそうです」
私「は?B工事??じゃあ、AとかCとかあるの?」
そうなんです。
ビル工事にも種類があるらしく、A工事はあまり関係することはなくて、B工事は、C工事と同じ内容でも、費用が高くなることがあるらしいのです。
詳細は上記のリンクを見てもらうとして、今回は物件側の理由でB工事が多くなりそうでした。
具体的にはB工事は天井や壁、電気工事などに関するものが含まれるようです。
例えば、ビルにもともとついているエアコンや蛍光灯の位置のまま、スペースを区切っていくと場合によっては、真っ暗な部屋やエアコンの効かない部屋ができてしまったり、火事のときにスプリンクラーが届かない部屋とかができてしまうわけです。
これまであまり普段考えたことがなかったですが、確かに天井や壁に元々ついてるものを動かすのは大変なので、極力、そのまま使えるレイアウトにすることで工事が割安になります(ただし、会議室だけ電気を消す、などができなくなったりします)
せめて受付部分くらいは凝ってみた
なので内装工事費を節約するために、極力、床や壁はそのまま利用し、会議室と執務室を区切る壁も最低限で頑張ってレイアウト設計してもらいました。
ですが、受付だけは社長からの強い要望もあり、コストをかけてオリジナル感を出すことになりました。
限られたスペースとコストの中でいくつかデザインいただき、その中から全社員でSlackで投票を募り、温かみのあるデザインとなりました。
結果、圧倒的に案1に票が集まりました!(個人的には透明感のある案2もありかな、と思ったのですが笑)
最後の調整で実際に貼る壁紙の選定を行いました。(似ているものだと、もはや違いが全然わかりませんでした苦笑)
B工事費用を削減してもらう方法!?
最終的な見積もりを取ると、なんだかんだと工事費用が膨らんでしまい困りました。
そんなとき、なんと「B工事費用」の削減をコンサルしてくれる業者がありました。
株式会社JLA | 建築・不動産に関するコストの適正化をサポートします。
絶対に安くすることを保証してくれるわけではありませんが、完全成功報酬型ですので、下がった分だけ我々にもリターンがありそうだったので今回利用させていただきました。色々なサービスが世の中あるんですね。
什器(じゅうき)選定も大変
さて、区画が決まったそこで使う家具ですね。「什器」というとあまり聞き慣れないワードかもしれませんが、単純に「机」や「椅子」といった家具類のことです。さすがにこれらは仕事に必需品ですね。
大きく分けると、
・「新品」にするか、「中古」にするか?
・購入か、リースか?
などがあるようですが、やはり中古だとモノによっては1/5くらいに費用を抑えられるもののいかにも”昭和”みたいな机と椅子しか選べないので、社員のテンションと使い勝手などを考慮して、思い切って新品でいくことにしました。
一番長い時間使うもの。それは「椅子」
とはいえ、何もかも予算をかけるわけにも行かないので、メリハリをつけようと思い、何にかけるかと聞かれれば、それは断然「椅子」かと。
たかが椅子ですが、下は5,000円から、上は200,000円までまさにピンきりの世界ですが、個人的にもオカムラをつかっていたこともあり、とりあえずオカムラへ見学(試乗ならぬ、試座)に赤坂までいってきました。
中は撮影禁止だったので、こちら、デスクとデスクの間をどれだけ取るとどうなるかの参考用の看板だけ、パシャリ。あまり考えたことがなかったのですが、デスクの間の幅は、確かに快適さと直結するのでこういうことも1つずつ決める必要がありました。
もちろん、ショールームなので椅子だけでなく机やソファーなども色々見れて面白かったですが、最後にちゃんと椅子もたくさん座ってみてどれがいいか検討できました。なんだかんだで90分くらいかかりました。
例えば、座面は男性はメッシュが好きだけど女性はクッションタイプが好き、とか、ヘッドレストがあるのは男性は嬉しいが、女性は髪の毛が当たるので好まれない、などetc..。
最終的に、色やオプションパーツも豊富で組み合わせによって値段もかなり変わってくるので、この辺も社員の意見を取り入れつつ進めました。
続いて、キャビネットやラック、ソファーなどは、KOKUYO、イトーキなど大手のカタログももらったのですが、種類がたくさんありすぎて結局、業者のおすすめから基本選定していきました。
一応、渋谷にはニトリもあったので、比較用に視察に。
この手の最近流行のファミレス席などもあってレイアウトの参考になりました(今回は見送りましたが、次は作りたいなあ)
イニシャルのキャッシュアウトを抑える什器調達
内装工事会社からやメーカーから直販で什器を買うこともできたのですが、今回は、イニシャルが抑えられるということで、必要な期間だけ借りて不要になったら返せる、またある期間支払い終えたら自分たちのものにもできるという、47インキュベーションという会社の家具レンタルサービスを利用してみました。
オフィス家具通販 Kagg.jp【全国送料0円、最低価格保証】
恵比寿にオフィスがあるのですが、そこではオカムラ以外の椅子の座り比べができたり、昇降する机や防音の通話BOX、休憩スペースなどなど、色々な什器をサンプルとして利用しているオフィスになっているので、大変参考になりました。(↓その時みたのを参考に作っていただいたソファースペース)
サイトも見やすく、希望の什器を色々検索できるのでおすすめです。
例えばこれまで使っていたロッカーがシリンダー錠で社員が鍵を紛失して困っていたので、こんな、ダイヤル式のロッカーを提案いただき、注文しました。
他にもこんな業者もあるようです。
家具のレンタルサービス CLAS(クラス)| 家具を買わない生活 はじめよう :
いよいよ内装工事開始、そして防火管理
契約完了から1ヶ月後にオフィスの鍵を預かりオフィスに入れるようになりました。ここからは内装工事やネット工事などを並行して進めていくことになります。
その中で鍵の受け取り以外にも、「清掃会社へ、週何日、ゴミを回収してもらうか」の契約などのビルへの手続きが色々あるのですが、一番大変だったのが、防火管理者として消防署へ届け出が必要、というものでした。
こちら、すでに社内に甲種防火管理者資格を持っている人が社内にいればそこまで大変なことではないのですが、10数名のスタートアップなどでは社員が誰も持っていないことも多く、当社も例外ではありませんでした。
こちら、自分のオフィスで働いている社員数が少なくても、そのビル全体で働いている人が50人を超えていれば、各テナントごとに消防計画の提出や防災訓練の実施などが義務付けられているもので、避けては通れません。
やむを得ず、自分で講習にいき資格を取得してきました(費用自体は5,000円とかで試験も簡単なのですが、とにかく予約が取れる講習会場が遠いのと、丸二日かかるのが泣きそうでした)。
移転後、速やかに消防計画の提出が必要なため、この期間も移転スケジュールに含める必要があります。
電話、ネット工事関連
電話やネットは業務を開始するにあたり必須ですので、お客様に迷惑をかけないためにも使えない期間が無いように調整するのが中々大変です。
今回は、電話はこれまでのNTTの回線契約を停止し、新たに、コールフォースという会社のIP電話に03番号をくっつけるものにしました(これまでの番号には新しい番号のアナウンスをするように事前に連絡)
コレの良いところは親機をネットにつないで、子機は無線で自由におけるので、電話線を気にすることなく、代表の電話を設置できることです(例えば組織変更で代表電話を受ける席がどこに変わっても大丈夫です)
また、インターネットはSONYのNuroBizというものを使っているのですが、移転時は1ヶ月無料期間をつけてもらえたため、あらかじめ移転先で設定を済ませてネットが使えることを確認できていたので、移転後もネットが使えないというトラブルはありませんでした(つまりはネットが使えないと上記のIP電話や複合機など、すべて使えないので一番神経を使いました)
設定費を抑えるために、自前でルーターやアクセスポイントの設定も行い構成も考えました。ちなみに元のオフィスで使っていたものに中古でアクセスポイントなどを買い足しました。
iPad無人受付システム
これまでは、受付に呼び鈴が置いてあって「ピーンポーン」「はーい」みたいな感じだったのですが、広くなる今回のタイミングで最近良く見かけるようになった「iPadで受付をするシステム」も導入してみました。
・RECEPTIONIST
・ACALL
・Smart at reception
機能は似たり寄ったりだったので、最後は「導入企業」「サイトやシステムのデザインのスマートさ」「価格」で、RECEPTIONISTに決めました。
また、iPadはAppleで購入したのですが、スタンドが結構お値段するので躊躇しましたが、とてもしっかりしたモノだったので、納得しました。
引越し業者の選定
前職で移転したときは1BOXのレンタカーを借りて週末に運び込むという超荒業で乗り切ったのですが、今回は什器は少ないものの、ダンボールが25箱、液晶モニタ15個、ソファー、複合機、金庫などちょっと厳しかったため、業者に依頼しました。
今回依頼したのはこちらの業者様で、結果からいうとお値段もリーズナブルでとても良かったです。(ただし、都内近郊の会社限定のようです。)
東京・千葉・埼玉・群馬の引越しお見積り ホームワーク引越サービス
平日に移転するのか、休日に移転するのかによって料金も変わりますが、何より注意したいのは、移転前と移転後のビルが引っ越しの許可をしている条件が異なったりするため、早めに確認しエレベーター利用の申請などを済ませておきましょう。
また、廃棄するものがでる場合は、廃品回収リスト作成や廃品回収業者の手配も必要となります。
サイン&ポスト準備完了
いよいよ移転が近づいてきて、ポストやビル内の案内板表示などが整ってきました。ここまでくると「あ~、とうとう入居するんだなあ」と実感が湧いてきました。
移転日当日
11月下旬というのにそこまで寒くなく穏やかな陽気で良かったです。
3つ作った会議室の1つには43型のモニターを取り付けました。モニター自体はAmazonで購入しこういうところでも少しずつ調達コストを圧縮しました。
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搬入前の椅子たち。壮観です(笑)
机が組み立てられていきました。
1日も早く働きたくてウズウズするようなオフィスになりました!
そして、前オフィスで問題となっていた室温、CO2の問題も劇的に改善しました!
最後のお楽しみ、ウィッシュリスト
スタートアップ界隈では(主に投資家などに)移転時におねだりするという一風変わった風習があるようでして、今回、我々も作ってみました。
こういったものも、社員同士でワイワイしながら作れると楽しいですね。
ぜひ、オフィスに遊びに来て実物をご確認ください!
おしまい。
いままで以上に、おもしろコンテンツ、お役立ちコンテンツを製作する費用に充てます!