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岡山県倉敷市|新規ビジネスを30件以上したデータ活用

岡山県倉敷市は人口約47万人の大きな町です。以前、地域防災力向上のために展開した防災サイトの事例をご紹介いたしました。

上記の事例では、防災サイトの情報をオープンデータ(特定のデータが、一切の著作権、特許などの制限なしで、全ての人が望むように利用・再掲載できるようにすること)として全国展開されていましたが、今回も「データ活用」に関するICT活用事例です。

■本記事のまとめ
・官民データ活用プラットフォームとして大きく4つの仕組みを構築して、データを利活用。

1.オープンデータを活用できるWebサイト『data eye』
2.IoTセンサーで情報集計
3.AIチャットボット
4.データを活用した人材育成

・人材育成に向けたセミナーやイベントは累計1,200人以上が参加し、新規ビジネスを30件以上創出。

「官民データ活用プラットフォーム」を構築

倉敷市と一般社団法人データクレイドルが協働して公共サービスとして運営する「官民データ活用プラットフォーム」を構築しました。

データ活用プラットフォームでは、個別最適ではなく分野を横断してデータを共有し活用していくコンセプトです。下記の全体像を見て頂くとよく分かりますが、非常に多くの組織が関わっている大きな仕組みになっています。

※画像:一般財団法人全国地域情報化推進協会HP

データ活用プラットフォームを構成する4つの仕組みについてご紹介します。

1.オープンデータを活用できるWebサイト「data eye」

地域ごとの気象、人口数、就業者数、観光案内所一覧、観光案内所利用者数、などの情報をまとめてWebサイトで公開するというものです。

オープンデータなので、csv形式などで簡単にダウンロードもできます。

↓倉敷市で登録されている情報のカテゴリー一覧

※画像:data eys 倉敷市

2.IoTセンサーで情報集計

町中に設置されたIoTセンサーを使用して、人や車の通行状況をモニタリングする仕組みです。

通行する人の性別や年齢層、車の車種や地名といった情報までキャッチすることが可能で、集計したデータはオープンデータ化して、データ分析による予測まで公開しています。

※画像:一般財団法人全国地域情報化推進協会HP

3.AIチャットボット

1でご紹介した「data eye」で蓄積されたデータや、自治体職員などから吸い上げた情報をもとに、バーチャルキャラクターやロボットが音声や文字で回答する仕組みです。具体的なサービスを2つご紹介します。

高梁川たびコンシェル Tabit(タビット)
バーチャルキャラクターが会話形式で地域のガイドを行うサービスです。(現在は提供終了)

FAQチャットボット「コトン」
LINEを活用して、チャットボット(人工知能による自動会話プログラム)を行うサービスです。

4.データを活用した人材育成

官民データ活用に関する普及促進や人材育成を目的として、セミナーやイベントでこれまでご紹介したデータ活用に関する事例を紹介しています。

また、Web教材として提供したり、データ分析を行うコミュニティ(データ分析サロン)を作ったりしています。

人材育成とビジネス創出で効果

データを活用した取り組みはまさに実施中ですが、人材育成やデータを活用した新たなビジネス創出に関しては既に結果が出ています。

◯人材育成に関する効果
・セミナーやイベントへの参加者累計数が1,200名を突破。
・データサイエンティストを25名育成。

◯ビジネス創出に関する効果
・今回の取り組みで蓄積されたデータとノウハウを活用し、30件以上の新しいビジネスが創出されました。

ポイント

この取り組みが継続できるように「人が育つ」→「データが育つ(データを蓄積して分析する)」→「プロジェクトが育つ(データを利活用して効果を得る)」→「人が育つ」→・・・というサイクルを作っている点がポイントです。

ICT活用の中でも特にデータ活用に関しては、効果が得られるまでに時間がかかることが多々あります。

なぜなら、データを活用して大きな効果を得るためには膨大なデータが必要で、データ収集に時間がかかるからです。

効果を得るまでに時間がかかるため、取り組み自体が単発で終わらないように継続的に行える体制をつくる必要があります。

そのためにはICTの仕組みだけではなく、取り組みを推進する人材も必要になります。

持続可能な体制にするために、人材育成にも力を割いている点は勉強になるポイントです。

今回は官民での取り組みでしたが、企業でのICT活用においても同様で、持続可能な体制にするために、人材育成にも力を割くと効果が得られるまで継続できる可能性が上がります。

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