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静岡県|AIで融資審査、国内の地銀初 静岡銀行がAIシミュレーションを導入

「地方×IT」というテーマで2〜3分ほどで手軽に読める情報を発信しようと思っていたところ、つい先日僕の地元静岡のニュースが耳に入ったので、早速ご紹介します。

2020/7/13に発表された事例です。

不動産テックを開発・運営するリーウェイズ株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役 巻口成憲:以下リーウェイズ)は株式会社静岡銀行(本社:静岡県静岡市、頭取 柴田久:以下静岡銀行)に、当社が開発した不動産価値分析AIクラウドサービス「Gate. Investment Planner(ゲイト・インベストメント・プランナー)」のシステム基盤を提供し、融資を求める顧客への質の高い情報提供や、融資審査の高度化を目指して、賃貸不動産の将来の賃料、価格、空室率などを予測する、投資用不動産AIシミュレーション「Shizugin Investment Planner」(略称 SIP)を共同開発しました。
※プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000046242.html

リーウェイズ社が提供した不動産価値分析AIクラウドサービス

リーウェイズ社は不動産テックの会社です。

そのため、10年以上蓄積した不動産物件のデータや不動産取引のデータを使い、人口動態などのデータと掛け合わせることで、人口の推移などから不動産の将来価値を予測するシステムを開発しました。

具体的な機能としては以下のとおりで、50年先まで査定可能、とのことです。

 ・物件査定(賃料や空室率、価格など)
 ・ローン返済額のシミュレーション
 ・13項目の査定結果表示
 ・顧客管理
 ・課税計算
 ・査定結果のレポート出力

高度な融資審査を実現する静岡銀行

静岡銀行は、導入目的として3つ掲げていました。

(1)より付加価値の高い資産形成サービスの提供
(2)将来的な空室率の上昇や賃料の下落などのリスクの可視化による将来予測説明の高度化
(3)不動産テックを活用した融資審査の質的向上

簡単にいえば「将来予測によってサービスの質を上げる」という目的ですね。

なお、今回はリーウェイズ社が持っているビッグデータと不動産価値分析AIサービスをベースにして、静岡銀行独自のロジックを組み合わせた形でシステムをカスタマイズして開発しています。

共同開発したシステムは「Shizugin Investment Planner」(SIP)と呼ばれています。

大まかに言うと、賃貸不動産から得られるキャッシュフローをシミュレーションする機能と、売却価格査定の推移を確認する機能、から成り立っています。

BtoB向けクラウドサービスの広げ方

システム提供側の立場から少し解説します。

BtoBの中で、融資審査の領域となると、システムのユーザーは銀行なので、ユーザー数(銀行の数)が限られます。第二地銀を入れたとしても約150ほどなので、BtoCの領域に比べると遥かにユーザー数は少ないです。

となると、当然ですがBtoCのクラウドサービスとは違った広げ方をしていくことになります。その一つのやり方が、今回のような「クラウドサービス+カスタマイズ」です。

多くのユーザー数がいれば、出来るだけ汎用的な機能を用意し、ノンカスタマイズで導入する方針になります。ユーザー毎にカスタマイズしていたらキリがないからです。

しかし、ユーザー数が限られていると、汎用性を追うことに価値はあまりなく、個社カスタマイズをして提供価値を高める必要が出てきます。

最初のユーザーでカスタマイズして導入し成功事例を作ったら、そこで得たノウハウを使って次のユーザーへ、ということを繰り返し行うことで、今回のようなBtoB向けのクラウドサービスが広がっていきます。
(もちろんBtoB向けのクラウドサービスといっても幅広いので一概には言えませんが…)

また、今回の場合は昨年に業務提携を締結しているため、その時点から上記の戦略がリーウェイズ社にあったことは明らかだと思います。


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