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佐賀県名護屋城|観光客を1.5倍 にしたVR・AR観光案内システム

佐賀県にあった名護屋城は、豊臣秀吉の朝鮮出兵(文禄・慶長の役)の際に、出兵拠点として築かれた城で、秀吉は名護屋城から指示を出していたようです。当時は大坂城に次ぐ規模の城でした。

4〜5年ほど前の事例ですが、観光地の課題を解決するICT活用事例です。

■本記事のまとめ
・VR・AR技術を使い、当時の映像をスマホやタブレット越しに見ることができる城跡案内システムを構築。
・観光客が「4.3万人 → 6.8万人」へ約1.5倍に増加。

歴史的情報を知らないまま帰ってしまう観光客

現在は名護屋城跡地として観光地になっており、年間約4万人が訪れています。

しかし、博物館の展示や名護屋城跡地の歴史的情報を十分に知ってもらえないまま観光客が帰ってしまうため、城跡案内システムを導入しました。

「体感」する城跡案内システム

ただ城跡案内をするシステムではなく、バーチャルリアリティ(VR)技術を使い、スマホやタブレット越しに当時の映像を見ることができるシステムです。

VRは「Virtual Reality」の略で、「人工現実感」や「仮想現実」と訳されています。ここには「表面的には現実ではないが、本質的には現実」という意味が含まれ、VRによって「限りなく実体験に近い体験が得られる」ということを示します。

※ 出典:VRってどんな意味?VRのしくみと活用事例

GPSを取得することで、位置情報に合わせて420年前の風景を見ながら、散策することができます。

また、AR(拡張現実)の機能も付いており、当時の城下町の映像を背にして記念撮影することもできます。

VRとARの違いとは

少し脱線しますが「VR」と「AR」について解説しておこうと思います。

VRは「仮想現実」と言われ、現実世界とは切り離された仮想の世界を体験することが目的です。最近では、アバター(ネットの中で登場する自分の分身となるキャラクター)を使い、ネット上の仮想世界で行動するようなゲームやサービスがVRに該当します。

VRの例↓

ARは「拡張現実」と言われ、現実世界に情報を付与することが目的です。有名な例としては、ポケモンGOです。スマホアプリを通して見ると、現実世界にポケモンが映っているというものです。

ARの例↓

観光客が1.5倍へ

誰でも気軽にこのシステムが使えるように、名護屋城の博物館でタブレットの貸し出しも行いました。約1年強で、11,369台の貸し出しが行われており、観光客への利用が浸透していることが分かります。

こういった取り組みにより、観光客の数は「4.3万人 → 6.8万人」へ約1.5倍に増加しました。

VR・ARを活用した案内システムだけでなく、より観光客に楽しんでもらうために、名護屋城で謎解きを行うエンタメアプリもリリースされています。

事業成功のポイント

取り組みが成功した要因として、以下のポイントが挙げられています。

・関係機関との線密な連携
・アプリ等のICT情報の事前収集
・バーチャル名護屋城事業と周知PR事業の連携
・WiFi環境の整備

せっかく優れたシステムを作っても知られなければ効果につながりにくいため、PR事業にもしっかりと力を入れていれていました。

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