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長崎県福江島|移住者200人、市役所が行うslack・LINEでのコミュニケーション

福江島(ふくえじま)は、長崎県西方沖の五島列島を構成する島の一つで、五島列島の中では島の面積が最大です。アクセスがよく島内の観光もしやすいため、観光名所としても有名です。

観光を目的にやってくる来島者はこれまでにも数多く存在していましたが、近年では「仕事をする」「暮らす」という目的で来島する方が増えています。

移住者を増やすために五島市役所が取り組んだ、ICTを活用した柔軟なコミュニケーションに関してご紹介します。

■本記事のまとめ
・年間の移住者200人を達成し、300人を目標にするほど、毎年移住者が増えている。
・施策の一つとして、五島市役所では、LINE@やslackを活用して市民とのコミュニケーションを図っている。

年間の移住者200人を達成し、300人を目標に

福江島をはじめとする五島市では、ビジネスニュースの配信を行うBusiness Insider Japanが主催の元、リモートワークの実証実験を行い、ワーケーション促進の取り組みも行っていました。

担当する移住定住促進係は2018年4月にできたばかりの部署ですが、毎年着実に移住者の数を増やし、結果を出しています。

〈年度毎の移住者数〉
2016年度: 66人
2017年度:129人
2018年度:202人

今後は年間300人を目標に掲げています。毎年右肩上がりに移住者を増やし続けている秘訣は「コミュニケーション」でした。

市民とのコミュニケーションを重視

通常であれば、市区町村の移住相談窓口では、平日の限られた時間のみ電話や対面で受け付けているのが一般的です。

ところが五島市役所では「質問したいときに質問出来ない人もいる」と考え、全国の自治体に先駆けて2017年からLINE@を開設し、LINEでの相談・やり取りを行っていました。

※市役所内で掲げられる移住者目標(画像:地方創生 連携・交流ひろば

slackを活用したコミュニケーション

リモートワーク実証実験やワーケーション促進に向けた取り組みでは、slackを使って関係者同士がコミュニケーションを取るようにしました。

※関係者同士slackでやり取りを行う(画像:地方創生 連携・交流ひろば

slackを使い、事務局、五島市役所の担当者、リモートワークやワーケーションの参加者など100人規模でコミュニケーションを行いました。

IT企業を中心にslackを使う企業は増えていますが、自治体でslackを使っているのは珍しいと思います。

実際にslackを導入した当初は、恐る恐る入力していたようですが、参加者から「おすすめの飲食店はどこですか?」と聞かれれば、地元目線でアドバイスする、といったように活用されています。

ポイント

分からなくてもまずはやってみる、という点がポイントであり、こういった新しい取り組みにおいて重要な点だと分かります。

前述したとおり、元々職員がslackを使っていたわけではなく、今回を機にslackを使い始め、最初は困惑していたが今では使いこなせている状況になっています。

slackのようなコミュニケーションツールは費用が安価で導入のしやすいため、「まず導入して徐々に慣れていく」というアプローチが重要です。

しかし、民間企業でもよくあるのは「どうやらslackという便利なツールがあるらしい」「しかしIT企業が主に使っているようで難しそうだし、セキュリティも気になる」ということで何かしらの懸念事項があるために、ツール導入が保留されてしまうということです。

もちろんセキュリティに目をつぶって導入するわけにはいきませんので、対策をする必要がありますが、足踏みせずに導入まで持っていくことが第一歩目として重要です。

最後に余談ですが、福江島では移住者との交流が図れるコミュニティースペースとして「さんごさん」という施設があります。

東京の企業に務めている方たちがクラウドファンディングで資金を募り、30年ほど空き家になっていた古民家を改装し、私設図書館「さんごさん」を2016年にオープンされていました。

コミュニケーションを取る"場所がある"ということも、非常に重要ですね。

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