友愛の政治経済学――『Brotherhood Economics』冒頭の註解 2
本連載は、賀川豊彦『友愛の政治経済学(原著"Brotherhood Economics" (London, 1937)』の第一章までの要約と註解である。1では、経済学者・野尻武敏(1924-2018)の「監修者まえがき」から、本書の特徴と方向性を述べた。
賀川豊彦(1888-1960)は、近代的課題「宗教と国家」の二項対立に「人々=協同組合」を入れ、国際社会の調和を求めた。教会、国家、協同組合、この三者の協働こそ、賀川の「社会≒神の国」理解だった。本書は、彼が戦後に傾倒