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(メモ)yshmt_suitman氏からのご指摘の整頓

私が書いた会計学に関連する発表原稿に対してyshmt_suitmanさんから頂いた指摘に対して、力不足のため私はすぐに応答することができない。ただ、頂いたご指摘は正当であり自分自身でも回答する必要を感じているものなので、いったん私なりに分類し、重要と思われる順に並べ直した。以下のコピペ集の中の太字は深草によるものである。


1.認識またはオンバランスの基準

サブスクリプションにせよリースにせよ、オンバランスの基準は、将来の支払についての義務を負っているかどうかだろう。もちろんこの義務は必ずしも法的な義務と一致するものではなく、”会計人”概念はここで生きてくるだろう。/現在の義務の概念が先にあるべきで、発表者のいう金額不定とかいったことはその結果としてでてくる話だろう。サブスクは辞められるから義務がなく、結果としていつまで払うか分からない。中途解約不能のリースは義務があり、結果として支払い額が確定している。/この結果の方を定義に入れてしまうから、義務はあるが支払額が確率的にしか決まっていなかったり、未来永劫支払い続けるようなケースが処理できなくなる

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2.会計人の権限範囲

会計人(p.8)の論点については私が理解しきれたかは分からないが、これは第一の点と並べるようなものではなく、違うレベルのものではないか、とは思った。/負債が将来現金の支払い可能性であるかどうかもまた、会計人の営みの中で決まることであるはずだからである。/実際、収益費用アプローチが勝利した世界では、負債の定義は現行の会計慣行と全く異なっていたはずである

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3.〝無期限〟という規定

ここで「支払総額が一定ではな」いものとして「無期限(期限不定、総額不定)」という言い換えがされているのも気になるところで、これでは引当金や条件付対価さえも会計上の負債から外れてしまうことにならないか?

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4.負債性と資本性との区別

負債性の金融商品と資本性の金融商品がスペクトラムであることには同意しつつ、負債と純資産の間に線を引かなければ、つまり何が純資産であるかを確定させなければ、その変動である利益も確定できないのだから、利益測定が(だからおよそ企業会計というものが)成り立たない」「そして、なぜ利息は費用で配当は費用でないのか? に対する答えは、財務諸表は株主視点で作られているから、でしかあり得ないでしょう。

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5.資産

4-1.通説

もう一点は、「なぜならば、資産とは現在(=当期)換金可能なものの総体であり、負債とは将来(=来期以降)支払可能性があるものであり、両者の時制が一致しないからである」について。」「通常の企業会計では、資産は、将来のキャッシュインフローをもたらす経済的資源として定義され、現在換金可能なものとして定義されるわけではない。ここで通常と異なる資産の定義を用いる理由は何か。」「実際、事実上市場での売却可能性がない事業用資産固定資産も資産の部にオンバランスされる。/また、例えば前払費用にどのような売却可能性があるのか。/そのような資産でも会社ごと売るなり何らかの証券化なりによって換金可能であるとはいえるかもしれないが、それを言うなら負債も同じである。

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4-2.特徴づけ

「証拠として記録しておかない限り目に見えず触ることもできない」のは、売掛金や貸付金や有価証券といった資産も同じだと思うが、これらを「ほとんどの場合」から除外してよいのか」「また、特許権やのれんやPPA資産や……といった(近年重要性を増している)無形資産の多くも「ほとんどの場合」から弾き出されてしまうだろう。

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6.負債記録の必要性と複式簿記の関係

負債を記録する必要性がなぜ複式簿記の必要性の根拠になるのか(p.3)、私には分からない。仕訳帳やBSPLといった複式簿記のシステムを持たず、ただ負債だけを記録する(借入金台帳だけを作るとか)ことは可能だろう/可能であるどころか、簿記は全く知らないが知人から借りた金や車のローンはしっかり記録している人、というのは普通にいるのでは」「BSだけなら資産と負債を棚卸すれば作ることはできるわけである。複式簿記による継続記録を必要とするのはPL情報だろう。それこそ「記録しておかない限り目に見えず触ることもできないというつかまえにくいもの」だろう」「2時点の残高が確定してもその間のフロー情報は確定しない。逆に、期首残高とフロー情報があれば期末の残高は確定する」「物体として形ある資産なら目に見えるかというと、ここにも疑いを挟む余地はあり、なぜなら例えば土地は目に見えますが、「この土地は私のものである」ということは目に見えないからです/売掛金や借入金は信用の産物ですが、物体の所有にもすでに信用が入り込んでいる。

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7.派生的な論点

8-1.リース負債

この直後にリース負債の議論もあるが、会社が支配する財産を明示するため、つまりリースで取得した資産をオンバランスするためにその見合いとして計上すべきという議論であり、リース負債の負債性が直接的に論じられてはいない。/すると、何の資産を取得するでもなく、ただ単に将来の現金の支払い(贈与など)を約束した場合、どういうことになるのか、という疑問が浮かぶ。この場合でも、負債をオンバランスするかどうかの基準は、総額が決まっているかどうかである、というのだろうか」「ところでリースの場合、いつでもペナルティなく解約できるなら、リース負債をリース期間の総額で立てる必要はないだろう(実際の会計基準でもそうなっている)。

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8-2.会費やサブスクの位置付け

無期限に費用を支払続ける場合には会費やサブスクリプションであると認識すべきだから負債ではない(p.7)というが、会費やサブスクリプションが負債ではないのは、通常、脱退すれば以降の支払いを回避できるからであろう。/私が未来永劫Amazonプライム会員であり続けるという契約をしたら(そのような契約が法的に有効であるかは置いておいて、有効であるなら)、それが負債であることに(サービスが受けられるため純負債でないとは言い得るにせよ)異論はないだろう。/その計上額は、未来永劫にわたるプライム会員料の割引現在価値によって測定されるだろう。

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8-3.永久債の認識

まず「負債は支払総額が一定の金額である必要がある」について。永久債を発行した場合にはどうするのか。永久債はオフバランスするという主張と理解して良いか?

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8-4.支払額が確率分布に沿うケース

例えば支払金額が正規分布となるような確率的な証券(極めて低い確率であるが金額が青天井となる)を発行した場合はどうなるのか。期待値で負債を認識するというような考えは採らないのか? なぜ?

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上記は発表原稿のドラフトとなった記事。

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