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行政による「オープンイノベーション」が百花繚乱なので分類を試みる

JX通信社 公共担当 / WiseVine アドバイザーの藤井です。VUCAな時代、企業も自社に閉じこもらずに他社、特に新興企業とオープンに組んで開発を行う取り組みが増えて、それを「オープンイノベーション」となんとなく呼んだりもしますが(果たして正確な定義をできる人はどのくらいいるのだろう)、自治体でも「オープンイノベーション」を推進する取り組みが増えています。一時期の「ベンチャー企業誘致」ブームが「箱モノだけ用意してもどうやらベンチャーは集まらないし経営も成功しない」という結論を得て、オープンイノベーションに舵を切っている印象があります。

内閣府の取り組み

内閣府もオープンイノベーションチャレンジという事業を不定期に開催しており、WiseVineは官民連携プラットフォームとしてこれに協力しています。

内閣府では「日本版SBIR」の制度化も推進しており、これはベンチャー支援の本質的な形として注目されます。SBIRについては説明が難しいので、こちらをご覧ください。

先日は内閣府がさらにコロナ対策地方創生臨時交付金を有効活用するべく、「地域未来構想20オープンラボ」を発表したりもしました。

これについては先日別にnoteを書きましたのでこちらをご覧ください。

ところでたくさん出来すぎではないか

ところで、「自治体のオープンイノベーションをまとめてみたよ」というカオスマップ(カオスになってないような?)をeiiconさんが発表したのですが、正直「数が多すぎて、どれを見たらいいのかさっぱりわからない」状態です。

しかしこれらの取り組みはよーく見ると、いくつかのアプローチ上の分類があるように思われます。まだ未成熟な分野ですので私見によるラベリングにすぎませんが、こういった取り組みに興味のある方のご参考になればと、おおまかな分類を作ることを試みてみたいと思います。もちろん、複数のタイプを組み合わせたりしているものもあるので、あくまで大まかな分類としてお考えください。

特定自治体の課題を解決できる企業を募集するタイプ(課題解決型)

一番良く見るタイプで、「こういうことを解決したいけど、できる企業いませんかー?」というやつです。これを官民共創とか言う場合もあります。従来からある「サウンディング(参入希望企業を事前にヒアリングする)」「プロポーザル(仕様を固めきらず、提案ベースで事業募集する)」との違いは、事業化を強い前提としていないことでしょうか。とはいえ、技術だけもらって発注しませんでした、ということにならないよう、神戸市ではUrban Innovation Kobe(2019年度より他自治体も参加し「Urban Innovation Japan」に進化)で採択し、実証事業を行った企業に対して、随意契約を行うことができるスキームを正式に整備しました。これはすごいことです。

ちなみに神戸市ではコロナ対策に資する提案に対して予算付きで公募を行っています。こちらも注目です。

技術同士をマッチングして、新産業の創出を推進するタイプ(民民マッチ型)

すでにその地域に地場産業があり、その振興のためにベンチャーとのマッチングによる資金流入・技術発展を目指すパターンです。愛知県の「ステーションAi」(この名前は海外での成功事例にあやかっています)がこのパターンの代表格ではないでしょうか。

愛知には「ロボット」「自動車」「ロケット」など、日本を支える大産業が集積していますが、どの分野の企業も、企業秘密が多すぎて交流が少ない、という問題意識が愛知県にはあるようで、こういった拠点に地元有力企業とベンチャーの交流の場を用意したい、という思いがあるようです。

行政による投資・育成・支援を前提としたタイプ(育成型)

気前がいいパターンです。浜松市は「ベンチャーファンドからの出資と、自治体からの協調出資」をセットにした補助付きの企業誘致を行っています。確かに自治体だけで費用補助を行うよりも効果的ですし、プロによる企業審査・支援も可能となるうえ、ベンチャーファンド側も出資にあたり安心感が得られます。自治体の予算にレバレッジを効かせるという観点でも、今後増えそうなスキームです。

実証事業のための場を提供して全国に羽ばたかせるタイプ(砂場型)

「うちを実験台にしてください!」というパターンです。企業にとっては「実績を得る」ことが目標となるので、できたてほやほやのベンチャーが集まるパターンです(逆に言うとお金は出ないことが多い)。ドローン特区など、規制緩和とセットだったり、立地の特徴を生かしているパターンが多いのではないかと思います。福島イノベーション・コーストはこのパターンに分類するのがしっくり来ると思います。

まとめにかえて

こんな感じで、特徴をとらえて分類すると、企業やプロダクトの課題にあわせて、もう少し発信を整理すると、フィットするプラットフォームを企業側も選べるんじゃないかなぁと思いました。

今年度以降、「スマートシティ」関連の話題も増えています。スマートシティも何を指しているのかわからないバズワードのような気がしますが、あらゆる分野の課題を包含しているので、解決のためにオープンイノベーションの枠組みがあります。大阪府に至っては登録が有償、という自治体としては珍しいパターンのプラットフォームを立ち上げます。

これらの取り組みが共通に解決を目指している(目指すべき)本質的課題は、「課題が複雑化・多様化している現代、あらかじめ行政官が課題と解決法を定義して、仕様書を書いて、調達して、お金を払ってソリューションを買う、というやり方は難しすぎる」ということです。

WiseVineでは、官民連携プラットフォームを通じて、「課題設定の初期段階から民間の情報を収集する」ことを推奨しています。

また、JX通信社では行政によるAI活用の具体例として、災害時などの情報収集を、すべて予め設計した情報収集システムで行うことの限界を解決するために、AIによるソーシャルメディアの情報収集(これを「ソーシャル防災」と呼んでいます)を活用することを提案しています。

まったく別の分野の仕事を2つしているように見える藤井ですが、前提としている課題意識は一致しておりまして、今後も頑張っていこうとおもっております。お気軽にお問い合わせください。


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放送局発の地方自治体向け防災ソリューションの開発・販売の新規事業→GovTechベンチャー COO(のち非常勤)→報道ベンチャー。
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