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写真絵本「となりのホンドギツネ」を作ってみて。

自身初の写真絵本が発売されて早2ヶ月が過ぎる。
たくさんの方に買っていただき、色々と感想をいただき、本当に嬉しいし、「作れて良かったなぁ」と素直に思う。

で、作ってみて、もっと色々な写真絵本を作りたいと改めて思った。
昔から写真絵本を作ることは一つの目標にしてきたのだけど、一つ完成してみて、「もっとこういう写真絵本を作りたい」とか「こいうことを伝えたい」とかココロの中に様々な想いが巡っている。
だからこの記事は今の自分のココロの中で抱いている「いつ完成するかも分からない絵本のネタ」を整理するために書き出した備忘録だ。

ます一つ目がホンドギツネのお話。
「となりのホンドギツネを出したのに?」となるかもしれないが、この絵本には書ききれなかったお話や載せられなかった写真が山のようにある。それにこの絵本はホンドギツネの暮らしを伝えるための絵本であり、そうした内容のストーリーだった。だから僕が彼らと経験した話はほぼ入っていない。僕とキツネの出会いの話も、一緒に嗅いだ風の匂いの話も、突然いなくなったあの雄ギツネの話も、書きたいことが山ほどある。それらを上手くまとめられたらと思う。

次にムクドリの話。
以前バーダーのグラビアで使っていただいたムクドリについて書きたい。
とにかくキラワレモノのムクドリだけど、観察と撮影をしていて本当に面白い。僕の中で彼らはギャグ漫画のキャラクターが現実に現れたぐらいの面白さがある。
特に嫌われる原因になる「ねぐら入り」は毎年観察するぐらい興奮しっぱなしである。そんな彼らをぜひたくさんの方に観察してほしいし、生き物屋さんに「なんだムクドリか」とか言われないようになってもらいたい。どうしてもキラワレモノは絵本が作りたくなる。
だから「ちゃんと観ることの面白さ」や「人の身近な場所で起こる命のつながり」を伝える絵本にしたい。

ホンドタヌキの絵本。
やはりキツネを作ったらタヌキは作りたい。というか個人的にはキツネよりもタヌキの方が好きだったりする。どっちも好きだけど。
僕は「日本人に日本の生き物わちゃんと知ってもらいたい」と思っている。それと「海外向けに日本の生き物を伝えたい」とも思っている。だって日本の野生動物って言ったら「知床のヒグマ」とか「地獄谷のニホンザル」って定型文になるのは腹が立つじゃない。
キツネもそうだけどタヌキも日本人に取って馴染み深い生き物なのだから、彼らの生態だけではなく、文化的な部分にも触れた絵本が出来たら面白いのでは?と思っている。
一応、撮影はしているがホンドギツネほど突き詰められていないので、取材を頑張りたいところ。

ケリの話。
ケリ、好きなんですよね。繁殖期の気が強い感じとか、見た目とか。だから岐阜に来てケリが至るところにいることに大興奮なんです。でも一般の人にはムクドリ以上に認識されていないよね。こんなにたくさんいる東海地方の人だって「何だあの鳥?サギじゃん?」ぐらいの感じです。
でもやっぱり子育てのときに猛禽やカラス、犬や人に立ち向かっていく姿は凄くそそるんですよね。カッケェ。
あの勇姿やけたたましい鳴き声にはどんな意味があるのか、そんな本にしたい。

うんこの話。
あるとき、山に行ったらうんこが落ちてたんだけど、カビでフワッフワだった。なんかそれが森に見えたんですよ。そしてうんこにはたくさん生き物が来る。
「もはやうんこは一つの星なのでは?」
と思うのです。キタナイってなるうんこの視点を変えるような本が作りたい。


台風の話。
台風怖いよね。昔、台風が来ているときに森を歩いていたら、さっきまで歩いていたら場所から「バキバキバキ!!」って急に音がなって樹が「ドッッッシィィィィン」っと倒れたんですよ。
「あ。台風で樹が死んだ。」
っておもった。
おっかない台風だけど、でもきっとそれには大きな視点で見てみたら大切な意味があるはずなんすよね。あの倒れた樹だって意味があるはずなんすよね。
台風をただ怖いものではない視点で見れるような絵本にしたい。

立ち枯れや倒木の話。
これは台風の話に関わってくるかも。立ち枯れなんか、例えば公園にあれば危険だから真っ先に切られちゃう。現代の人間の視点で行くと、ほぼ不必要なものになっていると思うんすよ。
でもあれにも自然の中では意味があって、大切な役割がある。不必要なんてものは大きな視点で眺めたら、そんなものないんだぁ、って。そういうお話にしたい。

夜になる話。
僕は夕暮れ時が好き。
色も変わるけど空気も変わるし、音も変わる。あの「夜になる。」「夜へ向かっていく。」「夜になっちゃうんだぁ」ってときのワクワクして、ソワソワした気持ちを形にしたい。
例えば音に注目していくのも面白いと思う。生き物の変化を書いていっても面白いと思う。
色々なまとめ方がありそうで、これまた腕が試されそう。

樹液酒場の本。
ある生き物たちの事象には大きな意味があって、そこ以外のつながりが大切なのだと思うのです。樹液酒場もその一つ。
虫が集まり、彼らの大切な場所になっているけれど、それだけじゃないはず。
虫取り少年を熱狂させるニオイの場所だけど、それだけじゃないはず。
他の生き物にもつながっているはず。此のような、わかりやすく「つながり」を探る絵本はいくつか作りたいものがある。

ヒキガエルの話。
これはガマ合戦とそこに関わる生き物の話。あれも自然の中では大きなイベントの一つなはず。

サケの遡上の話。
サケに限らず、群れの命をつなぐ行為が、自分たちの種以外にも何につながっていくのか見えるようにしたい。

フィールドサインを探偵みたいに謎解きする話。
自分が獣を撮るときにフィールドサインを大切にしているんだけど、やっていて「探偵みたい」だなぁ、と思う。
これが凄く面白くて、予想が当たったり、ハズレたりもするけれど必ず新しい発見がある。そして、自分の暮らす街がちょっと違う視点で見えるようになってくる。
ワクワクして通学路を見てもらえるような絵本にしたい。

夜の森の話。
夜の森は怖い。ライト無しでじっとしていると、周りから全身を見られているような感覚がある。
星野道夫さんが「魂をもつ」話をどこかで書いていたけど、僕も夜の森は魂を感じる。
実際に夜の森は見えないだけで、たくさん生き物たちの気配を感じる。耳が急に聴こえるようになって、足跡が僕の想像を掻き立てる。昔は暗闇に物の怪をみたそうだ。それは暗闇が僕らに想像力を与えてくれたからだろう。
そういう見えないものに目を凝らすお話。

桜の木の話。
桜って花以外、人は興味なくすよね。まるで花以外は意味ないものみたい。
花以外の部分にも焦点を当てて、お花見以外のこともから自然とつながりが見えてくるようなお話が書きたい。

本当はもっと色々とあるんだけど、眠いので今日はここで終わり。
おやすみなさい。

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