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【今さら聞けないリポソームの話】有効成分を確実に届ける“ドラッグデリバリー技術”とは?

最近よく耳にする「リポソーム」化。みなさんはその技術・効果について正しく理解できていますか?「なんとなくわかったつもりでいたけど、実は詳しく知らない…」という方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、化粧品マーケティングに携わる上で必ず知っておきたい「リポソーム」について、基礎から説明していきます!


1. リポソームとは?


1-1. リポソームの働き

リポソームとは、成分を適切な場所に、適切なタイミングで、適切な量を届けるためのドラッグデリバリー技術の1つです。有効成分をカプセル状の油の膜で閉じ込めることで、体の中に確実に成分を届けることができます。もともとは医療分野で薬を体内に届けるために開発された技術でしたが、現在では多くの化粧品に採用されるようになりました。

1-2. リポソームの構造

リポソームは、0.1~0.2μmの微小なカプセルで、玉ねぎのような多層構造をしています。生体適合性に優れ、「油に馴染みやすい部分」と、「水に馴染みやすい部分」を併せ持つリン脂質で出来た何層にもなるカプセルの中に有効成分を閉じ込めることで、有効物質を肌の奥までしっかりと届けることが可能になります。

2. リポソームの化粧品効果

リポソーム化により期待できる効果は3つあります。

2-1. 有効成分をゆっくりと肌の奥まで浸透させる

私たちの肌の表面はラメラ構造と呼ばれる水と油が混ざり合った幕のような状態になっています。これは、外からの刺激から肌を守ったり、細菌やウイルスなどの異物を入れないためのバリア機能を果たしています。しかし、このバリア機能があるために、美容成分は肌の奥に浸透しづらいのです。

リポソーム化技術を用いることで、何層にもなるカプセルが肌に浸透するにつれて外側から一層ずつ剥がれていき、内部にある有効成分がゆっくりと放出されることで有効成分を肌の奥まで届けることが可能となります。

また、リポソームの層を構成するリン脂質自身にも保湿効果があります。

2-2. 劣化しやすい成分を新鮮な状態に保つ

リポソーム化することで、空気に触れると酸化・劣化しやすい有効成分を新鮮なまま肌に届けることができます。例えば、ビタミンCなどの水溶性の成分は空気に触れるとすぐに酸化し、劣化してしまいますが、リポソーム化することで段階的に層が壊れていくため、新鮮なまま成分を肌の深層部まで届けることができるのです。

2-3. 水溶性・油溶性成分両方の難点を解消できる

細胞になじみやすく、油溶性である皮膚との親和性が高いのもリポソームの特徴の1つです。リポソームの層を構成するリン脂質は「油に馴染みやすい部分」と「水に馴染みやすい部分」とを併せ持った物質であるため、リポソームの中には水溶性と脂溶性の成分の両方を閉じ込めることができます。

・水溶性成分(ビタミンC、コラーゲンなど):
油溶性である皮膚との親和性が低く、十分に皮膚へ浸透させることが難しかった水溶性の成分をリポソーム化することで、肌への浸透力を向上させることができます。

・脂溶性成分(セラミド、スクワランなど):
同じく油溶性である皮膚との親和性が高い一方で、水に溶けづらいため、化粧水や美容液への配合が難しかった油溶性物質をリポソーム化することで、配合が容易になります。

3. ナノカプセルとの違い

リポソームと同時によく目にするのが「ナノカプセル」という単語ですが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。

実は、リポソームとナノカプセルに明確な違いはなく、ほとんど同じ技術を指します。しかし、「リポソーム」という表記を使うには何度も臨床試験を行い「肌にとても浸透していて、ここまで有効成分が届いている」という証明をする必要があるのです。つまり、浸透を証明する科学的データが存在するものは「リポソーム」、データの存在しないものは「ナノカプセル」と表記されるということです。

リポソームが化粧品に応用され始めた当初、リン脂質の精製度が低くリポソームとは言い難いものや安全性の低い製品も散見されました。そこで、化粧品の安全性・信頼を保護するため、厚労省によってリポソームという表記を使用するための基準が設けられたのです。

では、ナノカプセルを用いた化粧品は効果がないのかというと、一概にそうとは言えません。臨床試験には多額の費用がかかるため、特に安い価格帯の製品では試験を行わないことも多いからです。そのため、ナノカプセルと表記のある商品でも、リポソームと同じ効果を期待できる製品もあります。

4. リポソームを利用した化粧品

リポソーム化技術は、化粧水やクリーム、美容液など様々な化粧品に用いられています。

なお、リポソーム化技術を用いた化粧品は、その効果により有効成分が肌の深層まで届く分、肌との相性によっては刺激を強く感じることがあります。従来の化粧品と同様、使用中に肌がヒリヒリしたり肌荒れが起こったりした場合にはすぐに使用を中断するなど、肌の状況に合わせて適切な使用を行うことが重要です。


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