見出し画像

#126 受け取ってたんだ、たくさん【書評】世界は贈与でできている

◾️はじめに

今月はベストセラー。たくさん読まれた本です。
今回は世界は贈与でできている、です。

◾️要約

贈与って何?世界が贈与でできているとは?

・交換の論理(資本主義)だけでは限界があり、その隙間を埋めるのが贈与である。だから世界は贈与でできていると言える。

・どうやって贈与は始まる?

すでに受け取っているとプレヒストリーに気づくことから始まる。
贈与は分かち合いたい相手から始まる。
今の自分がどれだけ恵まれているか、つまり誤配に気づくことから贈与は始まる。

・するとどうなる?

その宛先にシェアしなければと思うことで差出人は逆方向に生命力を与えられている。
受け取り合うことで健全な資本主義、手触りの温かい資本主義を実現することができる

◾️感想

言葉が洗練されており、章のどこも大切に感じました。
世界の成り立ちを自分なりの解釈で紐解いていく。
読んでてどんどんハマっていく感じ。

◾️要約(詳細)

◆第1章 What Money Can’t buy お金で買えないものの正体

プレゼントすることによって市場で買えない価値をつけるような行為を贈与と呼ぶ。
贈与は相手にしてもらうものだから買うことはできない。
贈与はすでに受け取っているものの返礼でなくてはならない。
起源となってしまうと自己犠牲になってしまう。
つまり贈与はプレヒストリーを持っている。

◆第2章 ギブアンドテイクの限界点

全てが商品またはサービスであり、その交換だけで成り立っている社会を是とする態度が資本主義である。
だがそこには限界がある。
交換をベースにした社会では交換することができない際社会にいられなくなってしまう。
また使命や責任はインセンティブとサンクションでは生まれない。
金銭を目的にしてしまってはやりがいは遠ざかる。
贈与の見返りを無時間的に求めてしまっては認知的な失敗になる。
贈与は届かない可能性がある。だから祈る。

◆第3章 贈与が呪いになるとき

それが贈与であると手渡す瞬間に明らかになると直ちに返礼の義務を生み出してしまう。
見返りを求めない贈与から交換に変貌してしまう事になる。
そして受取人が交換するものを持たない場合、その負い目におしつぶされ、呪いにかかってしまう。

だから差出人は名乗ってはならない。
しかし、ずっと気づかれない贈与はそもそも贈与として存在しない。
だからあれは贈与だったと過去時制で把握される贈与こそ贈与の名に相応しいと言える。
だから僕らは受取人としての想像力を発揮するしかない。

◆第4章 サンタクロースの正体

贈与はサンタクロースのように返礼のしようがないものでなくてはならない。
時間を経て返礼先に気づいてもその段階では返礼のしようがないものでなくてはならない。

贈与は差出人の倫理と受取人の知性を要求する。
差出人の倫理とは届かないかもしれない、届いてくれるといいなという節度であり、
受取人の知性とはそれが(たとえ時間を要しても)届いていた手紙のように受け取っていたと気づくことである。

◆第5章 僕らは言語ゲームを生きている

言葉の意味を理解することは意味がわかったと言った感覚や頭の中のイメージといった内側にある何かによって理解が保証されている事ではない。

言語であれば言葉を使って他者とコミュニケーションが取れている事、それ自体が理解していることの基準である。
意味は言語ゲームの中にのみある。

そのため、他者の言語ゲーム全体が見えないと他者を理解できない。
理解するためには他者が営んできた言語ゲームを少しづつ教えてもらいながら
一緒に言語ゲームを作っていくことが必要。

つまり他者とともに生きるとは言語ゲームを一緒に作っていくことである。

◆第6章 常識を疑えを疑え

全てを疑おうとするものは疑うところまで行き着くこともできないであろう
疑いのゲームはすでに確実性を前提としているから

そうした世界像にアノマリーは見つけてくれる人を待ってくれている。
過去からずっとあるもの。

そこに不合理な贈与があればアノマリーを残している。
アノマリーに気づくこと、世界を地としてアノマリーを炙り出すこと、つまり
求心的思考は贈与を受け取るための能力である。
そのような能力が僕らには備わっている。

◆第7章 世界と出逢い直すための逸脱的思考

個人では証明できないが世界像があって言語ゲームは成り立っている。
世界像そのものを疑う逸脱的思考は構造的に見落としてしまうものを視覚化する装置である。
テルマエロマエのようにない前提の人からすると当たり前であり、普段見えないものが見えてくる。
世界と出会い直すことができる。
それにより多くのものが与えられていたことに気づく。

◆第8章 アンサング・ヒーローが支える日常

世界は釣り合ってて当たり前ではなく、いろいろな人の所業によって支えられている。それは奇跡的でさえある。
そうしたアンサング・ヒーローにはインセンティブとサンクションが当てはまらない。気づかれないイコール世界は平和だということ。
サンタクロースのように。

◆第9章 贈与のメッセンジャー

贈与は分かち合いたい相手から始まる。
その宛先にシェアしなければと思うことで差出人は逆方向に生命力を与えられている。
今の自分がどれだけ恵まれているか、つまり誤配に気づくことから贈与は始まる。
そして受け取り合うことで健全な資本主義、手触りの温かい資本主義を実現することができる。

◾️アクション

受け取っていることにより敏感になる。

◾️読みやすさ

★★

◾️ハッシュタグ

#近内悠太
#世界は贈与でできている
#言語ゲーム
#贈与
#とっちー
#受け取ったものを誰かに
#資本主義の限界
#隙間を埋めるのが贈与


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?