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バカの研究

みなさま、おはようございます渡辺です。金曜日は、台風接近でしたが、週末から良い天気が続きますね。今日も、すごく良い天気が広がっています。
週末、spotify の本を読んでいました。

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スウェーデンの企業なので、通貨の単位がクローナだったり、創業者の名前ダニエル・エクと聞きなれない感じで(マイクロソフトのスティーブ・バルマーもダニーエレックと呼び間違えていました)中々異国感を味わえます。その他にもスティーブジョブス、マークザッカーバーグが登場したり、アーティストの名前も多数でてくるので読んでで楽しいです。

バカげた意思決定、バカげたことを信用してしまう

それはさておき、今週は先週に引き続き行動経済学について考えてみたいと思いますが、題材にする本は、「バカの研究」ジャン=フランソワ・マルミオン です。

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タイトルは、アレな感じではありますが、本書では、24人の一流科学者達がまじめに「バカ」について考察したものになります。その中の一人には、先週紹介したアリエリー教授も含まれており、この本の編著者であるジャン=フランソワ・マルミオン自身もフランスの心理学雑誌の編集長です。

この本で扱っている「バカ」は、勉強が出来ない人、無知な人、IQが低い人を指しているのではなく、バカげた意思決定、バカげたことを信用してしまうなど、認知バイアスや意思決定システムなどの面からアプローチしています。例えば、以下のようなものが挙げられます。

・コントロール幻想:力が及ばないことなのに制御できると思うこと
・偽の合意効果:自分と同じ悪習を持つ人の数を誇張
・後知恵バイアス:物事が起きてからそれが予測可能と考える
・自己中心バイアス:自分の知識を中心に他人の心理を判断
・優劣の錯覚:自分を過大評価し、他人に価値観を押し付ける
・ネガティビティバイアス:ポジティブより、ネガティブなものにより注意を向けてしまう
・根本的帰属の誤り:他人の言動を判断するのに、その人の気質や性格を重視しすぎる

如何でしたか?心当たりはありましたでしょうか?明日からは、もう少し具体的に見ていこうと思います。

それでは、今週もよろしくお願いします!

脳の二つのシステム「システム1」と「システム2」

みなさま、おはようございます渡辺です。今日もとても良い天気が広がっていますね。日差しは暖かいですが、窓から入ってくる風は少しひんやりして気持ちが良いです。

さて、今週は「バカの研究」から紹介していますが、本日は脳の仕組みからアプローチしていきたいと思います。この本では、著書「ファスト&スロー」が有名なノーベル賞学者ダニエル・カーネマンのインタビューも載っています。この本では、脳は二つのシステムで思考と情報処理をしていると書かれており、スピードが速い「システム1」と遅い「システム2」があり、互いが補いあっているというものです。

たとえば、「日本の首都は?」と尋ねられたら、自動的に答えが思い浮かぶと思いますが、これは、システム1の仕事で、「8×9×13÷7は?」とじっくり計算をして解こうとするのは、システム2の仕事です。システム1の仕事もスピーディーに答えはだすのですが、それを言葉に出す前に、ちょっと振り返って承認し、確信や決断に変わるのはシステム2の仕事になります。このようにシステム2は思考するだけでなく、システム1をフォローしていたりもします。

例えば、論理的なルール違反や社会的マナー違反しようとしたり、突発的な出来事が起きたりした時など、システム1とシステム2が行ったり来たりしながら、答えを探しているわけです。システム2があるからこそ、冷静な判断が出来ているとも言えるかもしれません。

では、システム2が弱体化したらどうなるかというと、ずっと衝動的な人間になるといわれています。例えば幼い子どものように、頭に浮かんだこと片っ端から口に出したり、行動したりするような感じです。大人でもお酒に酔った状態や睡眠不足によって同じような状況になる可能性はありますね。なので、人はお酒に酔って「バカ」な行動をとってしまうことがある訳ですね。

ダニエル・カールマンの「ファスト&スロー」に興味を持たれた方は、GO Ando さんの図解がわかりやすいので、良かったら見てみてください!

それでは、本日もよろしくお願いいたします!

バイアスとヒューリスティック

みなさま、おはようございます渡辺です。引き続き良い天気が広がっていますね。引き続き、「バカの研究」から紹介します。

昨日は脳の仕組みシステム1とシステム2について考えましたが、これがあるがゆえに起こりうる、バイアス(思考ミス)とヒューリスティック(ざっくりとした答えを自動的に導きだす思考方法)についていくつか紹介していきます。

・アンカリング/アジャストメント(係留/調整)
 初めに与えられた情報に引きずられる傾向をアンカリング、次に与えられた情報で調整しようとする傾向をアジャストメントと呼びます。ランダムな数字のかかれたくじを引いたのちに、「国連加盟国は何か国?」という問いに答えると、くじの数が大きいほど、答える数が大きくなる傾向があります。

・利用可能性ヒューリスティック
 強く印象が残ったことや、つい最近起きた記憶を優先する傾向を指します。例えば、ある事件を犯した人がハードコアなゲーマーだったりした場合、ゲームは犯罪を起こすきっかけになると考えたり、何回か電車遅延に遭遇すると、「あの電車はいつも遅れる」と云ったりすることです。

・損失回避性
 利益がもたらす満足より、損失がもたらす苦痛をより大きく感じる傾向があります。例えば、「表が出たら1万円支払う。裏が出たら1万5千円貰える」という遊びに気乗りしないのは、失う怖さが、貰える期待より大きいからです。

・フレーミング効果
 まったく同じことを言っていても、云い方を変えるだけで、印象が変わるというものです。例えば、次の飛行機のどちらに乗りたいでしょうか?
a.97%の確率で着陸に成功する
b.3%の確率で墜落する

(thinking time)

ほとんどの人が衝動的にaを選ぶかと思いますが、実際はどちらもリスクは一緒ですね。

如何でしたでしょうか?初日にいくつか紹介したものと併せて、頭の片隅に置いて置いて頂ければと思います。それでは、本日もよろしくお願いいたします!

代表性ヒューリスティック

みなさま、おはようございます渡辺です。昨日から一転して寒いですね。着るものにも注意しながら、体調など崩しませぬようお気を付けください。

本日は、具体的に、代表性ヒューリスティックについて紹介したいと思います。

ある心理学者が、70人のエンジニア、30人の弁護士の計100人と面接をし、それぞれの特徴を紙に書きだした。そのうちのひとりの特徴は、次の通り。

「ジャンは39歳の男性。既婚者でふたりの子の父親。居住地の自治体の執行委員を務めている。趣味は希少本の蒐集。検定試験マニアで、他人と議論をしながら自分の考えをわかりやすく述べて、相手を説得するのが得意」

さて、ジャンはエンジニアか?弁護士か?その確率は?

(thinking time)

多くの人は、「90%位の確率でジャンは弁護士」と答えるかもしれない。しかしながら、正解は、「70%の確率でエンジニア。(30%の確率で弁護士)」である。

ジャンが弁護士である可能性を推測するに当たり、変数は2つ

 x:全体における弁護士数の比率(基準率)
 y:ジャンの特徴が弁護士であることを示す可能性(個人情報)

です。xは、1文目に示されていますが、yについては、「不明」ですね。ですが、ジャンの人物描写から、自分が知っている弁護士像にあてはめて、ある種のバイアスを元に弁護士ではないかと思ってしまう。その際に、ファクトである、「そもそも3割しか弁護士がいない」という情報がなおざりにしてしまい、自分の直観だけを元に予測判断してしまう。というものになります。

以前、アンコンシャスバイアスのワークショップの際にもお伝えしましたが、これらのバイアスやヒューリスティックがあることで、問題解決をシンプルにしたり、不要な選択肢を排除することでスピーディーな意思決定が出来るわけなので、絶対悪ではないのですが、時にリスクも伴うということを頭の片隅に置いて頂ければとおもいます。

それでは、本日もよろしくお願いいたします!

偽の合意(false consensus)

みなさま、おはようございます渡辺です。今日はまた秋晴れの良い天気ですね。「バカの研究」の最終日。今日は、「偽の合意(false consensus)」について考えてみようと思います。

まずは、下のストーリーをご覧ください。

テキサス州に暮らすある年配夫婦のところに、息子夫婦が遊びに来た。日陰でも40度を超える暑い日だ。みんなで、テラスに座って冷たい飲み物を飲んでいたところ、父親がおもむろにこう言った。

「アビリーンに食事でも行くか?」

アビリーンとは隣町の名前だ。但し、広大なテキサス州では、「隣町」と言っても往復170キロメートルの距離がある。みんなが、父親の意見に合意し、4人で出かけることになった。そして、4時間後・・・4人はくたくたになって自宅に戻ってくると、再びテラスに座りこんだ。猛暑にぐったりし、まずい料理に辟易して、心身ともに疲れ果てていた。そしてそのとき4人のうち誰一人として、アビリーンに行きたかった者などいなかったことが判明した。みんながみんな心の中で、ほかの3人が行きたがっていると思いこんでいたのだ。

如何でしたでしょうか?なかなかの「バカ」なストーリーではありますが、笑ってもいられないような身近に起きうる事象でもあるかなと思いました。

こうした「バカげた決定」を回避するには、メタルールの制定が必要だとこの本には書かれていますが、最近社内でもよく語られている心理的安全性の確保も必要ですね。

例えば、航空機の重大な事故は、機長が操縦桿を握っている場合の方が起きやすいという研究結果があるそうです。行き過ぎた上下関係により、副操縦士が察した危険を口に出せなかったりすることが原因になるそうです。普段から、思ったこと、考えていることを発信し合える関係性というのが大事ですね。

如何でしたでしょうか?われわれも灼熱の日にアビリーンに食事に行くような事は避けたいです。

それでは、今週もあと1日。本日もよろしくお願いいたします!
(2021.10.04-10.08)

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