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健康的な睡眠のために

みなさまおはようございます 渡辺です。ここのところ、天気がいい日が続いて嬉しいです。

起き続けるとどうなるか

週末に、「108時間」という映画を観ました。原題は、No dormirás(眠ってはいけない)。

物語の舞台は1980年代、役作りのため108時間起き続けた女優を待ち受ける恐怖を描いたサスペンススリラーとなってます。108時間というのは、4.5日で最後に目覚めてから4.5日起き続けることで、違う世界への扉が開くみたいな話です。

もしかしたら、本当にあった話をベースにしているのかな?とも思って調べたのですが、映画自体は完全にフィクションみたいです。

しかしながら、このような断眠実験は何度となく行われていて、有名なのは1964年にアメリカの高校生ランディ・ガードナーがクリスマス休暇に不眠記録への挑戦を行ったものです。記録によると、断眠後2日目には、怒りっぽくなり、体調不良を訴え、記憶障害が発生。4日目には、妄想をきたすようになり、ひどい疲労感を訴えたそうです。映画の中でも、徐々に妄想に悩まされる主人公の姿が描かれています。

またラットによる断眠実験ですと、体温調節のメカニズムに変調をきたしたり、免疫機能が低下することで、感染症で亡くなってしまったりするそうです。

このように、睡眠は多くの生物にとって必要不可欠のものです。1986年のスペースシャトル・チャレンジャー号の事故や1989年のアラスカ沖タンカー事故など、睡眠の問題により大きな悲劇を生むこともめずらしくありません。

という訳で、今週は、「睡眠の科学」- 櫻井武 から睡眠について科学していこうと思います。


睡眠こそ、この世の饗宴における最高の滋養
(Sleep, a chief nourisher in life's feast)

ー シェイクスピア「マクベス」

それでは、今週もよろしくお願いいたします!

「睡眠」と「覚醒」の仕組み

みなさまおはようございます 渡辺です。今日は曇天が広がっていますが、その分気温は高めみたいですね。

さて、今週は「睡眠の科学」です。昨日は、眠らないとどうなるかという話でした。この本の著者櫻井氏は、覚醒を制御する物質「オレキシン」を発見した方になります。

生物の「睡眠」と「覚醒」の状態は、シーソーのように喩えられます。ちょっと重めの「睡眠」と軽めの「覚醒」がシーソーに乗っている状態で、覚醒が必要な際に、オレキシンが作用し、「覚醒」を後押しするというものです。

ナルコレプシーという病気を聞いたことがありますでしょうか?漫画「ドラゴンヘッド」のヒロインだったり、映画「マイ・プライベート・アイダホ」のリヴァー・フェニックスで知った方もいるかと思います。日中に「強い眠気」で急激に眠りに落ちてしまうような症状です。これは、「オレキシン」の欠損により、覚醒が上手く維持できないことが原因ということが分かってきています。

一方、「睡眠」を後押しするのは、「アデノシン」と呼ばれる物質です。この物資が、起きている間に脳内に蓄積され、 アデノシンが増えると、眠りたいという欲求が高まります。この様子をこの本の中では、日本庭園のししおどしと喩えていて、ししおどしに水が貯まるように、睡眠物質が貯まっていって、一定量貯まると眠くなるという仕組みです。断眠したイヌの脳脊髄液を別のイヌの脳内に投与することでイヌが眠ることで発見されました。

という訳で、本日は「睡眠」と「覚醒」の仕組みについてでした。明日は、なぜ生物は目覚めなくてはならないのかという事について考えます。
それでは、本日もよろしくお願いいたします!

なぜ目覚めなくてはならないのか?

みなさまおはようございます 渡辺です。比較的気温が高めの日が続いてますね。でも、金曜日は雪が降るみたいですね。「睡眠の科学」3日目は、「なぜ目覚めなくてはならないのか?」です。

結論からいくと「食べるため」とも言えます。生きるために、食物を探索したり、摂食するために、「覚醒」が必要だと言えます。満腹状態になると眠くなったり、お腹がすきすぎて眠れなくなったりという経験は誰でもしたことがあると思います。赤ちゃんは、1日の大半を眠って過ごしますが、ミルクが欲しくなると起きて泣いて、お腹がいっぱいになると眠るという正にこのことを体現した生き物であるともいえます。

また、摂取カロリーの面でみると、ウマやシカといった草食動物の多くは睡眠時間が短く、2,3時間だそうです。これは、カロリーの少ない植物をエネルギー源とするため、多くの時間を覚醒して食事にあてる必要があるのと、他動物に捕食される危険性もあるので、危険から身を守るためにも、多くの時間覚醒するひつようがあるという事です。一方でライオンのような肉食動物は、1日に15時間ほど眠るのですが、これも高カロリーの餌を摂食するのと、捕食の危険性がないというのが栄養しているとも言えます。

また、昨日の覚醒を制御する物質「オレキシン」との関係ですが、オレキシンを活性化させる3大要素として、「体内時計」「情動」「栄養状態」が挙げられます。朝になると、オレキシンの抑制物質が弱くなり、オレキシンの供給が開始される。空腹になると、血糖値がさがり、摂食行動に向け気持ちを高め、臨戦態勢を作り出しハングリー状態になっていくということですね。

それでは、本日もよろしくお願いいたします!

ヒトはどこまで睡眠をあやつれるか

みなさまおはようございます 渡辺です。「睡眠の科学」4日目は、「ヒトはどこまで睡眠をあやつれるか」です。

まず、「睡眠」を誘発する側で分かりやすいところでいくと、抗ヒスタミン薬ですね。風邪薬の注意書きにある、「飲んだら運転しないでね」のアレです。

一方で、「覚醒」の方は如何でしょうか?それこそ、文字通り「覚醒剤」ですね。「シャブ」「スピード」「コカイン」などに代表される、覚醒剤の作用でドーパミンの効果により「覚醒」はするのですが、脳の報酬系に影響を与えるために、増加の原因になった行動を繰り返すようになってしまう。これがいわゆる中毒です。

薬物に頼らず、日常生活で「眠り」を操作するにはどうすれば良いか?ですが、すでに今では多く知られたことではありますが、改めて整理してみましょう。

先ず食事です。よく、就寝の4~5時間前位に適切な量を摂りましょう。といわれますが、1日や2日では大したことないですが、それが習慣化すると、その時間の覚醒レベルが上がってしまい、眠れなくなるというものです。
次に体温です。睡眠に入るときには、深部体温が少し下がった状態になります。小さな子供は、眠くなると顕著に手足が暖かくなりますが、これは手足の血管を拡張させ、体温を外に放散させることで、深部体温を下げているからです。

あと、サプリメントで云うと、以前Oさんが紹介していたファイングリシンには、「グリシン」という成分が多く含まれていますが、グリシンには筋肉の緊張をほぐし、視床下部に働き、体温を下げる作用があるため、これらにより睡眠が誘導されるからですね。

逆に目を覚ますときには、手足を冷やすといいです。小学校とか中学の時に授業中寝ていると、「廊下で顔を洗ってこい」とか言われましたが、顔を洗う事よりも、手を冷やすことが先ほどの逆の効果として覚醒方向にむかうわけですね。

また、お茶やコーヒーといったカフェイン摂取ですが、早く効果を得たいときには、アイスよりホットの方が良いそうです。というのも、アイスですと、消化管粘膜の血管が冷たさで収縮するために、吸収が遅れるからです。
如何でしたでしょうか?薬物に頼らず、上手に睡眠をコントロールしていきましょう。それでは、本日もよろしくお願いいたします!

どれ位寝れば良いのか?

みなさまおはようございます 渡辺です。雪、結構降ってます。僕の家の窓から見る限り、屋根は真っ白です。「睡眠の科学」5日目は、「どれ位寝れば良いのか?」です。

一般的にヒトは7時間前後と言われていたりもしますが、若い人は良く寝て、歳をとるほど睡眠時間が減少したりもします。他にも個体差があったりもするので、一概には言えないというのが近年の見解だそうです。

パロメーターとしては、「翌日、眠気を感じずにすっきりと過ごせるだけ眠る」という事です。僕は凸版時代、時折席でうつらうつらしていることがあったのですが、今思えばアレは明らかに睡眠時間が足りなかったんだと思います。睡眠は貯蓄はできないですが、負債は確実に増えていくため、常に睡眠負債を抱えているような状態だったという事です。という訳で、逆に「何時間寝なくちゃ・・・」と考える必要はないという事ですね。別に眠気を感じなければ、起きていれば良い。それを不安視しすぎると却って、睡眠に影響がでてしまいますね。

3日目に、草食動物の多くは睡眠時間が短く、肉食動物は長い。という話をしたかと思いますが、特殊な睡眠をとるのは、イルカのような水棲哺乳類です。バンドウイルカは、一度の睡眠では片側の大脳半球のみが眠るので、どちらの脳は覚醒した状態を保ちながら、睡眠をとっているため、睡眠をとりながらも、泳ぎ続けることが出来るのです。また、インダスカワイルカは、マイクロスリープと言われる数秒間の睡眠をとりながら、1日に7時間の睡眠時間を確保しているそうです。
他には、ヨーロッパアマツバメは8月に北ヨーロッパを出発し、中央アフリカの熱帯雨林まで移動するのですが、その間、3000メートル近い上空まで上昇し、滑空しながら下降しながら睡眠をとっているのではないかと言われています。
という訳で、今週は「睡眠の科学」という事について考えてきました。もし興味を持ったら、手に取ってみてください。
それでは、今週もあと1日。雪が結構降っていますので、出社の方は足元に気を付けて!本日もよろしくお願いいたします。
(2023.02.06-02.10)

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