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継母:白い記憶【魔女のミナリア、洞窟へ行く】(35/50)

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第七章 継母
第五話 白い記憶

あらすじ
 魔女のミナリアは洞窟に住む黒髪の少女レオノーアに出会う、呪いのために閉じ込められているレオノーアは、洞窟の封印の解除をミナリアに頼み、赤と青と黒の洞窟は攻略に成功する。レオノーラから最後の洞窟はミナリアの父親の屋敷内にあると告げられた。

 私は誰かおとずれるのを魔力で察知する。豪華な屋敷の地下にある部屋は白く輝いて美しい。ベッドから起き上がると、目の前に居る婦人は貴族の奥様らしい上品な姿で私を見ている。私には大事な使命がある。世界を守る封印を隠す事。私の体に埋め込まれた白いダイヤは世界を救ってくれる。

「必要なものはありますか? 」
 定期的に訪れる彼女はイネス・アスタ、こんなに頻繁ひんぱんに私に会いに来る人も珍しい、私は若いままで、屋敷内の人達は年齢を重ねて年老いて亡くなるのに自分は変わらない。私は呪いを受けている、彼女らから見ればバケモノだ。誰もが私を恐れた。

 最初に私を助けてくれた貴族は、私を普通の女として扱った。すぐに普通の女性とは違う事に気がつくと地下に閉じ込められた。私は隠れられるだけで十分で不満もない、食事も水もいらない、ただこうやって一日中、部屋に居るだけで幸せを感じる。

 たまに私に危害を加えようとする人が来ると………力を使う。白い部屋の中で消えてしまう。私の力を恐れ閉じ込めたまま、そうやって長い時間を過ごすと私は忘れられる事が多かった、そんな時に彼は私を見つけだした。

 黒い巻き毛の男の子は私の話を熱心に聞きに来た、何年かすると彼は大きくなり私を愛せるようになる。毎夜のように私を抱いた。私は男性と体を合わせるのに特別な感情は無いが、彼からの愛は理解できた。

 彼は特別だったのかもしれない、私は身ごもると子供を産む。生まれた女の子は私から離されたが、私には大事な使命がある。悲しくても我慢する。あの子は今でも元気なのかな?

「セレーナさん、また来ます」
「私の子供は元気? 」
 イネスは、ためらいがちにうなずいた。私の娘は手がかかるのかしら?

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「イネス様、いつも緊張しますな」
「夫が死んでから変化が起きるか心配だけど、大丈夫みたいね」
 執事が額の汗を拭う、強力な魔法を使える彼女を世間に知られるのは危険と判断している、彼女はこちらから何もしなければ、あの場所から動く事は無い。

 私の懸念の一つはリュカだ。あの子がセレーナを見たらどう反応するのか判らない。もし彼女を愛したら?私は体が震えた。


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