捜索開始 (08/15)【橙狐は見た】
あらすじ
氷室愛優は、玲子の妹で憑依体質を持つ。危険な式神を二体を封印した彼女を橙狐が見守る。深大寺には、他の子供と違う暗い影がある。
「その深深大寺君って子供が、霊視能力を持っているのね?」
「犬神さんが危険だと騒いでます」
神社の神主で神通力を持つ美成が、子狐の私を見ている。遠足で山に登った後でクラスメイトが消えてしまった。今は大騒ぎで失踪事件が報道されていた。
「犬神は何と言ってるの?」
氷室玲子が、妹の氷室愛優に話を聞いている。愛優はゆっくりと説明をするが、やはり上手には伝わらない。
「犬神を呼び出せないんですか?」
私は愛優に、式神から直接話が聞けないか尋ねるが難しいらしい。
巫女の美成が愛優を見ながら説明する。
「式神は本来は明確な人格や意識は保てないのよ、特に犬神は呪われた犬でしかない、人工的に作られた呪具。理由なんて無くても危険を察知して吠えるだけ」
「なるほど犬は吠えるのが仕事と……」
「八夜狐には判らないの?」
氷室玲子が、不思議そうに質問する。確かにキツネは人格を持っているし年齢が高い。
「誰がババァじゃ!」
八夜狐が顕現した。誰もおば……年上の女性とか言ってないが黙ることにする。
「お前らは式神をなんじゃと思ってる、万能の道具じゃないぞ、判らんもんは判らん!」
「みんなは、どこに居るか判る?」
愛優が八夜狐に頼む、前回は小豆アイスでクラスメイトを一人だけ助けられた。今回は20数名を助けなくてはいけない。愛優の負担が重くなってしまう。
「この街におるぞ、そうだな場所くらいは案内してやる、供物をよこせ」
対価が常に必要になる。
「私が用意するわ、油あげでいいの?」
「うむ人数分用意してたもれ」
氷室玲子が自分の財布を見ながらため息をつく、なにしろ私を維持する供物も必要になる、姉の経済的な負担も重い。
「深大寺の家に行け」
八夜狐が、にやりと笑う。深大寺真が主犯? 彼がどんな理由でクラスメイトを神隠しにしたのか判らない?
「天之宮武雄も連れていって、金はこちらで払う、被害者達の親から寄付してもらうわ」
巫女の美成は、町内では人望があるので話はつけられる、でも実際に助け出すのは霊能力者しかできない。
なんか嫌そうな顔の氷室玲子と、橙狐の私、イケメンで氷室玲子の伴侶になる予定の天之宮武雄と愛優で救出を開始だ。
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