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雑多な怪談の話

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2022年9月の記事一覧

SS 自己認識ゲシュタルト崩壊 【メモ書き枠】

私は鏡が好き。鏡に映るのは楽しそうに笑う少女。私はその顔が大好き。私は鏡と話をする。鏡に居る子も一生懸命にお話をする。 「ねえ?この世界は広いの?」 「ねぇ?この世界に神様はいるの?」 「ねぇ?……」 質問ばかりで私は笑う。鏡の中の子は嬉しそうに笑う。そんな毎日は退屈しない。 鈍い音がすると痛みは後からくる。強い痛みは私を混乱させると同時に強い憎しみを感じる。養父は私が、かわいくないらしい。太ったニキビだらけの私を憎む。別れた母親に似ていると言う。私を置き去りにして消え

SS 俺の地元は、年に364日、祭りをやっている。#ストーリーの種

祭りの音が聞こえる。私は暗い道を灯りが見える方向に歩いていた。携帯電話にメッセージが入る。 「危険かも」 xxx 私はいつものように通勤電車で帰える。少し寝てしまうと電車の窓からは見知らぬ風景が見えた。寝過ごした。私は次の駅で降りようとすると、聞いた事も無い駅名……。 私は混乱をした。とにかくその次で降りる、夕闇が迫っている。携帯電話で自宅に連絡しても友達に連絡しても、通じない。職場ですら通じない。あり得ない状態で私は迷う。 いつも見ている匿名の掲示板に接続すると何故

SS 顔のない精霊がつんざくような叫び声を上げた。【腹を空かせた夢喰いサイト利用】

顔のない精霊がつんざくような叫び声を上げた。私は魔方陣を凝視する。 「まだ平気、まだ大丈夫」 震える手で私は祈る。 xxx おまじないの為に奇妙な振り子を買う。水晶の振り子は中が空洞で液体が入る。液体はなんでも良い。蒸留水でも良い。私は香料入りの水を利用した。中の水はじわりと滲み出る。本来は聖水を入れて悪魔払いをすると聞いている。 「邪魔よ」 「どけよデブ」 教室では嫌われた。体の大きな私は邪魔と認識される。動きも鈍いし、頭の回転も鈍い。言われた事が判るまで時間がかか

SS 二重人格ごっこ #毎週ショートショートnoteの応募用

「おはよう」 私は私の影に挨拶をする。人の気配が無い施設の中は寂しい。だからいつも、ごっご遊びをする。私が手をふれば影も手をふる。私と影は相性が良い。 「どうしたの?」 同じ施設に居る女の子が来る。 「挨拶してたの」 彼女はクスクスと私の遊びを笑う。私は怒って 「いいでしょ、私は影が好き」 人が居ない廊下や部屋。みんなどこに居るのか?昔は子供達が多くいた筈なのに?私は不思議に感じる。 「ごめんなさい、私も…」 私は驚く、悲しそうな彼女は廊下を歩いて外へ出る。私は少しだけ

SS 新鮮な恨み #爪毛の挑戦

山奥の社殿に江戸初期の巻物があると聞いて、見せて貰う事にする。ヒグラシが鳴く山に入ると蝉の声はすぐに認識できなくなる。脳の方でカットしてくれる。ノイズカットの仕組みだと言う。 「その巻物に妖怪が描いてあるのね?」 大学で民俗学の研究をしている彼は不思議な巻物が実家にあると教えてくれた。 「無名の絵師で、漫画の絵みたいな妖怪だよ」 神社に妖怪の絵は珍しい。お寺ならよくある。苔むした山を歩くと、山腹の中程に神社が見えた。 「敬一じゃないか、めずらしいな」 神主と言っても普段は

SS 感想文部 #毎週ショートショートnoteの応募用

「この話なんですが …… 」 彼は紙に書いた物を見せる。メモに何か書かれている。俺は趣味で実話怪談を集めている。だからたまにネタを貰える事がある。 読むと他の怪談の感想文部分だけだ。中身が無い。文章を書くのが苦手な人も居る。怖いと書けるが理屈がない。女の幽霊が怖いと書いてあった。 「ええとても怖いんです …… 」 俺は彼女を見る。短い髪の少女は美しく幼い。顔に大きく傷ができていた。生まれた時からの傷に見える。俺はメモに目を落とす。老婆が怖いと書かれている。俺は顔を上げると